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迅雷の逆襲譚〈ヴァンジャンス〉  作者: らーゆ
第2章 疾風と迅雷の友情譚
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 断章3 雷崎ライカは××ない

5月 4日


 キララちゃんとファミレスでお喋り。ジンくんについて相談しちゃった。

 あの鎖がぐるぐるのアルバムなんだろう……絶対に開かない! って強い意志を感じて、なんだか怖いな。呪いの写真でも入ってるのかな? なんだろう、呪いの写真って。

 キララちゃんは、直接聞きだした方が良いって言ってた。

 そうだよね、うん。彼氏を信じなくちゃだ! 

 恋って、すごく難しい。

 ……難しいから、友達に相談しないと、私じゃ全然ダメダメだ……。

 キララちゃんは恋愛相談にすぐ乗ってくれる。きっと経験豊富なんだろうな、すごいなあ……。

 彼女とこんなふうになれるなんて、少し前の私に言っても信じないだろうな。

 キララちゃんとはいろいろあったけど、本当に感謝してる。

 …………ジンくんは絶対に渡さないけどっっっっ!!(ここ重要!)(びしっっ!)


 □ □ □


 ジンヤとライカには日記をつける習慣がある。

 トレーニングノートのようなものだ。稽古の内容や成果を記しておくという簡素なものだったのだが、最近では稽古の内容以外の方が増えてしまって、これでいいのだろうかと思うのだが、ジンヤを思うとつい筆が止まらなくなってしまう。

 ジンヤの日記――というかトレーニングノートを見せてもらったことがあるは、あれは本当に稽古の内容、対戦相手の動きや技、自身が使う技の研究、改良、新技のアイデアなど、ひたすらに戦いのことばかり。とてもストイックな内容だった。

 それに比べて自分は……と思いつつも、やっぱり彼への気持ちを記すのはやめられない。


 □ □ □


 5月7日


 呪いのアルバムは呪いのアルバムじゃなかった!

 あれはジンくんの大切な思い出だったよ……私、なんてひどいことを……。

 でも、ジンくんはそんな馬鹿な私を怒らなかった。


 □ □ □

 

「ごめんね、ライカ」

「……そんな。謝るのは私のほう、勝手にはやとちりして……」

「いいや、不安にさせた僕が悪いんだ」 

「……ずるい。優しすぎ」

「ライカだってずるいよ、可愛すぎる」

「…………~~~~っ……もうっ! そーゆーのもズルだよっ!」


 □ □ □


 思い出しただけでドキドキする~……ズルい、ズルいよジンくん!

 恋って体によくないんじゃない!? ドキドキして死んじゃうよ。龍上くんと戦う時よりもドキドキしたかも。

 こんなこと考えてると、またキララちゃんに色ボケ~って笑われちゃうかな? キララちゃんに言われたくないけどね!


 □ □ □


 5月8日


 今日は信じられないことがあった。

 ジンくんとのデートの途中、知らない騎士の人に、私は連れ去られた。

 本当に怖かった。死んじゃうんだって思った。

 犯人の目的は命ではなかったらしいけど、でもそんなの捕まった時にはわからなかったし、どうなってしまうのかもわからなかった。

 昔の私なら、きっとこうはならなかった。

 もしも私が騎士なら、あんなヤツらに負けなかった。

 そもそも私が騎士だったらきっとジンくんより、龍上ミヅキよりもずっと強いに決まってる……絶対。剣聖になってた。絶対。絶対、ぜーーーーーーったい!(ここ重要)

 ……でも、ジンくんが助けてくれた。

 私はジンくんの魂装者アルム

 本当に、ジンくんの魂装者アルムでよかったと思う。

 私は、彼に一生守られる私でいることを、受け入れた。

 私が抱えていた歪み。

 最強の騎士を目指していたのに、魂装者アルムになったことで、夢は完全に潰えた。

 今でも、あの日を思い出す。


 □ □ □


「僕は最強の騎士に!」


「私は最強の武器に!」


「「二人で、最強の神装剣聖エピデュシアに!」」


 □ □ □


 魂装者アルムになることで、完全に潰えた、私の夢。

 砕けたトロフィー。破れた賞状。

 私の掴んだ栄光を、私は全て否定した。

 否定され、無残な姿になったトロフィーや賞状は、夢の残骸だ。


 私は、夢の残骸に満ちた場所から、ジンくんに救われたんだ。


 ……なんて、これじゃトレーニングノートでも日記でもなく、ポエム手帳かな?


