罵倒
晴やかな日にため息をつく。
「はぁ~…」
アレーシアはまた深いため息をついていると。
「何をしているのですアレーシャ!」
義母ルクレチアの怒鳴り声が聞こえる。
「ドレスの仕立ては終わったのですか!」
「はっ…はい。今」
「本当に何をさせても愚図ね!宮廷の侍女をしていても価値がない。王女の子守しか役に立たないとは」
苛立ちながらルクレチアは怒鳴り声をあげる。
「お母様、私今度の舞踏会のドレスは思いっきりゴージャスなのがいいわ!だって大公様の帰還を祝うんでしょ?」
「ええ、宝石をちりばめたドレスにしましょう」
王都では大公の帰還を祝う舞踏会のことで浮足立っている。
婚約者がいる状態で二人は大公妃の座を狙おうとしているのだから図太い神経だ。
「侯爵家よりも大公殿下の方が地位も上。未来の王妃を狙うこともできるわ」
「ええ、カテリーナならできるわ。出来損ないの姉とは違うのだから。侍女として一生終える役立たずとは違うのだから…」
バシャ!
「あっ…」
バケツの水を蹴られ濡れてしまう。
「フフッ…お似合いよ」
「本当。ずぶぬれでみすぼらしいのがお似合いよお姉様」
カテリーナは嘲笑いそのまま去って行く。
仕立て直したばかりのドレスは濡れてしまう。
このドレスを仕立て直すのに徹夜だったが、またやり直しになってしまった。
「はぁ~…」
落ち込む暇もなくアレーシャは掃除をして、ドレスを乾かすことにした。
いつもの事。
これぐらいで落ち込んだりはしないが体が冷えて寒かった。