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能力者か無能力者か  作者: 紅茶(牛乳味)
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20話


「すみません、上木蔵介と塚波正です。話があるのですが」

 理事長室の扉をノックすると、すぐに返事がやってくる。

「どうぞ、入って」

「「失礼します」」

 清木教授はある程度見知っているつもりだけれど、やっぱり理事長室って緊張するなあ。扉を開けると、書類と睨めっこしていたらしい清木教授が微笑みながら歓迎してくれる。うれしいけれど、忙しそうだしあまり長引かないようにしないとなあ。

 清木教授の対面のソファに腰掛けるよう促されて腰を落ち着ける。それでは、早速だけれど、話を切り出そう。

「まず、トーナメントの結果はどうなったんですか?」

「あれ、塚波君から聞いていないの?」

「いや、優勝した人は聞きましたよ」

 優勝したのは意外にも工藤君。正曰く、あまりの熱意にみんなが手を抜いて戦ったのだとか。あからさまな人だと、試合が始まると同時に降参したり。まあ、そういうわけで優勝した人は知っているのだけれど、

「僕が聞きたいのは、雪音がどうなったのか、です」

「ああ、雪音ちゃんね。彼女は転校することにしたみたい。まあ、あと5,6日はいるらしいけれど」

「そうですか」

 そういえば、今日お昼ご飯を食べているのも一人で食べていた。あれは、もう転校することを決めて友人を作らなかったということだろうか。

 まあ真意はわからないけれど、これ以上雪音について聞くことはなくなった。ただ、一応気になっていたので聞いておいた。

 さて、どんどん質問しよう。

「昨日変なおじいさんに変なことをされたんですけれど、あれは何をしていたんですか?」

「ああ、あの人ね。俺の親戚の清木天馬すみきてんまさんだよ。あの人も能力を持っていて、それが秘められた能力を開放する......とはちょっと違うんだけれど」

「つまり、蔵介の能力が判明したということか?」

「まあ、そんな感じ」

 おお、ついに僕にも漫画のような能力ができたのか!

 清木教授が手元にある大量の紙の中から一枚を取り上げて読み上げる。

「えっと、上木蔵介。君の能力は『二重人格を抑える能力』みたいだよ」

「......にじゅうじんかく?」

「蔵介、知能レベルが下がっているぞ」

 思わず清木教授に言われた僕の能力をオウム返ししてしまう。もっといい能力かと思っていたのに......。

 肩を落としていると、二人からフォローが入る。

「まあ、常時発動している能力ということは分かっていたからね。しかも糸は短いし、大した能力じゃないことは分かっていたよ」

「今大したことないって言いました?」

「そうだな。まあ、もう一つの人格が危険すぎるから現れた大したことない能力なのかもしれないしな」

「今大したことないって言った?」

 訂正。二人から入ったのはフォローじゃなくて追撃だ。

 そんなこんなで気を落としながら質問を続ける。あと聞きたいことは二つ。朝倉君の話で疑問に思った、この学校が能力者を狙う人や組織から能力者を守ることができる何かを持っているのか。それと、先ほど襲ってきた人物は何なのか。この二つだ。

「えっと。実は朝倉幸助とーーーという話をしたのですが、この学校に能力者を守る何かがあるんですか?」

「ああ、それは君たち自身だよ」

 僕たち自身が、能力者を守っている?

「? どういうことですか?」

「簡単な話、なんで組織は能力者を求めるかっていう話で」

「それはもちろん、能力者にしてもらいたいことがあるからですよね?」

「うん。で、その『してもらいたいこと』って大体が人を殺したりすることなんだよ。でも逆に言えば、人を殺したりすることができる人が多ければ多いほど、組織が無理やり拉致とかをすることは難しい。だから君たち自身が能力者に守られていると同時に、君たち自身が能力者を守っているんだよ」

「なるほど」

「まあ、朝倉君はそういう戦闘系の能力だから好条件で勧誘したけれど、あんまり弱い能力だと勧誘とかはしないかな。弱い能力者なんてかなり少ないけど」

 これで朝倉君を好条件で大学に入れたことも分かった。それでは、最後の一つ。

「実は、先ほどーーー」

「......なんだって?」

 明らかに、清木教授の声色が変わった。思わず背筋が凍るような感覚だ。正もピンと背筋を伸ばしたのが横目で分かる。

今更だけど、大学に理事長室なんてあるのかな。僕の学校では聞いたことがないけれど。

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