初恋の正体
アレーシャは涙が零れた。
「どうして…あの時おっしゃってくださらなかったのですか」
初めて王立図書館で出会った時気づいていたはずだ。
あの出会いが偶然だとしてもレオンハルトは気づいていたのに何も言わなかった。
「どうして言えようか…傷ついている貴方に」
「レオンハルト様…」
「何度も諦めようと思った。だが俺は女々しい男だ。貴方を諦められずにいた」
宮廷で近衛騎士団に身を置きながら遠くからでいい。
アレーシャの姿を見たかった。
「兄上はずっと遠くからアレーシャを見ていたんだ」
「エディー様」
全てを知っていたエンディミオンは歯がゆい思いでいっぱいだった。
二人の恋を成就させてやりたいが、貴族の結婚は色恋じゃない。
利益の追求だった。
「何度あの男を剣で串刺しにしてやりたかったか」
(((怖い!!)))
アレーシャ以外は心の中で叫んだ。
レオンハルトのことだから本気で闇討ちをしそうだ。
「ならば、俺がアレーシャを娶ろうと兄を脅迫…いや」
(今脅迫って言った!?)
「兄に頼み込んだんだ」
「兄上、もう遅いですよ」
にこやかに笑っているが、アレーシャが知らない所で恐ろしい取引がされていたに違いない。
「伯爵家には既に了承を取っている。ただプライム伯爵家にとある条件を突き付けられた。その条件をようやく満たすことが叶った」
「え?父が?」
「ああ、アレーシャが欲しくばアグナス、バスティーユを制圧しろと」
眩暈がした。
アレーシャは今すぐ失神しそうだった。
「兄上が中々戦場から戻らない理由はそれか!」
「なるほどようやく理由が解りました」
エンディミオンとルーファスは納得する。
最強と謳われたレオンハルトは五年前から二つの国の制圧に苦しんでいた。
無理に急いで制圧しなくてもいいのでは?と思っていたが、その理由が‥‥
「父君が弱い男にアレーシャはやらんと」
「でもおかしいですわ。それならば何故グランツ侯爵に嫁に?あんな見た目だけの阿保貴族を選んだ理由がわかりませんわ」
「サーシャ様」
言いたい放題のサーシャに困り果てる。
「なるほど‥‥そういうことか」
「どういうことですの?お兄様」
「グランツ侯爵との縁談はフェイクだ。最初からお婆様と母上が仕組んでいたんだろう」
「え?」
ルーファスは不敵に微笑むと同時に扉が開く。
「その通りじゃ!!」
バァン!
セラフィーヌが登場した。




