プロローグ 出題編
――――では、問題を出そう。
□ □ □
わたしには、ずっと求めているものがあったはずだ。
パパとママの笑顔。
結んでくれたリボン。
幸せな日々。
あの日々は。
あの幸せは。
どうして――――?
……。
………………。
……………………わたしは何を求めているのだろう?
簡単だ。
愛だ。
愛が欲しい。
ジンヤ、ああジンヤ……彼だ、彼しかいない、彼が、彼だけが救ってくれた、彼だけが救ってくれる、彼だけが欲しい、他にはなにもいらない。
そう、彼が……ジンヤ……じんや……わたしは……アンナは……。
そうだ、そうに決まっている。
これが、答え。
そのはずなのに、ならばわたしのこの渇きは――――。
いいや、違う。
きっと満たされていないから。
愛を邪魔するモノがあるから。
それさえ取り除いて、愛を手に入れれば。
そうに決まっている。
だってわたしが望んでいるのは、ジンヤの愛だけなんだから。
□ □ □
既に一つ、ぼくからは問題を出しているけどさらにもう一問。
ぼくが大好きなこと。
人間が大好きなこと。
みんなそれが大好きなのに、みんなそれが大好きなことを隠してしまう。
それは誰しもが抱えるもの。
誰しも、それとの付き合い方を考える。
まあ……人によってはそんなこと考える暇もないかもしれないけどね?
さて。
ぼくには大好きなものがあります。
それはなんでしょう?
答えは……。
まあ、これから騎装都市をひっくり返して見せてあげるよー?
□ □ □
キミの正義を問わせてもらおう。
これは、もしもの話だ。
もしも、キミが自身の持つ力を悪用する騎士――つまり、悪と対峙したとして、その悪に人質を取られているとしましょう。
悪の手には一人の人質。
さらにキミの背後には、五人、守るべき人間がいるとします。
悪は五人を引き渡すように要求してきます。
そうすれば、一人の人質は助かる。
でなければ、一人の人質を殺すといいます。
一人か、五人か。
この問いにおいて、余計なたらればを差し挟む余地はないとします。
『もしも』は、この問い自体のみで、それ以上のもしもは、もうありません。
悪が隙を見せるだとか、人質が実は悪よりも強い力を持っていただとか、都合よく窮地を脱する力に覚醒するだとか、そういう問いの本質を覆すような自体は起こり得ないものと考えてください。
……現実だってそうですよね?
今まで悪に相対した時、ご都合主義の奇跡に助けられた経験がありますか?
問いの本質はこうです。
正義のために、その手を汚す覚悟はありますか?
正義のために、何かを犠牲にする覚悟はありますか?
……さあ、キミならどうしますか?
□ □ □
問1 屍蝋アンナ 愛の問題
問2 罪桐ユウ 悪の問題
問3 ■■■■■ 正義の問題
さて、設問は示した。
では、解答を語ろう。
努力と才能に悩み、夢と約束を求めた逆襲譚。
親友との至上の決着のために刃を交えた友情譚。
そして。
次なる物語――
愛、悪、正義。
――――狂愛譚は、そんな、とてもありふれたものが主題の物語だ。




