第5話 爛漫の復讐をあなたに
『…………来年は! 僕が優勝するッ! だから、お前は頂点で待っていろッ!』
『…………あァ、先に行くぜ。精々這い上がれ。何度負けようが這い上がる……そォいうヤツとの戦いは面白ェ』
龍上ミヅキ対水村ユウジ、勝者は龍上ミヅキ。
確かにユウジは負けた。
しかし。
一撃で敗北したところから――底辺から、絶望から這い上がって、ここまで来た。
自分に見向きもしてない男に、こちらを見据えさせた。
誰も自分に期待していない会場を何度も沸かせた。
それだけでも、彼の逆襲を成し得たと言える。
過去を越えた。
臆病な自分を越えた。
周囲の予想を、龍上ミヅキの予想を、遥かに越えた。
それでも。
だとしても。
――――壁に拳を叩きつける音が響いた。
「……クソッ、……ちくしょォ……ちくしょうゥ……ッ!」
どれだけ取り繕ったって、敗北は敗北。
勝ちたかった。
勝利より尊い敗北を得たとしても――負けていい理由には、ならないのだ。
ユウジの背後で、ジュリが言葉をかけようとしては、なんと言っていいかわからずに口を閉ざすということを繰り返していた。
そこへ通り掛かる人影があった。
次の試合へ出場する選手だろう。
その姿に、ユウジは見覚えがあった。
「…………頑張りましたね」
小さな声、一言。
何度も耳にした声だった。
身長はかなり小さい。顔立ちも体つきも幼くて、小学生にすら見えてしまう。なのにその瞳には強い意志が宿っていて、見た目の幼さからは信じられないような鋭い目つきになったりする。
鮮やかな桜色の足元までありそうな髪がふわりと舞う。人間からするとは思えないようないい香りが周囲に振りまかれる。
白を基調に、黄色のラインが入る黄閃学園の制服。短めのスカート。細い脚を包むニーソックス。スカートとニーソの間から垣間見える細い太ももが眩しい。
ユウジはその少女を知っている。
知っているに、決まっていた。
声をかけた少女の名は――爛漫院オウカ。
「…………うぇっ、あ、う、オウカちゃ……ん!? な、んで……!?」
「……ふふふ~……なんでだと思います~?」
「え、そんな、まさか……まさか、僕の、ために来てくれた……っっっ!?!?」
「ぶぶー、ざぁーんねんっ♡ ハズレですっ♡ 私、次試合ですから通りかかっただけですよー」
甘い声で、無慈悲に笑顔で告げられる正解。
「うあっ、ああああああああああ、そりゃそうだあああああああああ~~~~~~!!」
さっきまでと違う理由で泣きそうになった。
あまりにも自惚れた発言だった。
「……でも、君じゃなかったら声をかけたりしませんでしたよ? ……いつもライブやイベントで結構会いに来てくれてますよね? ね……ユウジさん」
「えっ、それはもう、もっ、もちろん! えっ、なんでっ、僕のことっ」
覚えていてくれた!!!! とユウジは雷に打たれたような衝撃を受けた。
オウカはファンにいつでも塩対応はせず、しっかりと覚えていてくれることで評判だ。それでもやはり、憧れの存在に覚えていてもらったと実感できる瞬間は嬉しい。
「ふふ、養分ちゃんのことはみーんな覚えてますよ?」
養分ちゃん、とは彼女のファンを指す独自の用語だ。
養分、というと響きがよくない上に、チェリーというのもかなり過激ではあるが、ファンは自身という「桜の木」を育ててくれる存在、ファンも自分も未熟だが、ともに成長していくというような意味が込められている。
「いつもありがとございますっ♡ それから、試合……すごかったです」
「え、と、あの! オウカちゃんのおかげです、いつも、歌、聴いてたんでっ!」
ステージ上や画面の向こうという遠い場所にいるはずのアイドルが、目の前にいる。
ただ目の前にいる、というだけなら握手会等のイベントで経験はあるが、それでもああいったイベントは『握手をする権利』に対価を払っているし、その上時間はほんの僅か、さらに周囲には自分と同じような人間が大量にいて、交わされる会話はほんの一瞬。
