再会、そして…
意識が戻ると
心配そうに俺の顔を見つめる
ミーナさんと魔王様
「起きたか」
「ごめんね ヨミくん」
お二人になぜ俺の部屋にいたのか問うと
「訓練で基礎が終わったと聞いてな」
「そう! 褒めに来たの」
どうやら、祝福に来てくれたらしい
実際嬉しかったし……
「それで、実はな…」
魔王様が急に真剣なトーンで話し始める
内容的にはこうだ
・勇者がメンバーを集めこちらに向かってきている
・メンバーは勇者に聖女、剣聖、賢者、弓聖
・勇者以外は女性
・8個ある関門の内、3個目を突破している
どうやら、本格的に魔王討伐に来たらしい
「それで、魔王様はどうするんですか?」
俺は率直な意見を述べる
「うむ、ヨミ、君に活躍して貰いたい」
「作戦があるんですか?」
「あぁ」
ここまで話して俺はミーナさんの顔が険しい表情になっていることに気づく
「ミーナさん?」
俺が声をかけるとハッとした表情になって
次に何かを決意した様子で話し始める
「私は、この作戦には反対です」
作戦、一体どんなものなんだろう…
「だが、不意を付くには」
「ヨミくんの意思を尊重してください」
俺の意思?
そして、魔王様から作戦内容が伝えられる
内容は
俺が捕まった振りをして奴らに近づけさせられ、気が緩んだところでジークフリートを使い撃退する
というものだ
俺には最早、奴らが仲間という意識は無い
俺はこの作戦を承諾した
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勇者たちが、第4の関門に向けて歩みを進める
「これは、余裕だな!」
「えぇ、簡単ね」
「報酬もがっぽりだね!」
などと会話をしながら関門の前に来ると
「勇者達よ、よく来たな
私はミーナ、この関門の守護を任せられているものだ」
ミーナさんが、勇者達に名乗り
部隊のみんなが守護の構えを取る
一方、勇者は、ミーナさんの体つきを見て
ニヤニヤと笑っている
「捕虜をここに」
捕虜、それは俺のことだ
俺は項垂れた振りをして
2人の剣士に連れられる
俺が連れてこられたのを見て
勇者とリリシアは、俺の姿を見てで大声で笑う
「ぷぷっ、ヨミのやつ、こんなとこで捕まってるwww」
「あの時のやつかよ、だせぇww」
俺の心がふつふつと怒りで燃える
ミーナさんが近づき耳元で
「準備はいいですか?」
と、優しい声で聞いてくる
(俺は、この人のためにあいつらを倒す!)
剣士2人に勇者達の前に突き出される
その際、腕を縛っていた縄を切ってもらい
俺は、笑う勇者達を睨み名を叫ぶ
「来い! ジークフリート!!」
瞬間、俺の体を眩しい光が包む
目の前には自分の目元を覆い隠す勇者達
光が収まり、勇者達がこちらを向く
「「「「「?!」」」」」
そこには、逞しい巨躯、大きな大剣
真っ赤な血を浴びた一人の男
「だ、誰だ!」
勇者が驚きつつも叫ぶ
「俺だよ、勇者サマ」
俺の声を聞いた途端、勇者達に動揺が走る
「なっ、」
勇者達は言葉もでない様子だ
俺は、そんな勇者達にバルムンクを振るう
それを間一髪のところで勇者達が避ける
「ちっ」
勇者達が完全に気を取り直し
武器を構える
勇者の剣の周りを光が囲う
あれが、やつが勇者である由縁
光の聖剣、それを引き抜けるのは勇者のみ
その最大出力が俺を襲う
俺は関門まで吹き飛ばされ倒れ込む
やはり勇者の一撃には……
「ははは、やっぱりお前は雑魚なんだよ
その格好は飾りか? 魔族に改造でもされたか?」
「なにそれ、きもっ」
「えー、それって、堕ちたってことでしょ?」
などと、勇者達が元気を取り戻し笑う
惨めだ、やっぱり俺には……
もう、諦めよう、その単語が出てこようとしたその時、
「何をしている、ヨミ!」
威厳のある、しかし優しい声
ボヤける目を擦り関門の上を見上げる
そこには魔王城の主、魔王ティア・クロムウェル
「お前は魔王城に必要だ!
我らの仲間だ! 違うか?」
そう問いかける
「そうっすよ」
「……がんばれ」
「まだ、俺と戦ってねーんだから
こんなとこで、終わるなよ!」
みんなが、あの時、
俺を認めてくれたみんながいる
それに気づいた瞬間
俺はまた、光に包まれた
遠くにミーナさんの声が聞こえる
「大丈夫ですよ、ヨミくん」
もう少しで、完結させます




