接続章 運命は集い始めて
――第二十八回彩神剣祭、組み合わせ抽選会。
前日から、会場付近のホテルに選手達は宿泊している。
そのホテルは、そのまま大会期間中も使用される。抽選会の会場、スタジアム、ホテルは徒歩で行き来できる圏内、他にも調整用の模擬戦が可能な闘技場なども近くにある。
大会のスムーズな進行に適した立地にあった。
それもそのはず、なにせここは騎装都市。騎士と魂装者のための都市なのだから。 この街は、このためにあると言っても、過言ではない。
ジンヤがホテルの部屋から出る時。
「ジーンくんっ」
不意に、ライカがジンヤを抱き寄せ、頬にキスをした。
「……ちょ、ライカ……!」
何度も何度もキスをしていても、ジンヤはすぐに赤くなる。
ライカはそれが可愛くて仕方がない。
「抽選会、頑張るぞ! のちゅーだよ」
「頑張るとかあるのかな……?」
「頑張ればいい番号引けるよ」
「いやいやそんな無茶な」
「…………でも、あの女のアレを上書きしないとだから」
「あはは……根に持つね……あ、いやごめん、大丈夫大丈夫、上書きされたよ」
ジンヤとアンナの、衝撃の再会から二ヶ月。
ライカはキス魔になった。
二人きりの時だけで、頬などに、だが。
上書き、と言いつつ、唇へはしてこない。ジンヤの気分にも配慮してくれてる。
……なんともへたれなキス魔だった。
そこがジンヤにとっては、可愛らしいのだが。
□ □ □
「よー、ジンヤ。ちゃんと眠れたか?」
「まだ抽選会だし、そこまで緊張もしてないよ。別に寝不足でもクジは引けるし……まあ、よく眠れたよ、ホテルのベッド、すっごくふかふかだった」
「そうじゃねーよバカ。試合近いんだからはしゃぎすぎんなってこと!」
「え……?」
遅れて意味を察して、半眼で冷ややかなにハヤテを見つめるジンヤ。
「そういうハヤテはどうなのさ」
「いやあ、ナギが激しくてなあ、寝不足」
「……、」
いつもならばここでナギの拳が炸裂し、ハヤテは「ごッ、がああああああああああああああああああああああああ……」となるはずなのだが、ナギはどこか上の空だった。
「……おい、ナギー? オレの爆笑取れたボケ潰すなって」
「……あ、ああ……ごめん、ごめんね、なに?」
「しっかりしてくれよ、ツッコミのキレがねえとボケが死ぬぜ。まあいいや、じゃ、さっさと会場いくか!」
「うん。他にどんな人達が来るかも気になるしね……後から行くよりも、先に行ってたほうが雰囲気に呑まれなくて済みそうだし」
「かてーなあ。オレは別にいつ行こうが、誰がいようが関係ねーけどな」
「頼もしい。約束、忘れてないだろうね?」
「おう。やっぱやるなら決勝だよな、いい感じに逆のブロック引けよ? わかってんだろうな?」
「もちろん。ハヤテこそね」
拳をぶつけ合う二人。
一年前――。
共に高めあった二年間の修行の日々、その最後に……二人は約束をした。
『あーちくしょうッ! なんだよ、オレが出て行くんだからそこはオレに花持たせろよ! ジンヤそういうとこあるよな、お前!』
『あっはは、嫌だよ、負けっぱなしは悔しいからね』
『じゃあもっかい! オレが勝って出ていく!』
『やだ。僕が勝ったまま出て行け』
『あァ!? てめー……マジで負けず嫌いだな』
『キミもね』
『……っはは、オッケー、じゃあ勝負は預けてやるよ、次会った時はガチの勝負といこうぜ、お互いにちゃんと魂装者持っての、全力だ』
『うん……約束だ』
あの時と異なるのは……両者、最愛の魂装者と共にあること。
あの時と同じなのは……胸に燃える、最高の親友への想い。
ジンヤの胸は高鳴る。
まだ見ぬ強敵。
