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誰にも言えずずっと耐えて来た。

常に気を張り弱みを見せることなく泣き言も言わずに。


アレーシャは守りたいモノが沢山あった。

亡くなった前王妃との約束。


幼い王太子と王女。

王は本当の意味で二人を守ることはできない。


側室が王妃になれば二人がどんな扱いを受けるなんて安易に想像できた。


アレーシャの二の舞にさせまいと。

常に笑顔で、蔑まれようとも負けないと決めた。


でも、本当は寂しかった。


「誰にも弱さを見せないのが強さではない。だが、一人で戦おうとする貴方は強い人だ」


「レオンハルト様…」


そっと手に触れるレオンハルト。

傷ついた心を労わるように、慈しむように声をかける。


「そんな貴方が幸せになれないはずはない」


「私も…いいんでしょうか?」


ずっと心の中に隠していた。

叶わないと思って諦めかけていた夢がある。


「本当は…夢がありました」


「夢?」


「はい、国を出て広い世界を見てみたいと」


狭い世界ではなく外の世界に出てみたい。

貴族の令嬢である以上無理だと解っていたので諦めていた。


「昔ある人がくださったものです」


常にお守りとして首にかけているアクアマリンの石を見せる。


「これは…」


「世界は広くて海の遥か向こうは私の知らない世界が沢山あるのだと。その世界をいつか見せてくれると言ってくれました」


それはまだ幼い頃の大切な思い出。

些細な約束に過ぎなかったが、今もアレーシャを支えていた。


「せめて夢を見るだけならば許されるでしょうか」


「違う」


「え?」


レオンハルトはアレーシャの手を強く握り引き寄せる。



「行こう」


「は?行く…とは」


「見に行こう。海の向こう側を」


レオンハルトの言葉に驚くも遅かった。



「きゃあ!」


「グランマ、失礼する」


「ええ、いってらっしゃいませ」


「えっ…ちょっ!」


アレーシャを抱き上げそのまま店を出て行く。


「坊ちゃまの愛馬は庭に繋いでおりますわ」


「流石だ!」


アイコンタクトを取りそのまま愛馬の元に向かった。





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