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能力者か無能力者か  作者: 紅茶(牛乳味)
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14話

「それで、何の話をしてたの?」

「ああ、この高原さんが雪音を「ちょっと待ちなさいよ!」

 高原さんが慌てて僕の口をふさぐ。な、なんだ?

 雪音に背を向けてこそこそと二人で話す。

「ちょっと、ここで白川の弱点を知ろうとしてましたなんていうつもり?」

「そうだけど」

「そんなこと言ったら警戒されちゃうでしょ!」

「確かに」

「いいから黙って私の言葉に同意していなさい」

「了解」

 改めて二人で雪音に向き合う。

「実は、上木があんたに惚れて「ちょっと待ったああ!」

 今度は僕が高原さんの口をふさぐ。また雪音に背を向けて小声で話す。

「絶対気まずくなるじゃん!」

「別にいいじゃない。もしかしたら相思相愛かもしれないじゃない」

「僕雪音に嫌われてるから! 少しは気を遣ってよ!」

「うるさいわねえ。男らしく堂々と降られなさいよ」

「振られるって分かってるじゃないか!」

「......二人とも、仲がいいんだね」

「「そんなことない!」」

 同時に雪音に振り返って否定する。雪音は苦笑いをしていた。

「とりあえず、雪音の悪口とかは言ってないから!」

「ええ、それは間違いないわね」

「ならいいけど。二人も試合見ようよ」

「そうするわ」

 ......あ、そういえば正の試合見るの忘れてた!

「二人ともごめん、ちょっと先に戻るね」

「はいはーい」

「別にあんたと一緒に見るつもりはなかったけどね」

「一言余計だよ」

 僕は小走りで試合が見える場所まで移動する。さて、試合はーー

『そこまで! 勝者、塚波正!』

 終わってしまったようだ。肩を落としながら試合会場を見ると、正がこちらに向かってくるのが見えた。対戦相手の人は倒れたまま教授たちに治療されている。

『それでは、少しの休憩の後、準決勝戦を行います』

 もう準決勝戦か。いや、元々能力者は20人しかいない。その中でも学習型の能力者が何人かいるだろうから、実際に闘う人はもっと少ない。1回戦の後すぐに準決勝戦というのも納得できる。

「おう、蔵介。俺の戦い見てたか?」

 そんなことを考えていると正が戻ってきた。結構汗をかいているなあ。動き回る必要がある能力なのかな?

「いや、ごめん。ちょっとトイレに行ったら見逃しちゃったよ」

「マジか。次はちゃんと見ろよ?」

「分かってるよ」

「いやあ、面白かったでござるよ! 正殿!」

 僕たち、というか正に声をかけてきたのは、朝倉だ。特徴的なしゃべり方だから振り向かなくても分かるなあ。

「面白かった? そんな面白い能力だったの?」

「さあ、ほかの奴から見た俺の評価なんて良く分からん」

「謙遜しなくていいでござるよ」

「謙遜なんかしていないんだが。......それにしても、朝倉は、その、酔っているのか?」

 正直、僕も気になっていた。大学生ならお酒は飲むと思うけれど、こんな教授だらけのところで飲むのは流石に......。

「あー、酔っているでござるよ! お酒もさっきまで飲んでいたでござるし!」

「「......」」

 二人でポカーンと口を開けてしまう。なんだろう、その、僕たちの想像以上に......

 そんな僕たちの本気で頭のおかしい奴を見るような眼と雰囲気にたじろいて、慌てて弁解する朝倉くん。

「ち、違うでござるよ! 拙者、すでに成人済みでござる!」

「ああ、浪人生か」

「なるほどね、それなら納得だよ」

「浪人とは少し違うのでござるけどね」

「ってことは」

「留年か?」

「それも違うでござるよ。拙者、こう見えてとても頭がいいんでござるよ?」

「自分で言ったら世話ないな」

「まあ、そうかもしれないでござるねえ」

「それじゃあ、なんで朝倉くんは僕たちと同じ代の学生なの?」

「それが、分からないんでござるよ」

「分からない? どういうことさ?」


大学に浪人生は意外と多い。

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