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能力者か無能力者か  作者: 紅茶(牛乳味)
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31話

(こいつ、なんで私の能力を知っている?)

 財布泥棒の男の能力は分かった。ただ、問題は鞭であるがための攻撃方法。先ほどまでは頭上から叩くように、それこそ頭上から降ってくるレーザーのような攻撃をしていたが、次からはそうもいかないだろう。そういう攻撃をしていたということは、頭上からしか攻撃が来ないと思っているところを不意打ちしようと考えていたということなのだから。

「おい蔵介、もう少し詳しい説明を」

「堂次郎! その辺に石が落ちてたら数個正に渡してくれ!」

「お、おう」

 鞭が届く範囲は決して狭くない。ならばこちらも攻撃が届く範囲を伸ばそうと考えるのは当然だろう。そして、男としては当然、それを阻止したいと考えるだろう。

「させない!」

「うわっと!?」

 堂次郎がその辺りに落ちている石を拾おうとすると、鞭が飛んでいく。この隙を見逃すわけにはいかない。

「っ! クソ!」

 階段を駆け上がって、男の前に堂々と立つ。さあ、勝負はここからだ。

「......ふん。どうやら、事前の情報とは違い、お前は手ごわいようだ」

 事前の情報、ということはこいつはただの財布泥棒ではないということだろう。そういった情報を手に入れるためにも、捕まえなくては。

 足に力を入れて、相手の動きに集中する。じりじりとお互いがお互いを探るように慎重に動く。そして、男の手元が光った瞬間に一気に動き出す。

「「--!」」

 俺には堂次郎のように五感を強化する能力があるわけではない。なので、視認できない速さで襲ってくる鞭を避けるためには直感が必要だ。今までの攻撃方法は『頭上から攻撃してくる』ということを頭に植え付けるためのものだろう。だったら、次の攻撃は横振りの攻撃になるはずだ。

 男がまるで本物の鞭を振るうように腕を横に振るう。そこから繰り出される鞭の動きはやはり目で追えるものではない。だから、俺はすでに体を腕立て伏せのように地面に預けていた。

 俺の頭を何かが通り過ぎる感覚と、甲高い風を切る音。よし、これで体を起こしてすぐに攻撃に向かえばーーー

 今、何かおかしいことが起きていなかったか? わざわざ鞭を振るった? 振らなくても攻撃できるのに?

(どうやら、お前が相手した奴は、こんなことをしなかったようだな)

「! まずーー「喰らえ!」

 直感に頼って、地面に着いた手と足の力すべてを使い体を横にはじけさせる。だが、間に合わない。

「ぐあ!」

 背中に衝撃。俺が飛ぶ方向から斜めに鞭を振るったようだ。くそ、堅実に攻撃してくる。

 背中に生暖かいものが流れている感覚を味わいながら体を起こす。当然のようにそこに襲い掛かってくる鞭。これはさすがにーー

「!」

 鞭を振っている途中で男が体をのけ反らせる。一瞬遅れて、男の前を石が通過する。これはありがたい。

 石を投げたのは、どうやら堂次郎のようだ。堂次郎と正も隙を逃さずに3階へやってくる。これで3対1、負ける道理はない。

「大丈夫か、蔵介」

「ああ、助かったぜ正」

「......とりあえず、あいつをどうするかだが」

「どうするもこうするも、堂次郎と正の二人がいれば何とかなる。そこに俺がいるんだ、負けるわけがない」

「すごい自信だな」

「まあな。正、とりあえずお前は後方から石で援護してくれ」

「いや、石を投げるのは俺がやろう。正、お前は能力を使え」

「OKだ。さっと終わらせるか」

 もちろん、この会話の最中男から目を離すようなことはしていない。こいつはどうやら、自分で鞭を振るった時だけ、もう一度攻撃するまでの待機時間をなくすことができるらしい。なるほど厄介だ、が。ならそもそも鞭を振らせなければいい。

「行くぞ!」

 俺は一気に近づく。さあ、どう出る?

「ふっ!」

 短い呼吸。男は横なぎに鞭を振る。高さはちょうど俺の胸の辺り。俺は素早くかがんで、スピードを殺さずに接近する。

「甘い!」

 もう一度素早く鞭を振るう男。だが、2度目の攻撃はなかった。

「正!」

 堂次郎の能力、五感の強化。自分の感覚が強化され、スピードは多少遅くても高い命中率の遠距離攻撃を繰り出せる。そして、

「おう! セカンドインパクト!」

 正の能力、セカンドインパクト。これは事前に自分が加えた衝撃をもう一度加えることができるというもの。堂次郎に渡した石には事前に正が衝撃を咥えている。命中率が高い石に、速度が加わった。

 突然飛んできた石が、とんでもない速度と精度で男の鞭が握られている手に命中した。この隙を逃すわけにはいかない。体重を乗せたパンチをーー

「くそ!」

 男の手元が光る。それを確認した俺は慌ててスピードを殺し、後ろに飛ぶ。一瞬遅れて目の前を頭上から何かが通り過ぎた。なるほど、苦し紛れの攻撃ではあるが確かな攻撃だ。

 だが、その攻撃方法ではある程度のクールタイムが生まれてしまう。それを逃すほど俺は馬鹿じゃない。

「今度こそ!」

「く、くそ! 神よ!」

「おらあ!」

 一気に接近して、男の頬を殴り飛ばす。ふう、何とかなったな。


さて、次は状況整理だ。

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