もちろん、あの一瞬に懸けるファンとアイドルの想いもあるが――。
こうして、ファンとしてではなく、個人として、向き合って。
一定以上話しているとやってくる無粋な「剥がし」も介さずに、憧れの存在と接しているというのはあまりにも異常事態だったため、要領を得ない片言の返答になってしまう。
「それもありがとっ♡ でも、私は所詮、応援しただけですよ? それは君の頑張りですから、誇っていいと思いますっ!」
「…………あっ、ありがとう、ございます……っ!」
「では、行きますね。これからも頑張ってください、私も頑張りますから!」
「……はいっ! もちろん! 試合、頑張ってください! いつも通り、いやいつも以上に応援します! 僕も頑張るからっ!」
「うん、ありがとっ。……君の頑張りが、なによりの応援になりました。私が応援した人がこんなに頑張ってるんだから、私も頑張らなくちゃって……だから頑張りますっ!」
優しい声音でそう言って、オウカは戦いの舞台へ向かっていく。
だが――最後に振り返って、
「……だから、今日はちょっとだけ特別でした。
他の養分ちゃん達には内緒ですからねっ♡」
そっと人差し指を桜色の唇に当てて、悪戯っぽい、小悪魔めいた笑みを浮かべてウィンク。
あらゆる所作が、本当に様になっている。
同年代の女子と比べても小さな体ながら、その存在感は凄まじい。動作の一つ一つが、声音が、全てに不思議な力が宿っているようだ。オーラがある、というのはこういうことを言うのだろう。
そして、オウカは戦いの舞台へ向かっていった。
残されたユウジ――――そして、ジュリは、しばらく呆然としつつ、彼女の背を眺めてしまっていた。
……それから。
「………………しょうがないけど! こんなことあったらしょうがないけど! ユウジくん、でれでれしすぎ!」
「…………ごめん」
「…………確かに、可愛かったけど!」
「…………ジュリがいなかったらガチ恋してた」
「もぉぉぉ~~~っっ!!! はぁ~~!? わかるけどっ! わかるけどさっ、そういうのは胸の中に留めておいてよっっっ!」
べしっ、とユウジの額に、ジュリのチョップが放たれた。
「でも! 僕はジュリにガチ恋だからっ!」
「…………いきなり恥ずかしいこと言うなっ!」
ボコッ、とユウジの腹部にジュリの鉤突きがめり込んだ。
その後もいくつか、二人の年季を感じさせる息の合ったやり取りをした後、
「…………生オウカちゃん、ホントに可愛かったね……」
「…………うん」
「…………サインもらえばよかった」
「…………僕、結構もってる」
と、しみじみと噛み締めながら、二人はその場を後にして、観客席へと向かった。
◇
今よりも昔――この彩神剣祭の第一回大会が行われるよりも前、世界はその姿を大きく変えた。
異能者――――つまり、騎士の出現。
厳密には、それまで社会から秘匿されていた存在が、表舞台に姿を表したのだ。
当然、すんなりと受け入れられるはずがない。様々な問題があり、先人達はその度に様々は方法でそれに対処してきた。その努力があって、今の社会の形がある。
日本のように、《異能》が個性として受け入れられているような、異能者にとって幸せな形の国もあれば、もっとずっと《異能》に対しての風当たりが強い国もある。
ともあれ――それは歴史の話であり、ここで全てを語り切ることはできない。
ここで語ることは一つ。
世界が変わったことによって、その影響を受けたものはたくさんある。
大きく変わったモノ――――いいや、今まさに変わろうとしているモノの話をしよう。
それは、アイドルだ。
世界は変わった。
そして――アイドルも、変わろうとしている。
◇
時は少し遡って、試合前――オウカは控室で、そんなことが書かれた記事をホロウィンドウ上に表示して読んでいた。