 恋は人をポエマーにしちゃうのだ……なんてね。


 ……いけないいけない。真面目なことを書くつもりだった。


 私はきっと……全ての男の人に嫉妬している。

 龍上くんや、ジンくんの親友であるハヤテくんに。

 だって、男と男の戦いと、男と女の戦いでは、それはどこか違うものになる。

 そうじゃなくたって、魂装者アルムである私は戦えないけど。

 ……変な話だが、私は男に生まれて、ジンくんと戦いたいと望んだことが何度もある。

 戦いの中での結びつきは、人間の持つそれの中で、最も強固だと思う。

 狂っていると思われるかもしれないがセックスなどよりもずっと強いだろう。

 二人で命を作る交わりよりも。

 二人で命を奪い合う交わりのほうが。

 私には、強いものに思えてしまうのだ。

 『子はかすがい』と言うけれど、それでは関係性の完結に三人必要になってしまう。

 二人で完結している関係性の方が強固で、簡潔で、美しいだろう。

 ……夫婦や子供を否定するつもりなんて、少しもないんだけどね。

 うん、やっぱり私がどこかおかしいってだけの話だね。

 子供を抜きにして、二人で愛し合って完結した関係性なら、人数の差異はなくなる。

 そこで私が思うのは、戦いという関係性は…………って、これすっごく長くなるかも?

 もう、なにを書いてるんだろ……ちょっと変だ私。

 とにかく、私が言いたいのは!


 漫画とかでよくある、ヒロインが、主人公とライバルが喧嘩してるのを見て、『男の子っていいなあ』って言うやつ! あれです!


 私はあれ、すっごくわかる、ってこと。

 今でも、自分が騎士で、ジンくんと彩神剣祭アルカンシェル・フェスタの決勝で戦っていたら……という夢を見る。

 私は起きた時に、それが絶対に叶わないと――夢だと理解して、ボロボロ泣いてしまう。

 やっぱり変だなあ、私。

 ずっと剣士として育てられて、男の子に囲まれて育ったからかな……うーん、重症だ。

 でも、そんな変な私を好きでいてくれるジンくんがいるから大丈夫!(結論!)(ここ重要!)

 長くなっちゃった……私がすごく気にしてたことだからかな? 

 とりあえず、今日はここまで。


 追記 簡潔に完結、ってダジャレじゃないよ!

 

 追記2 読み返すとこの日の日記恥ずかしすぎる……せ、せ……せっく……書けるか!

     このページはホチキスで封印しよう……大丈夫かな私……。


 □ □ □




 5月16日


 今日はナギさん、ハヤテくんカップルとの、ダブルデート。


 ジンくん、ハヤテくんとばっかりはしゃいでてまた私の男になりたかった病が再発する……というか、それが関係なくてもずるいよ! 

 ジンくんと出会ったのは私が先だし、私の方が長くいるのに! 

 ハヤテくんずるい! 私もあのノリやりたい! 昔はあんな感じだったんだけどなあ、私も……ジンくんのこと好きになってから、女の子らしく女の子らしく……って頑張りすぎてて、たまに自分がわからなくなる。私らしさって……っと、いけないいけない、文章だとつい考え込んじゃうね、なんか。


 ハヤテくんにはちょっと嫉妬しちゃった。

 ……でも、ジンくんが辛い時にいてくれたのは、ハヤテくんだったんだね。

 二人の過去も、今日教えてもらいました。

 二人の友情は、本当に素敵だなって。

 ジンくんも、ハヤテくんも、大好きな人のために頑張ったんだね……うぅ~思い出しただけで泣きそう。私、こういう話に弱いのかも? ましてやこの話における二人の主人公のうち、片方は私の彼氏だもん……弱いに決まってる! 感情移入しちゃうよ、そりゃ、当たり前だよ、彼氏の話だから!

