2話
どうもならなかった。部屋を紹介されて終わり。今日は解散ということになった。
部屋は広すぎず狭すぎず。キッチンも付いている良い部屋だ。正直僕は自分だけの部屋に憧れていたので、いつでも実家に戻れる一人暮らしは都合がよすぎる話だった。
さて。
「暇だ」
説明会は2時間近くある予定だったのが30分ほどで抜けてしまった。ここまで案内されるのに30分ほどだったとして、後1時間はやることがない。どうしたものか。
「あ、そういえば着替えとか持ってきてないや」
いきなり寮生活になるとは思っていなかったので、とりあえず家から最低限のものは運んでこなければ。
運び終えました。時間は、うん、説明会が終わったくらいか。えーっと、今日のこの後の予定は、ないのか。ここで解散になっている。いよいよやることがなくなった、持ってきたゲームでもやろうかな。そんなことを考えていると、部屋の扉がノックされる音。
「田中だ。上木、いるか?」
田中......説明会で話していた教授だったはず。僕は扉を開ける。そこには予想通り、見覚えあのある説明会で話していたスーツ姿の男性がいた。
「どうも、上木です。どうしたんですか?」
「あー、少し話したいことがあってな。中で話しても?」
「大丈夫ですよ。荷物も運び終えたところなので」
「それでは失礼する」
田中教授を部屋に案内して、対面に座る僕。
「早速だが、君の能力は判明したか?」
「それが、駄目でした。一応清木教授からは判明したら報告とだけ言われまして」
「ふむ。......いや、実はな。説明会で話した内容をまとめた資料があるのだが」
少し言いにくそうに資料を渡してくる田中教授。なんだろう。
言いにくいことってなんだろう