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迅雷の逆襲譚〈ヴァンジャンス〉  作者: らーゆ
第2章 疾風と迅雷の友情譚
28/164

 ね く す と ぷ ろ ろ ー ぐ 

やっぱりじんやはすごい! すごくいい試合だった! はぁ……すてき、あの表情、あの笑顔、あの声、あのボロボロになってもすこしもあきらめない姿、血だらけになっても突き進む勇敢さ。……とってもすてき……。あ、はやてもよかったかな、さすがアンナの弟弟子です、よくがんばったね。じんやぁぁ……はやく会いたいな……はやく戦いたい……おしえてあげないとね、誰がじんやにふさわしいのか! ねえ、らいかさん? その『いんらん』な体で、おーっきなおっぱいでじんやをたぶらかしたことなんてわかってるんだから、じんやがおおきなおっぱいがすきなことも、アンナは知ってます。でもね……たしかに、たしかに……アンナはぺったんこだけど……でも、この胸にやどったじんやへの想いならぜったい、ぜぇぇっっったいにまけないんだから……らいかさんみたいな『どろぼーねこ』にまけないからね……おっぱいでまけてるのは……うう、くやしいけど……すぐにおおきくなるもん! たのしみにしてねえ、じんや……らいかさんなんて『まないた』に見えるくらい、せくしーになってあげるからね……♡ 今はまだ、ひんそうなアンナで我慢してください。こんな体なら、いくらでも好きに使ってくれていいんだからね? らいかさんはどうなのかな? そんなことできないよね? してたらどうしよう……殺し……ううんダメダメ、ダメだよね……それは考えるだけにします。だって、そんなの意味がない。らいかさんを殺したところで、都合よくじんやが手に入るわけないんだもん。『もーそーとげんじつ』の区別くらい、アンナにはつくんだよ? しょーめいしてあげるね……らいかさんなんて、いらないって。ああ、アンナはこんなに強くなっちゃったから、もう、じんやにたすけてもらう必要もないかもね? それはちょっとざんねんだな……あの時、じんやがアンナをたすけてくれたとき、アンナは自分のきもちに気づけたんだし……あの時、アンナは、アンナになれたんだよ! じんやがアンナをアンナにしてくれたの! おくびょうで……うじうじしてて、ひとりでなにもできない、ひとみしりの、ひきこもりの、どうしようもない、つまんない、だめな女の子をね、最強にしてくれたの! 自分を卑下するのはだめだよね……はんせいです。だってアンナはじんやにふさわしい女の子なんだから……、じんやの女の子を卑下するなんてだめだよね。あうぅ……わるいくせです、なかなかなおりません……でも、がんばってなおすね。いつかアンナは、アンナを好きになれると思います。……じんやがアンナを抱きしめて、すきだよっていってくれたら、きっとすぐにアンナはアンナを好きになれると思うんだけどなあ……ううん、そんなふうに『うけみ』じゃ、なにもかわらないよね、なにかを変えるならそれは自分で行動しないとだよね……うん、だからがんばらなくちゃ……だからね……うん、えーっとなにがいいたいかっていうと……




























 か く ご し て お い て ね 、 ら い か さ ん ?

































それから


まっててね、じんや……


はやくリボンをむすびにきてね 


かならず、ぜったい、かくじつに、じんやはアンナをえらぶんだから……






































 □ □ □






























 


                    「ギヒ、」






























「――ギヒヒ……ギハハ……ギヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!」




 この世界で最も悪辣な哄笑があった。

 人類最悪の少年は笑う。


 

 ついにこの時がやってきた。


 あの少女……あの、どこまでも愚かな少女の愛が臨界を迎える瞬間。

 それが、少年の待ち望んでいた瞬間なのだ。


 もうすぐだ、もうすぐその時がやってくる。

 

 

 罪桐ユウは、笑う。


 罪桐ユウは、遊ぶ。




 父――カイのように、他者の罪を、その罪を以て戒める……などと、面白みのないことに興味はない。




 彼にとって、罪とは玩具だ。


 彼にとって、人とは玩具だ。



 人間は、誰しも罪を抱えている。



 ユウは、その罪で遊ぶことを、至上の喜びとしている。

 あるいは彼は、人が抱える業そのものが、人間の形を成しているのかもしれない。



 人である以上は、罪を抱える。

 罪を抱える以上、彼の玩具であることからは逃れられない。


 


 

「さあ……楽しませてよねえ…………あっ、そういえばこれはまだ彼女は知らないんだっけ?」







 彼女はまだ、自身が抱える、あまりにも残酷な運命を知らない。

 いいや、知らない・・・・とは、適切ではない。






 世界を終わらせる九人、《終末赫世騎士団ナイツ・オブ・ラグナロク》が一人。

 《想葬の幻城ヨトゥンヘイム・アインビルドゥング》の城主にして。

 《全ての笑顔に絶望をジョーカー・ジョーカー》の名を持つ少年。


 



 そして、彼のもう一つの顔。




 《炎獄の使徒アポストル・ムスペルヘイム》序列5位、《ピエロ》。






 罪桐ユウが、その事実を愛おしそうに口にした。








「《炎獄の使徒アポストル・ムスペルヘイム》序列2位――《グレイヴ》屍蝋アンナちゃーん。


 絶望のお時間で――――すっ! 


 あなたは、ぼくのおもちゃに選ばれましたーおめでとー! ぱちぱちぱちぱち~っ!


 残念だけど、アンナちゃんには、ぼくの今のマイブームに付き合ってもらいます!


 さて。ではここで問題です! ででん!


 ぼくのマイブーム、それはなんでしょう?


 殺人……は、飽きちゃいました! 


 なので……それは~~


 どぅるどぅるどぅるどぅるどぅるどぅるどぅるどぅる~


 ででーん! 

 

 じゃじゃーん!







 それは、死ぬよりも辛い思いをしてもらうことでーす!






 簡単でしょ?





 ……さーて、


 …………ねえ?























 死ぬより辛いことって、なんだと思う?























 簡単だよ?


 きっと、みんなもしたことあると思うなあー?


 ないかな?

 あるかな?


 ギヒヒ!


 答えはCMのあとで!

 なんちゃって。


 



 あ、ヒントね?

 



 グロ系じゃないよ? それじゃ殺人と被ってつまんないし!

 死んだほうがマシ! ってくらいの拷問とか、そのへんね。

 爪剥ぐとかさ、穴という穴にいろいろ突っ込むとかさ。

 そーゆーのはもういいや。

 もっとねー、精神的なヤツ!



 一滴の血も流さずに、泣き叫ばせてあげるね!



 あ、エロ系でもないよ? 

 血の一滴も、って言ったでしょ?

 だいじょーぶ、アンナちゃんの貞操はぼくが守る!

 死んだほうがマシ! ってくらいの強姦とか、そのへんね。それも違うよ。

 NTRとかいやだよねー、ねー?

 そういうのでもないさ、だってアンナちゃんは……あー、えっと……?

 なんだっけ、あのモブいやつの名前……? じんどー……じんどーなんとか!

 アンナちゃんは、じんどーなんとかのものだからね!

 そこは安心してね。


 さーて。

 なにかな~? なにかな、なにかな~?


 





 それじゃ、また来週~






 ばいばーい!





 ……ああ、楽しみだなあ、楽しみだなあ…………!」






 





 この星で最も重い愛を持つ少女は。

 この星で最悪の少年の、悪辣な趣向の餌食となることが確定していた。






 


 

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