 今は二人とも、因縁の相手を倒して、大好きな人と一緒にいる。


 ……ハヤテくんとナギさん。

 なんだか他人事じゃない……というか、他人とは思えない二人。

 ナギさん、すごくいい人だし。

 ちょっと大変そうかも? ハヤテくん、すぐ女の人を口説こうとするし。ジンくんにはそういうところなくてよかった~……。

 あ。

 でも……。




 ……………………本当に、あの屍蝋アンナって女の子は、なんなんだろうねー?




 追記 キララちゃんと話してて気づいたんだけど、チンアナゴの時になんかジンくんが苦笑いしてたのはそういうことか~……! ち、ち……ちん……書けるか!

 っていうか気づかないよそんなの!

 

 追記2 チンアナゴはすっごく可愛いから変なネタにするのはよくないと思う。

 


 5月22


 今日はクモ姉のお見舞い。

 そこでユキカちゃんと、姫沼先輩と、ジンくんの顔合わせというか……自己紹介? 

 私は二人のことは以前から知っていた。

 ……っていうかジンくん~、姫沼先輩の胸を見るな~……(¬_¬) 

 そんなにおっぱいが好きなら私のを見ればいいのに……。

 見るだけじゃなくて、その……って、書けるか!

 これはトレーニングノートで、えっちな小説を書くところじゃないんだから。

 でも最近は関係ないことばっかりだし、もうノートを分けちゃおうかな?

 ……あと、姫沼先輩の視線が、なんか怖い。

 キララちゃんから聞いたんだけど、姫沼先輩がクモ姉のパートナーになりたいのって、そういうことらしい……。

 でも、そういうのって人それぞれだよね。

 私もきっと、ちょっと普通じゃないし、完全に普通の人なんて、どこにもいないよね。

 ……でも、あのじめっとした沼みたいな視線は怖い。

 クモ姉……大丈夫かな、いろいろ。

 


 □ □ □


 5月25日


この日は本当にいろいろあったけど、私にとってはこういう日だ。

 私は、ナギさんよりも、弱い。

 それを、思い知らされた日。

 

 □ □ □


 5月26日


 ジンくんはハヤテくんに助けられてばかりのことを気にしていた。

 でも、友達って助け合って当然じゃないのかな?

 もっと強くなりたい、ハヤテの友に相応しくあるために……と、そう言っていた。

 ジンくんらしい。私の魂装者アルムに相応しくありたい、というのもよく言っている。

 それは私も、同じことだ。

 ジンくんの魂装者アルムに相応しく在りたい。

 ハヤテくんはナギさんにとって。

 ナギさんはハヤテくんにとって。

 互いに相応しい、理想の関係だ。

 大会で当たりたくないな……なんて言ったら、ジンくんは怒るね。

 親友だからこそ……親しいからこそ、決着をつけたい。わかる気がする。

 できれば、当たるなら決勝とかで……なんて。

 決勝。遙か先のようだけど、大会はもうすぐだ。大会の頂点……そこに至るまでの時間ではなく、立ちふさがる相手を倒さなければならない数で、果てしなく遠いものに思える。

 でも、必ず行くんだ。

 あの二人と、決勝でぶつかる。

 それはとても素敵なことに思えた。

 そして……本当にそうなるのではないかという、予感があった。

 

 □ □ □








































 5月29日



 許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
























 □ □ □


 5月30日


 いやいや↑ 落ち着け私↑……。

 

 怖いよ……↑ 


 ヤバイよ……ヤバイページまた生まれたよ。これもホチキスだね。封印封印。


 事の始まりは5月25日。

 あの日は私がナギさんに負けていると思い知らされた日。

 そして、ジンくんが初めて、戦いの中で死を覚悟し、それでも立ち向かった日。

 赫世アグニ。恐ろしい相手だ。

 ハヤテくんや、オロチさんの協力のお陰で、なんとか退けることができた。

 私達だけなら、本当に危なかったと思う。感謝してもしきれない。……このへんは、5月25日の分に書くべきだったね。あの時はナギさんのことで頭がいっぱいだったな……。

 今は別のことで頭がいっぱいだけどね!

 屍蝋アンナ! あの女…………。あああああああああああああああああああああああああああああああああああ! あの女あああああああああああああああああああああああ!

 もう! ばか! ば――――か! ジンくんのばか!