その記事で話題に上がっているのは、オウカのことだった。
歌って踊って、戦えるアイドル。
アイドルとして活動しながら、騎士としても良い成績を残している――どころか、言わば学生騎士の全国大会である彩神剣祭にすら出場している。
これがどれだけ異常なことか。
どんな競技でもいいが、アイドルが全国大会に出ている、と想像してもらえば理解できるだろう。
ただ顔がいいだけではない。彼女は歌もダンスも、ライブでのMCもバラエティでのトークもリアクションも、イベントでのファンへの対応も、なにもかもが一級。
その上で――――強い。
これで人気が出ないはずがなかった。
「ふっふっふ……ついに! ついにここまで来ました!」
この後ユウジに見せることになるアイドル然とした可愛らしい笑顔とはまったく別の笑み。
いやらしく吊り上げた口端。
怪しく光る瞳。
――実はわりとファンの間では周知である、オウカのゲスな笑みだった。
常に敬語で、丁寧かつ可愛らしい、というかあざとい振る舞いのオウカ。
彼女は自身を徹底的に可愛く見せることに拘りがあった。
そして、その本性はかなり腹黒い――というか、計算高いものだった。
当たり前と言えば、当たり前の話だ。
自分を可愛く見せるための計算を惜しむつもりはない。天然で可愛らしく振る舞える者もいるのだろうが――少なくとも、オウカはそんなタイプではない。
彼女の可愛らしさは、徹底した計算と努力の結晶だ。
「私の可愛さを世間に知らしめることは、まあとりあえず、第一段階では成功と言えるでしょう。なら次は! 私の強さを知らしめる時ですっ!」
イスに片足を乗せ、びしっと人差し指を突き上げてポーズを決めるオウカ。
しっかりと靴を抜いでいるところが育ちが良い――というよりは、小心者なところが垣間見えている。
「……わー、ぱちぱちー」
棒読みで、淡々としたリズムの拍手をしてみせる少女。
ハイテンションなオウカに、ダウナーに返しているのは、彼女の魂装者。
朽葉凛音。
真っ白い雪のような髪を肩より少し下まで伸ばしたセミロングにしている。瞳はいつも半眼で、どこか眠たげだ。常に元気なオウカとは対照的で、常にだるそうに、眠そうにしている。
身長はオウカより少し高め。だがそもそもオウカがかなり低いので、やはり彼女も同年代の平均以下。しかし胸が真っ平らなオウカと違って、低い身長のわりにはかなり大きめのEカップ。そこはオウカにかなり恨まれている。
彼女は魂装者であり、さらにオウカとユニットを組むアイドルでもある。
およそアイドルらしさからはかけ離れているが、それでもオウカが組みたいと言い出しただけの理由が、リンネという少女にはあるのだ。
「リン~? 相変わらずですねー、あなたは本当にもうっ! 雑っ! 私へのリアクションが、雑ですようっ!」
「…………いやいや、これでもわたしは精一杯の良いリアクションをしているのだが」
「棒読みじゃないですかっ!」
「……文句の多い女めー」
「むぅー、あなたがいつまで経ってもそんなだからでしょうっ」
露骨にふくれっ面になるオウカ。キャラ作りとしてあざとく頬をふくらませることも多いが、その結果素でこの表情を作るようになってしまった。
そして二人きりの時にわざわざ意識してあざとさを追求することはないので、これは完全に素でやっている。プロ意識が生み出したあざとさだ。とにかくあざとい。
「……ならどうすればいい?」
「そうですね……。リンも立ち上がって、こう天を指差してー」
「……わたしのキャラじゃないだろう」
「ぐっ、確かにそうです……」
リンネのアイドルにあるまじきローテンションは、彼女単体で見れば問題だ。
だが、彼女はオウカへのツッコミ、ブレーキ役となっており、横にやかましいオウカがいることでバランスが取れているのだった。