そして、ずっと見据え続けた親友。
それに……あの因縁の少年だっている。
未知の強敵、親友、因縁……誰と当たろうが、最高の戦いが待ち受ける、最高の舞台。
どんな相手だろうが、望むところだった。
□ □ □
ジンヤ達が入場した瞬間、場内で少しずつ視線が集まり、囁き声が響き始める。
『……繚乱の一位に、黄閃の一位だ!』
『あの龍上ミヅキを倒したんだろ……!? 今年の黄閃、ヤベえんじゃねえか!?』
『繚乱も全然負けてねえよ、なんたって風狩ハヤテだぞ? 今年のナンバーワンルーキーには、龍上より、断然アイツを推すね』
『キララちゃん一緒じゃねーのか?』
『オウカたんは?』
『男だけかよ……ぺっ』
『でも、魂装者の娘達可愛くね?』
『うお、すげえ、なんだありゃ……!』
『その横もすげえ、なんつー平らさ……!』
「ハヤテくん、ちょっとあのへんに向けて《翠竜閃翼》お願いできる?」
翠竜寺ナギが、キレた。
噂の的になったジンヤ達一行。
彼らは七つの学園の黄閃と繚乱の1位。この都市の頂点に君臨する騎士なのだ、注目度も桁違いだ。
ジンヤとしては、ただ己の因縁のためだけに当時1位だったミヅキと戦ったので、あまり自覚はなかったのだが、あれからもう三ヶ月。街で声をかけられることも増えて、やっと自覚が出てきたが、ここまでの注目は初めてだ。
会場には、出場選手の他に、選手の付き添いも大勢いる。
この会場に来ているくらいだ、当然大会には注目している者ばかり。
なのでこの場において、刃堂ジンヤや、風狩ハヤテの知名度は100%、彼らを知らぬ者などいない。
注目されている自覚はあっても、それに慣れることはない。根が小心者な上に、ずっと虐げられてきたジンヤだ。
向けられる視線に照れつつも、隣にいるハヤテに感謝する。
注目度で言えば、ハヤテは圧倒的だった。
今年の一年の中で最強は誰か? 真っ先に名が上がるのは、ミヅキかハヤテ。
ミヅキに勝利したジンヤだが、戦闘スタイルのピーキーさから、遠距離タイプとぶつかれば終わりだという意見や、そもそもミヅキに勝ったのも何かの間違いだというものさえある。
なので最強議論からは外されてしまうことも多い、が……。
「くっだらねえ……」
不機嫌そうに現れたのは、銀髪の少年――龍上ミヅキだった。
再び騒然とする会場。
『出た、龍上だ……!』
『中学時代、全国三連覇! 中学時代から超高校級なんだ、ルーキー最強はアイツに決まってるし、優勝だって狙えるぜ!』
己を褒め称える者達の言葉を、ミヅキは下らないと一蹴する。
「その時に強いヤツが勝つ、そんだけだろうが」
大勢からの注目に、彼なりに辟易しているようだった。
「……みづきがさいきょー、これできまり、あとはよわい」
後ろにぴったりとくっつく同じく銀髪の少女、めるく。
ミヅキとジンヤの視線が、僅かに交わる――
「あの、龍上くん……!」
「…………、……チッ」
ミヅキはジンヤに視線をやり、それから横に立つハヤテを睨めつけ――一瞬、凄まじい形相を浮かべた。
視線だけで相手を凍てつかせ、噛み砕かんとする絶対零度の視線。
「おー、こわ……すげー見てる」
柳に風。ハヤテはミヅキの殺意に満ちた視線を軽く流す。
ミヅキがその場を去ろうとした時。
「……龍上くん、この間はありがとうッ!」
その背中に、ジンヤは感謝を届ける。《使徒》との戦い、レイガに窮地に追いやられた時に、ミヅキには助けられた。
「ボケたかよ。言ったろうが、オレが勝手にやったことだってな」
「何度でも言うけど、勝手に感謝してるよ」
その言葉を耳にして、ミヅキは再び舌打ちを一つ。
そして。
「……礼なら、あそこでもらってやる」
