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能力者か無能力者か  作者: 紅茶(牛乳味)
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17話

 翌日。あれから僕は仮眠を取ってから、体の不調がないことを医務室の先生に伝えて寮に戻った。仮眠から目が覚めた時の時刻は夜だったので、清木教授に会いに行くこともできず、さらに言えばトーナメントがどうなったのかもわからずに終わってしまった。

 今日は休日。来週から講義が始まるので、教科書を購入しに行ったり、教室の確認をしたりと少し慌ただしい午前中を抜けて。お昼ご飯を食べながら一緒に行動していた無能力者の友達と話をしていると、一人でご飯を食べている雪音の姿を見つける。目があったので軽く会釈をして視線を逸らすと、何となく目に留まった人がいる。工藤君だ。雪音の方をチラチラと気にしながら昼食を取っている。雪音を気にしている工藤君を僕が気にするという変な構図に当然疑問を提示する無能力者の友達。

「さっきから誰を気にしてるの?」

「ん、可愛い女の子がいるなって思って」

「おいおい、どこだよ」

「教えない。自分で見つけてよ」

 そんな感じで友達と和気あいあいとしながら、ちらと工藤君の方へ視線を飛ばすとスーツ姿の男二人に声を掛けられている。スーツ姿の男二人だが、能力者のための説明会にいた男達とは違う。大分細身で、片方は眼鏡をかけていて、まるで営業に来るような人のイメージがある。スカウトか何かだろうか?

 まあ、僕が気にすることでもないか。僕はそれ以上雪音の方も工藤君の方も見ずに友達との時間に集中した。


 さて、友達と別れた後の午後。僕は自分の部屋にひとまず教科書などの重い教材たちを置きに来た。軽く自分の部屋で整理しながら次にやることを決める。昨日はなんだかんだあって清木教授に聞こうとしていたことが何も聞けていない。気になることだらけだし、来週からは忙しくなってしまうだろう、聞くタイミングは今しかない。

 そんなことを考えていると、ポケットに入れている携帯電話が鳴る。確認すると、正からの着信だ。早速電話に出る。

「もしもし」

『おお、蔵介。昨日どこ行ってたんだ? っていうメールを飛ばしたんだが、返事がなかったのが気になってな』

「ああ、ごめん。確認し忘れてた。実はーーー」

『ふむ。それで、今から清木のところに行こうというわけか』

「うん。一緒に行く?」

『ああ。気になるし俺も付いて行かせてもらおう。すぐにお前の部屋に行く』

「オッケー。待ってるよ」

 通話を切って1分ほどで正が来る。軽く挨拶をして、お互いに何の授業を取るのかなど話しながら清木教授がいるであろう1号館に向かう。

 一号館に向かうまでに少し広い道を歩く。新入生は午前中で用事が終わってしまい、上級生は講義中である時間帯なので、4,5人しか人がいない。そこを涼しい春の風に吹かれながら正と歩いていると、突然声を掛けられる。

「あの、今あそこの寮から出てきましたよね?」

「? はあ」

「そうだが」

 声をかけてきたのは、少し背が低い男だ。細身で、短い青髪、目つきが鋭い。

 僕たちが肯定の返事をすると、胸元に手を入れて何かを操作する男。決して好意的な雰囲気ではない。

「ってことは、能力者?」

「そうだが」

 先ほどまでと台詞は一緒だが、威圧するように声色を変えて一歩前にでる正。能力者か聞いてきたということは勿論、こちら側の事情を知っている奴ということ。そして、彼が敵意を出しているということは戦闘をする気だということ。

「俺の名前は、康太。能力は『触れたものを分裂させる』というもの。スプリットって名前を付けている」

「正々堂々としているな。じゃあ、俺の名前は正。能力は秘密だ。お前以外の正々堂々としていない卑怯な奴らに能力を伝えてほしくないからな」

「構わないよ。それじゃあ、行くよ」

 まずは青髪の攻撃。取り出したのは、野球ボールだ。これに能力を乗せて攻撃してくるのだろう。そして、先ほどの台詞から、野球ボールを分裂させることで攻撃することは分かっている。

「そら!」

 早速野球ボールを投げる。ボールは迷いなく僕の方へ向かってくる。隙だらけになった康太へ正が走り出したのを視界の端でとらえながらボールの当たらない場所へ避ける僕。もちろんある程度の速さはあるけれど、避けるのは難しくない程度の球速だ。

 このまま正の攻撃を受けるのかと思わせるほどに無防備に見える康太が何かを宣言する。

「スプリット!」

「! 正、危ない!」

 康太の宣言によって、ボールが小さくなったと思うと、もう一つボールが現れた。ボールは迷いなく正の後頭部に向かって飛んでいく。

「は、ーーうお!」

 僕の注意に気が付いて、間一髪のところで避ける正。ちょうど顔の前を通過するボール。これで事なきを得たかと思ったその時。

「スプリット」

「グハッ!」

 正の頬に、さらに小さくなった野球ボールが命中した。鼻や目に当たらなかったのは正の反射神経でぎりぎり顔を背けたからだろう。

「驚いただろう。何も分裂できるのは1回だけとは言っていないからな」

ついに敵が現れた。

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