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能力者か無能力者か  作者: 紅茶(牛乳味)
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15話

「分からない? どういうことさ?」

「自分が能力者であることは幼いころから知っていたでござるけど、その時から剣道を始めていたんでござるよ」

「まあ、あの腕前なら納得だ」

「だね。一朝一夕のモノでは絶対ないよね」

「嬉しいでござるねえ。まあそれで、能力者の色々な組織にスカウトされたでござるけど、剣道がやりたいから全部断っていたんでござる。だけどある日、......そうでござるね、ちょうど半年前位でござろうか。このA大学から連絡が来たんでござるよ」

「スカウトってこと?」

「逆でござるよ」

「「逆?」」

「『朝倉幸助の命が何者かから狙われているので、保護する』って、書かれた手紙を受け取ったんでござるよ」

「うーん......?」

「なあ......?」

「? 二人とも、どうしたでござるか?」

「ああ、ごめん、話を続けて」

「ふむ、二人の様子が気になるでござるが。まあ、さすがに拙者も命まで狙われていて、それを保護してくれる組織があるのなら頼るでござるよ。家族と一緒に住んでいたので、家族の身まで危険にさらすわけには行かないでござるし。さらに言えば、学費も補助されるみたいでござるし。さらに学問を学べるなんて、素晴らしい条件でござるよ。......ああ、大分自己紹介が遅れたでござるね。拙者、『朝倉幸助』でござる。所属は理工学部、電気工学科でござるよ」

「あ、文系科目じゃないんだ」

「本さえ読めれば文系なんてどうでもいいでござる。理系でも英語は学でござるし」

「おっと、危ない発言」

 注)あくまで個人の感想です。

 さて、注釈もしたところで。少し気になるところがある。

「この学校って、命を狙われている能力者をかくまうことができる何かがあるのかな?」

「白川の時はそれを見つけてくれって頼まれたのにな」

「うーん、気になるなあ」

「? 二人が何の話をしているのかわからないでござるが......」

「ああ、実はね『それでは、準決勝戦を行います! 朝倉幸助と二谷将ふたやまさるは集まって下さい!』 

 僕の声と重なってアナウンスが会場に流れる。試合を見たい気分でもあるけれど。

「ごめん、ちょっと僕は清木教授のところに行ってくるね」

「そうでござるか。何かあるようでござるし、気にしなくていいでござるよ」

「そう言ってもらえると助かるよ。正も来る?」

「いいや、俺は準決勝があるからな。すぐに呼ばれるかもしれないからいけないな」

「それもそうだね。じゃあ、ちょっと行ってくるよ」

 僕は会場を後にして1号館へと向かった。


「......おや。君、ちょっといいかい?」

「はい?」

 振り向くと、白髪のおじいさんがいた。身長はあまり高くないけれど背筋をしっかりと伸ばしているので妙な迫力というか、威厳というか、ピッと整えられた雰囲気を感じる。知り合いでもないし、なんだろうか。キャンパスが広いから道に迷ったとかかな? 特に急いでもいないし、相手することにした。

「君が上木蔵介君、でいいのかな?」

「え、あ、まあ、はい」

 当然、戸惑う。知り合いではない人に自分の名前を知られているのだ。何を聞かれるんだろうか。正直、キャンパス内を案内するのも自信がないんだけど......。

「えっと、僕に何の用事ですか?」

 とりあえず、黙っていてもしょうがない。僕から話を進めてさっさと清木教授に会いに行こう。......というか、さっきから僕の体を下から上までなめまわすように見てくるなあ。あんまりいい気分じゃない。

「ふむ、そうだな。ちょっと失礼するよ」

「へ?」

 何やら頷くと、おじいさんは僕の額に人差し指を当ててくる。な、なんだ?


知らないおじさんに何かされている。

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