第1話!! お友達を作るには!?
ふと思いついた作品。
続け。
『世界初のVRMMORPG!!日本にてついに発売!!』
朝のニュースで流れたその特集。
その凄さはあまり分からなかったけど、SNSとかでみんなが騒いでるからとにかく凄いってことは分かった、うん。
・・・あれって医療以外に使い道あったんだ…
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VR業界が急激に発展し始めたのは、だいたい50年ほど前の2015年。
始めは、治療のため病院から外に出られない患者に、外の景色を見せてストレス軽減を図るために、世界中様々な観光地の景色を360度映し出すVRゴーグルの開発に着手し、開発に成功した2030年。
次に取り掛かかったのは、病院では提供することが出来ないアルコールの類や塩分、油などが過分に入った料理を、仮想現実の中で食べて患者のストレス軽減とストレス発散を目的とする、味を感じることが出来る味覚再現機能の開発。
そして味覚再現機能が完成した2050年。
開発は加速的に進み出し、2055年。
食べ物を食べる感触、景色を見て触る感触を再現する触覚再現機能の開発に成功。
さらに開発は進み、今まで視覚に頼るしかなく全盲患者は体験できなかったVRゴーグルを発展させ、体の電気信号を機械と直接やり取りをすることが出来るようになるVRヘルメットを2060年に開発。
名称は知恵や医学の女神から取り『Minerva』、略称として『Neva』。
それに伴い、味覚再現機能と触覚再現機能は、物を触ったり食べたりした時に、脳を刺激し脳内に記憶された同じものかそれに似た味や触感を再生する機能へとグレードアップに成功した。
そして現在2066年、冬真っ只中。
ゲーマー待望の世界初VRMMORPGの予約開始日時が発表された。
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「ねーねー知ってる〜?VRMMOが完成したんだってねぇ」
「知ってる知ってる!なんか、とうとう来たか!って感じするよね!!」
「なぁお前さ、VRMMOが完成したの知ってるか?」
「当たり前だろ、ゲーマーなら興奮しないはずがない。そうだろ?」
クラスの喧騒。
男女問わず、あちらこちらでVRMMORPGのことが話題となっている。
そんな中、教室にて雰囲気の違う女子生徒が1人。
腰の少し上まで伸ばした艶のある黒髪。
癖毛のないストレート。
目尻が下がった優しそうな目と黒の瞳。
制服を完璧に着こなし、凹凸は少ないが魅力的な体のライン。
立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花。
絵に描いたような非の打ち所のない紛うことなき美少女である。
だが、ぼっち!
圧倒的にぼっち!!
陰ぼっちを陰気な人間がなるぼっちだとするならば、彼女の場合は陽ぼっち。
陽ぼっちとは、陰ぼっちの真逆。
明らかにクラスカースト最上位に位置する人間が、逆に畏れ多くて誰にも話しかけられずに必然的になってしまった孤高型ぼっちの究極系!
陰ぼっちとの唯一の共通点は、ぼっちであるということ!
・・・さて、では彼女の脳内を少しだけ覗いてみよう。
(あーーーーーー!!!今日も誰にも話しかけられなかっだぁぁぁぁ!!誰か私に救いをください!!!お友達をくださいぃぃぃぃぃ!!!)
そう彼女は、外見は完璧だが中身が残念な、極めて珍しいリア充型ぼっちなのである!!!
いや、リアルは充実していないから厳密にはリア充型では無いのだが!
では、ここからは彼女の視点に移ろうか。
この先、彼女の残念っぷりをどうぞご覧あれ。
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私の名前は沙霧真桜。
私には長年続くある悩みがある。
心の中でくらい叫ばせて欲しい。
なんで・・・
誰も・・・
話しかけてくれないのぉぉ!!?
自慢じゃないけど見た目は完璧の自信があるよ!?
勉強だって出来るし、運動も出来る。
誰かに教えて欲しいと言って貰えるように、昔から頑張ってきたのに・・・
なんでなの・・・?
小中高と一向に仲のいい友達というものが出来た試しがない・・・
幼稚園みたいな小さい頃は家の威厳のせいか、きっと親達が子供に、何かあったら大変だから私と関わっちゃいけないみたいなことを言われてたんだろうからまあ仕方ないしても、小中高では別に話しかけてくれてもいいんじゃない!?
なんかもう友達居ないのが当たり前になってきたんだけど・・・
悲しい。
とても悲しい!
・・・昔から禁止されてきたことではあるけど、やむを得ない。
こうなったら、朝から話題に登っているVRえむえむおー?あーるぴーじーとやらをプレイして話題を自ら作るしかありませんね!!
ゲームは禁止されてきたけどそんなことより友達が欲しい!
・・・よし。まずは、今のうちに投影型端末で情報の確認をしておこうかな。
えーと、まずはVRMMORPGについて・・・
Virtual Reality Massively Multiplayer Online Role-Playing Gameの略称とな・・・?
多数の人が同時に同じサーバーで遊ぶMMORPGのVR版っと。
今までは想像上でしか存在しえなかったVRMMORPG・・・
なるほど、みんながあれだけ騒ぐ意味も分かるというもの。
分かりやすく言うなら想像上の存在であるドラゴンが、発見されて生物図鑑に載るようになったような感じですもんね。
今回発売されるゲームは、ファンタジー小説の世界観をモチーフ。
魔法あり、ゲーム世界特有の生物ありだったりする職業レベル制RPG・・・?
職業レベル制とは?・・・検索。
ふんふん、なるほど。
簡潔に、
敵倒す
↓
その道に習熟する(レベルを上げる)
↓
強くなる
の繰り返しって感じかなぁ。
これさえ覚えておけば何とかなりそう。
他にVRゲームに関する情報は・・・あ。
えーと、『現実ではありえないこの世界特有の感覚再生機能搭載』・・・?
よく分かんない、パス・・・したはいいけど、記事読み終わっちゃった。
まあだいたい理解したからいっか。
なんだかゲームってよく考えられてるなぁ・・・ってしみじみ思う。
とにかく帰ったら両親に相談ですねぇ。
はあ、友達が出来るまでは前途多難だぁ・・・
少し説明が多すぎたかな・・・
でも序盤で説明しないと、なんのこっちゃってなるかもしれないしな・・・
ま、いっか←おい