会場の壁に張り出された、未だ余白が残るトーナメント表。
この場に集まる騎士達の名を刻んで、あれはやっと完成する。
ミヅキが指差したのは、その頂点。
「……そうだね。どうなるかわからないけど……うん、そういう巡り合わせになれば。変に思われるかもしれないけど……僕は、キミとの戦いが好きなんだ」
刹那、ミヅキの脳裏に想起される言葉が。
『……ねえ、龍上君……キミは今、楽しくないかい?』
『……あァ?』
『僕は楽しいよ。強い相手に、己の全力をぶつけられる。こんなに楽しいことは他にないよ』
『……馬鹿が、下らねえ……』
そして。
「……ハッ」
ミヅキは笑う。
どこまでも獰猛に。
どこまでも凶悪に。
そして、どこまでも楽しそうに。
それだけだった。
笑みを一つ残して、龍上ミヅキはジンヤとハヤテに背を向け歩み出す。
「………………べー、っだ」
めるくがハヤテとナギに向けて舌を出し、それから慌ててミヅキの後を追う。
ジンヤは首を傾げる。
……自分ではなくなぜハヤテ達に、と。
□ □ □
その後も様々な騎士が会場に到着し、何度か場内はざわめくが、ジンヤ、ハヤテ、ミヅキの時を超えることはなかった。
だが。
彼らと同等のざわめきが再び起こる。
現れたのは、金髪の少年だった。
背はジンヤと同じくらい。
ジンヤが167センチ、最近発表の高1男子平均より1センチ低いのが悩みの種だ。
ちなみにハヤテが178、ミヅキが182だ。ジンヤはハヤテに対し、常々身長を178センチほど寄越せと思っている。その場合、ハヤテは消滅してしまうのだが、彼の恨みは、憧れは、渇望は……それほど深い。
『今度は煌王の一位、輝竜ユウヒだ!』
『輝竜だって、龍上や風狩に負けてねえぞ!』
ああそうだ――とジンヤは記憶の中に該当する情報があることに思い至る。
□ □ □
僕は、彼のことを知っている。
輝竜ユウヒ。
学園序列は七校中五位、煌王学園の頂点。
龍上くん、ハヤテ……そして彼で、今年の三大ルーキーだ。
彼らは一年にして入学時に、自身の学園の頂点にいた上級生を倒して序列一位となり……。
……って、黄閃の序列は、龍上くんが二位で僕が一位なんだよなあ……。
でも、『月刊騎士道』の剣祭特集号では、そうなっていた。いや、龍上くんを抜いて僕を三大に入れろとは言わない……せめて四大にしろよ! 僕も入れてよ!
……編集部の電話番号載ってたよな。いや、いいや……実力で次の号の特集を僕にしてやろう。
ちなみに、黄閃の僕、繚乱のハヤテ、煌王の輝竜くんを除く四校の序列一位は、上級生だったはず。
残りの各学園序列一位は、二年が二人、三年が二人だったはず。
……ルーキーが豊作な年、とも雑誌にあった。確かに一年で序列一位なんて、年に一人いるかどうかという程度のレア度だろう。
僕もレアなんだけどね……えへへ……。
そして。
その煌王の序列一位、三大ルーキー(四大にしろ)の一人が、こちらへやってきた。
僕の前で立ち止まる。
金色の髪、青い瞳。外国人のような顔立ちだ。髪や瞳は属性次第だけど、顔立ちまで日本人離れしてるとなると、ハーフかもしれない。
対して僕は、凡庸な顔立ちの日本人……いや、母さんは美人だし、父さんは格好いい。なぜ僕は……。
金髪碧眼の彼。
黒髪黒目の僕。
見つめ合うこと数瞬――そして。
「……刃堂ジンヤさん……ですよね? 今年三人いる一年にして学園序列一位の。……なんて、ボクが言うのも変ですが」
優しげな声音。柔らかい喋り方。
あ、一人称は「ボク」なんだ……なんて、変なところを気にしてしまう。
とにかく優しそうで、好印象だ。
それに……っ!
