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内情



婚約話が白紙になった以上はプライム家に居場所はなかった。

グランツ侯爵家からすれば、伯爵家の令嬢ならば誰でもよかったとのことだ。


補足すればグランツ侯爵は女遊びが激しいことから年上で地味な令嬢よりも愛らしく若い令嬢の方がいいとのことだと手紙で知らされた。


「涙も出ないわ」


ここまで赤裸々に書き記されていると泣く気にもなれず。

両陛下が婚約話をあっさり了承してしまったことから、何とも言えない気持ちになった。


「いっそうのこと没落してしまいたいわね」


貴族の生活はとても窮屈なもので愛想笑いに裏工作。

腹の中で何を考えているのか解らない。


身分の低い貴族は高位な身分を羨ましがるが、アレーシャは羨ましいとは思わない。


確かに贅沢な暮らしはできるし、その日の食べる物に困らないかもしれないが貴族なんて国の奴隷のようなものだというのが正直な気持ちだった。


権力に溺れた末に待つのは地獄以外ないと理解している。


幼いながらアレーシャは悟る。


「人間堅実なのが一番」


お金がすべてではないが先立つものはお金だ。

万一の時の為にこっそり溜めているお金もあるし、母の遺産としてもらった領地がある。


アレーシャの母はとても聡明な女性だった。

華やかで冷たい場所の貴族社会で上手く立ち回り権力争いに関わらないように陰で動いていた。


下手に目立てば身分の高い権力者に叩かれる。

かといってその逆もしかりだったが、既に侯爵家の婚姻を断られたのだから最悪まで落ちている。


「これ以上悪くなることはないはずだわ」


落ちるところまで落ちているならこれ以上他から何かを言われることはない。


それに考え方によっては悪い話ではなかった。

このまま勘当してもらえれば侍女の仕事に集中できるし、このまま女官を目指すこともできる。


幸い伯爵家であることから功績を残せば出世も望める。

貴族の令嬢は良い家柄の令息に嫁ぎ世継ぎを産むことを義務付けられているが、その役目はカテリーナに丸投げすれば身軽になれる。



アレーシャはとにかく自立心の強い令嬢だった。





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