「……これでもわたしとしてはテンションが高いつもりなのだ、勘弁してくれ。わたしだって高まるさ、やっと始まるのだからね……きみの、復讐が」
「ふふ、ふふふ……ええ、ええ! そうです、そうですよっ! もぉ、わかってるじゃないですか、リン!」
ぐっ、と拳を握り、にやついた笑みを浮かべるオウカ。
復讐。
アイドルらしさとはかけ離れた単語。
彼女がそうして笑っていると――、
突然控え室のドアが開け放たれた。
「ひゃっふーっ! オウカちゃん、リンネちゃん、調子はどう~!? みんなのアイドルにして先生のまつりちゃんだよー! ジャスミンの花言葉は『官能』!」
顔を><にして突撃してきたのは、黄閃学園の教師である風祭茉莉だった。
ツーサイドアップにした翡翠色の髪。黒のタイトなスーツ、短めなスカート。
黒タイツに包まれた脚。服装だけ見れば大人の女性だが、どう見ても同年代……いや中学生くらいにしか見えない。なのに胸はスーツを盛り上げて主張している。
オウカの宿敵、ロリ巨乳一族の者だった。
「……やあ、先生。今日も元気でなによりです」
「……なにしに来たんですか?」
ぺこりとお辞儀をするリンネ。
対照的に、オウカは一瞬で物凄く不機嫌になった。
「リンネちゃんー、先生は今日も元気だよー! ……オウカちゃん!? 応援しに来たんだよ!? 目つきが! すごく嫌そう! なんで?」
「突然部屋の平均年齢が引き上げられてしまったので」
「な、なんてことをっ><」
ショックでのけぞるマツリ。
相変わらず、オウカはマツリにだけは辛辣であった。誰にでも愛想よく振る舞う彼女が、どういうわけかマツリにだけはやたらと厳しい。
「……今は学校の外で、しかもファンのみんなも見てないのに、どうしてなのオウカちゃん……先生、かなしい……しくしく……」
「……別に、私はいつでもこうですけど」
両手を使って泣き真似をするマツリ。
マツリは学園内ではかなりの人気を誇る。学外も含めてしまえば、オウカの方が当然人気は上だが、学内に限ればオウカとマツリで人気を二分しているのだ。
オウカが現在、アイドルとして活動していることを考えれば、マツリの人気は学内限定とはいえ凄まじいものだろう。
マツリは、オウカが自身に当たりがきついのは、そこが原因だと思っていた。だから、学外かつファンの目がない時は、普段のようにはならないと思っていたのだが――その予想は外れてしまった。
「……じゃ、私達そろそろ行きますね。応援はありがとうございます」
「うん! 頑張ってねっ!」
別に、あなたに言われなくても――――小さな声で、そう漏らしてから控え室を出て行くオウカと、後に続くリンネ。
◇
オウカの復讐。
その相手は――マツリだった。
オウカはかつて、今からは想像できない程内気で、暗くて、友達もおらず、孤独に過ごしていた。
魔力が発現する前で、今とは違って真っ黒な髪。前髪は少し長くて、陰気そう印象を受ける。
そんな彼女にも、好きなものはあった。
アイドル。
孤独な彼女を救ってくれたのは、アイドルだった。
オウカの母にはちょっと変わった趣味がある。それはアイドルの応援だ。母に連れられて、小さな会場でのライブを見に行った時のことだ。
その時、オウカが受けた衝撃を言葉にするのは難しい。
世界には、こんなにも素晴らしいものがあるのかと思った。
こんなにも輝いている人間がいるのか。
暗い自分とは正反対の、遠い世界の住人。
幼い少女は、目を輝かせて、ステージの上に釘付けになった。
そのステージで踊っていたのが、若かりし頃のマツリだった。
今でこそふざけたアイドルキャラで教師をやっているマツリだが、彼女はかつて、本当にアイドルをやっていたのだ。
オウカを救ってくれたのが、マツリだった。
それからのオウカは、変わった。必死にマツリの真似をして、明るく振る舞おうとした。
歌やダンスの練習もたくさんした。いつかマツリのようなアイドルになりたいと思った。