『……刃堂ジンヤさん……ですよね? 今年三人いる一年にして学園序列一位の』
月刊騎士道の記事に傷ついた僕の心を癒やしてくれる確認だった!
「……うん、どうにかね。キミもだよね? 雑誌で見たよ、輝竜くん」
「あの雑誌はあまり好みませんね。キミの凄さを理解してない」
「あはは……まあでも、他の騎士の情報は助かってるよ。こうしてキミとの話の種にもなったし」
「そこだけは認めましょう。刃堂さんを低く見積もったことは許しがたいですが」
…………いい人だ!
僕の中で、輝竜くんはいい人認定された。
というか、僕はあまり同年代の友達がいないので、優しくされるとおそらくチョロい。
「……なんか、僕のこと買ってくれてる?」
「正当な評価です。龍上さんとあれだけやれる騎士なら、優勝も狙える……と、ボクは思っていますよ」
本当にいい人だ。
……なんだろう、僕この人に何かした? 初対面だけど……やたら優しい。
誰にでもこういう感じなのだろうか。
ただ、正当な評価をすることに拘りがあるとか?
彼の人となりは謎だが、それは初対面なので当然。
僕にとっての彼への第一印象はとても良いものだった。
……ハヤテ以来かな、こういうことは……なんて考えていると。
「……じー」
「……あ、オレも。……じー」
ライカとハヤテが、こちらを睨んでくる。
「な、なに?」
「ジンくんが取られて辛い、っていう視線」
「オレもオレもー、ジンヤが寝取られた……つれえ……って視線!」
「二人ともどうかしてるよ……」
特にハヤテ。なに言ってるんだもう。
だいたい少し話しただけだろう。まあ勝手に二人で盛り上がられても、そこに参加できないと面白くないか。
……わかる。
中学時代、ハヤテといる時かなりこういうことがあった!
ハヤテは誰とでも仲良くできる、なので人が集まる。ただハヤテ目当てで集まってきた人は僕に興味がない、なので僕はハブられる……。
うう、あまり思い出したくない過去だ。
でもそういう時はハヤテが察してくれるし、後から謝られたりするんだけどね。
……まあ、謝られるのもそれはそれで辛いけど、とにかくハヤテは僕を蔑ろにしたりしない。そんなの、僕もそうだ。
「大会で当たったらよろしくね、輝竜くん。キミとは気持ちのいい戦いができそうだ」
「……ええ、ボクも同じことを思いました。以前から思っていましたが、ますますキミと戦いたくなりました。当然のことですが――勝ち続ければ、必ずまた会えますよ」
「違いない。うん、お互い勝とうね」
「勿論。応援してます。それじゃ……一応、ボクも煌王の一位なので、他の代表のところへ行かないと。ちょっと問題児がいまして」
「問題児……? えっと……なんか大変みたいだけど、頑張って!」
「ありがとうございます。それでは」
そう言って、輝竜くんは爽やかに笑った。
なんでもない……いや、むしろ好印象なはずなのに、少しぞくりとした。
彼があまりにも完璧に笑うから。
まるで、太陽の輝きに焼かれるような……そんな、異常なまでの《正しさ》。彼に抱いたのは、そんな印象だ。
でも、好印象なことに変わりはない。
きっとあまりにも彼が爽やかで……しかもイケメンだから……少し己が情けなくなったのだろう、と僕はそんな結論を出した。
□ □ □
同時刻――キララは、迷っていた。
「ここどこ……ってか強そうな人多すぎ、もうマジ無理……助けて、ヤクモ先輩……」
「……ララ、怯えすぎ」
「いやいやユッキーこれマジやばいかんね? アタシほどになると、彩神剣祭出場選手、黄閃学園第四位、龍上キララ様程になると、相手のりきりょーとか超わかっちゃうんですけど? マジでみんな強い帰りたい」
ジンヤやヤクモなどと接していると鳴りを潜めるが、キララの素の性格はこちらが近いだろう。
