表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
能力者か無能力者か  作者: 紅茶(牛乳味)
21/151

18話


 口から血を垂らしながら倒れた正に得意げに言う康太。これが康太の能力......まずい、どう考えても僕は足手まといになってしまう。

 ただ、闘いに参加しない僕だからこそできることがあるはずだ。例えば、相手の弱点を探ったり。というわけで、考えよう。

 まず、スプリットされたボールは小さくなるだけで、特にスピードが変わったり、進む方向を変えたりしていない。そして、分裂できる回数は今のところ2回。そうじゃないなら、正の顔にボールを当てた時点でさらに攻撃を加えていくこともできたのだから。まあ、それ以上小さくなったら威力がなくなるとか、こうやって考えられた時のためのブラフである可能性は歩けれど。

 そうやって考えている間に正は立ち上がって攻撃を始めている。大げさなほど腕を大きく振るって襲い掛かる正。康太はどうしても正に集中せざるを得なくなったようで、こちらに目を向けない。もしかして、正は僕に考えさせる時間を与えるために大げさに拳を振り上げているのかもしれない。

 そして、そんな正の考えを見破ったのか、康太が僕の方へボールを投げる。いきなりの行動に避けることが出来ず、手で受け止めてしまう。......ん? これはスプリットさせない? というかそもそも、スプリットできる条件って......?

 そうだ、考えてみれば、わざわざボールを投げてスプリットさせなくても、僕たちを4分割すればいいんじゃないのか? でも、それを考えれば、康太が自分の体を2体にして攻撃するというのもあるのか。それをしないということは、『生き物』がスプリットできない可能性がある。

 そして、今仮説として存在しているスプリットできない条件って。

 僕はそれを試すために康太にある程度近づいてボールを投げる。正の攻撃を避けなくちゃいけない相手に対して、この距離なら外さない。康太は僕(というか、ボール)に気が付くと慌てて体を反らしてボールを躱した。ボールはスプリットされずに校舎の壁にぶつかって地面を転がった。......やっぱり、スプリットするには、言ってしまえば『所有権』が必要がなんだろう。ただ、誰がお金を出して買ったかとか、どういう契約をして、なんていう複雑なものでは恐らくない。多分、最後に触れたのは誰か、というのがスプリットできるかどうかの『所有権』なんだ。

「おらあ!」

「グフう!」

 正が康太の顔に拳をぶつける。康太が吹き飛ばされたところで、息を切らしている正に今までの推測を話す。

「なるほど、それなら何とかできそうだ。要するに、こいつの投げるもの全てに触ればいいんだろ?」

「まあ、そんな感じ。そしたら所有権はこっちのものになってスプリットはできないはず。まあ、投げた瞬間にスプリットしたり、所有権がしっかりと握らなくちゃ発生しなかったりしたらあんまり意味が無いけど」

「いいや、十分だ。ここからは俺が「ふふふ、凄いよ。よく俺の能力を見破ったね」

 ふらついているのであろう頭を押さえながらゆっくりと康太が立ち上がる。不敵に笑うその表情からはまだ何かを隠している様子だ。

「でも、おかしいと思わないか? 俺が持っているのが野球ボールって。意外と大きくて持ち運ぶのには難しいと思わないかい? スプリットしやすいとはいえ」

「スプリットのしやすさは本人にしかわからなくない?」

「うるさい、無能力者」

「なんで俺が無能力者って知っているのさ!」

 まあ、よく考えれば(理由は知らないけれど)能力者を襲っている相手だし、襲う相手の事情位知っていて当然かもしれない。

「無駄話はそこまでだ。誰の差し金か言えば見逃してやる。言わないなら殺す」

「殺す? どうやら、君の能力も大したこと無さそうだ。俺が推測するに、正、と呼ばれている君の能力は、『痛みを感じない』とかじゃないか? どう見たって立ち上がるまでの時間がどう考えたって早い。それに、さっき戦闘していても、攻撃を喰らってひるむ時間があまりにもないものだから、そう考えたんだが?」

 僕は考えるのに夢中だったせいで良く分からないけれど、正はそんなそぶりを見せていたのか。

「だとしたら、なんだ?」

 特に答えずに話の続きを促す正。肯定ということだろうか。

「だから、君たちじゃ俺は殺せないってことだ。そして、俺は君たちを殺せる」

 そう言って懐から取り出したのは、触れることが難しくて、痛みを感じないとか関係なくて、小さく、持ち運ぶことに適している......銀色に光るナイフだった。

自分の能力は分かっている。だから、弱点を補うのは当然。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