そうしたら、自然と変われた。
少しずつ友達も出来て――やがて、いつしか彼女はクラスでも人気者になっていた。
しかし、オウカはそんなところで満足するつもりはない。
早くアイドルになりたい。
アイドルになって、マツリに会って、お礼を言いたい。
マツリに会おうと思えば、イベント等で会うことはできる。だが、あえてそうしたイベントに行くことはやめた。
感謝を伝える時は、自分が彼女と少しでも対等になれた時と決めていた。
だからちゃんと、彼女と同じようにアイドルになれた時に。
そうやって日々努力して、オーディション等を何度も受けては落選し、それでも諦めないで頑張り続けていたある時――。
マツリが、アイドルをやめてしまった。
突然の引退。
…………ありえない、ことだった。
これから本格的にブレイクするのではという、大事な時だった。
だというのに、それっきりマツリは、表舞台から消えてしまった。
突然、全ての希望を奪われた気がした。
これまで頑張ってきた理由が、なくなってしまった。
憧れが、希望が……オウカが目指していた遠い星が、消えてしまった。
ぽっかりと、心に穴が空いた。
許せなかった。
わけもわからないまま、空っぽの日々を過ごした。
何度も泣いた。
納得がいかなかった。
心に空いた穴を埋めたのは、憎悪だった。
――――私は、あんなふうにはならない。
あんな、中途半端では終わらない。
夢から背を向けることなどしない。
夢を見せるのをやめたりしなない。
ファンを裏切るような真似はしない。
私は、あんなアイドルにはならない。
私は、消えない。
胸に空いた穴を憎悪で埋めて、前よりも苛烈に努力を重ねるようになったオウカ。
それからのことだった。
マツリが、黄閃学園で教師をしていることを知ったのは。
オウカが黄閃を選んだのは、マツリのためだ。
だが、彼女にあの時の真相を聞くためではない。
彼女に今の自分を見てもらおうと思ったわけでもない。
これは、復讐なのだ。
マツリよりもずっとすごいアイドルになった上で、その時にマツリに全てを告げる。
自分はマツリに憧れてここまで来た。
それでも、マツリのようには絶対にならない。
あんな裏切りはしない。
あんな半端はしない。
あなたに憧れても、あなたのようには絶対にならない、消えてなんてやらない、これからも上を目指し続ける。
――――風祭マツリにそう突きつけてやるのが、爛漫院オウカの復讐。
◇
「さあ、行きましょう、リン」
「……うん、可愛らしいファンに勇気をもらったことだしね。こんなところでは負けてやれない」
「当っっっっ然ですっっっ! 勝ちますよ! あと! ファンじゃなくて養分ちゃんですよっ!」
「…………前から思っていたのだが、その呼び方、恥ずかしい」
そして舞台へ上がるオウカ。
舞台も舞台も、オウカにとっては変わらない。観客の視線をかっさらい、自身に釘付けにするという点では同じ。
彼女もまた、ある種の逆襲者と言えるだろう。
自身の過去に。
自身を裏切った者に。
自身の手で、ケリをつける。
世界は変わった。
それでもまだ、アイドルが戦うなんて――と、そう口にする。そんな古い世間にも、自分という存在を突きつけてやるのだ。
アイドルが戦って、なにが悪い?
自身の戦う姿を見せ、観客を魅了し、憧憬を受けて、勇気を与える。
それは、騎士もアイドルもなにも変わらないだろう。
だからオウカは戦う。
新しいアイドルの形を求めて。
大会で優勝すれば、今よりももっと人気になれる。
オウカは人気を得る手段を選ばない。
もっと上に行く。
だから、こんなところでは負けられない。
――――消えてしまった、あの憧憬を否定するために。
一回戦Cブロック第三試合、爛漫院オウカ対ルピアーネ・プラタ。
強く、気高く、可愛らしく、鮮やかな――――復讐のための戦いが始まる。