すぐに調子に乗る、自分が大好き、人より上に立ちたい、基本的に小市民で、小悪党。
キララはそんな自分が大好きだったが、今は大嫌いになってしまった。けれどキララは自分が好きなので、自分を嫌いにはなりたくない……という、少しややこしい精神になってしまっている。
自分を好きになるにはどうすればいいか。
誇れる自分であればいい。
つまり――優勝すればいい。
「第四位って……黄閃の代表で最下位じゃん」
「うっさい!!!! ガン萎えするこというなしマジ! 底辺から頂点まで駆け上がる、これが一番熱いの! わかる?」
「そういうの大っ嫌いだったくせにね」
「マジでうっさい! あ、兄貴だ」
兄貴~と、既に席についているミヅキのもとへ駆け寄るキララ。
会場は前方に席が配置され、抽選が始まればそこへ着席していく。
ミヅキは長い脚を組んで座り目を閉じて、静かに運命が決まる時を待ち望んでいる。
めるくはそんなミヅキをじー……っとただ眺めている。
それだけで彼女はとても満足そうに、へらっと口元を歪めたりする。
「兄貴!」
うるせえのがきた最悪だ、とミヅキは思った。
「きらら、静かに」
「ごめん、めるちゃん! 兄貴、ジンジン……じゃない、刃堂ジンヤ見てない?」
自分とジンヤが仲良くしていることなど不愉快だろう、と兄の心中を察した配慮をするキララ。それがまたミヅキの神経を逆撫でる。どうでもよかった。
ミヅキは妹のことなど基本的にどうでもいいのだ。
どうでもいいが、こんなのでも家族だ。特別家族愛に溢れてはいないが、どうでもいいので嫌ってもいなかった。
「……チッ。……、」
ミヅキは舌打ちした後、背後を振り返り、ジンヤのいた方向を顎で示した。
「サンキュー! それじゃ! めるちゃんもバイバイ!」
「……じゃーな、きらら」
めるくはキララのことをナメていた。こいつは自分より下だ、と彼女の本能がそう判断を下している。
「……あ、兄貴!」
「……、」
ミヅキはキララに視線をやる。
「なんか、前よりもいい感じじゃん! そんだけ! じゃね!」
わけのわからないことを言って、キララは去っていった。
結局、ミヅキはキララの言葉に何一つ返事をしていない。
けれど、そんないい加減なやり取りで通じてしまうのが、兄妹というものなのだ。
尤も、ミヅキはそんな兄妹の在り方も、どうでもいいものなのだが。
□ □ □
「……ジンジン、ライちゃん、ナギナギ~……会いたかったよ~……!」
「オレは!?」
キララの言葉に驚くハヤテ。
ミヅキの道案内とも呼べぬ何かのお陰で、キララは無事ジンヤ達のもとへたどり着いた。
「あ、風狩くんはいいっス、大丈夫なんでほんと。ってかお久しぶり、髪切った?」
「切ってねえよ! 結構伸びてるわ!」
肩の辺りまで伸びている翡翠の髪をつまんでキレるハヤテ。
翡翠の髪は、綺麗に外側にハネている。今日は抽選会なので、髪型のスタイリングにも拘ってきているのだ。誰も喜んでいないが(ナギもそのせいで出るのが遅れそうになったのでキレた)。
キララはハヤテに冷たい。
初対面の時に、「うわ、すげえ……ライカちゃんといい、ジンヤおっぱいに囲まれて暮らしてるじゃん……ごっがああああああああああああああああ(ナギが殴った)」ということがあったので、キララはハヤテが苦手なのだ。
龍上キララはギャルで、処女だった。
セクハラされるのは苦手なのだ。
……風狩ハヤテは、女好きでチャラチャラしている。
そして顔が良くて強い、なのでかなりモテる。
しかし、ジンヤの周囲にいる女性陣からは、何故かあまり評判がよくなかった。
□ □ □
キララと彼女の魂装者、ユキカが加わったことで、会話も弾む。
――その時だった。
会場が、静まり返った。
直後。
爆発するような歓声に迎えられ、一人の男が現れた。