 ……落ち着こう。


 事件は昨日起きたんです。

 5月25日の《使徒》との対決。

 《使徒》を退けて、みんな無事で、アンナちゃん……いや、屍蝋アンナも助けることができて。

 そして、昨日。屍蝋アンナのお見舞いにいった時。

 ああ、思い出すだけで許せない。


 □ □ □


 ――ジンヤがアンナと話すのは、一年ぶりになる。

 ハヤテが自分の戦いのために、オロチのもとを去り、ジンヤ、アンナ、オロチの三人での暮らしが続いていたある日。

 アンナが、再び何者かに拐われたのだ。

 今度はハヤテがいない。

 それでも、ジンヤはアンナのもとへ向かう。

 アンナを拐った相手は、騎士だった。

 ジンヤは、アンナのためにボロボロになりながらも戦った。

 そして、アンナを救った。

 

 その時だ――アンナの中で燻っていた想いが……。

 淡い恋心が。

 否。

 

 全てを焼き尽くす狂愛の炎が、彼女の心に灯された。


 □ □ □


 幸いなことに別段異常はないようだが、《使徒》に何をされたかわからないということで、アンナは念のために何日か入院することになっていた。

 お見舞いのため、ジンヤがアンナの病室へ入った時だ。


「久しぶり、アンナちゃん」


 見舞いには、ジンヤ、ライカ、そしてハヤテ、ナギ、オロチが来ていた。

 

「…………じんやぁっ!」

 

 彼の姿を目にした途端に、起き上がって彼に駆け寄る。

 そして次の瞬間。

 その場にいる者全員が見ている前で。


 ジンヤへ唇へ、自らの唇を近づけ――――


「……え、ちょ……っ!」

 

 ジンヤは剣士だ。近距離クロスレンジにおいて不覚は取らない。なので、突然の奇襲にも対応し、顔を逸らすが……、


「だーめ♡ ……にがさないよ」


 剣士がなんだと、そんな理屈は全て――彼女の狂愛に塗りつぶされる。


 両手でしっかりとジンヤの顔を押さえつけ、熱い口づけが交わされる。


「……ぷはぁ、……じんやぁ……ひさしぶり……会いたかったよ」

 

 つぅ……と二人の口端を透明な狂愛の架橋が繋ぐ。


「……!? ……!?!? ……!? ……!?!?!!?!??!!?」


 ジンヤは目を見開き、顔を真っ赤にして口元を手のひらで抑えている。

 生娘のような反応であった。 


 ジンヤは驚愕していた。

 ハヤテは「マジかよ……いいな……」とつぶやいていた。

 ナギは驚愕していたが、ハヤテのつぶやきを耳にして一発ぶん殴っておいた。

 オロチは「あちゃー……」と言って右手で顔を覆った後、げらげら笑いだしていた。

 






「びっくりした? ……ごめんね、じんや……。アンナね、じんやに会えない間に……じんやのこと、今までよりももっと、もっと、もぉおおおお――――――っと好きになっちゃった! 会えない間ね、ずっとじんやのこと考えてたんだ! 見て、じんや、じんやがむすんでくれたリボン。へたっぴだけど、これが好きなんだあ……いつもね、わざとへたっぴにむすぶの、そうするとじんやがあの日してくれたことを思い出してね、胸の中とか、ほかにもいろいろ、きゅんってね、切なくなるの。だからね大好きだよ、じんや。パパとママも大好きだけど、おなじくらい……んーん、きっとそれよりも。いいよね? だってママ言ってたの! 『いつかパパやママより、世界の誰よりも大好きな人が見つかる』って! もう見つけてるんだもん……だからいいよね? ね? ねえ、じんや! 世界の誰よりも、この星の全部よりも愛してるよ。あ、ねえ、じんや、ここにベッドがあるよ? ねえ? ベッド! どうする? いいよ、じんやが望むなら。だいじょうーぶ、まだおひさまが顔をだしてるけどね、きっとだいすきに時間はかんけーないよね? 朝も夜もずっとずっと大好きだよ! だから、再会を祝福しよ……ね? アンナの星よりも重い愛がはちきれそうだよ……たいへんだよじんや、たすけてよじんや、あの時みたいに……ね?」


 





 ぽふぽふ、と笑顔で病院のベッドを叩く少女。

 



 真っ黒い足元まで伸びた艶やかな髪。

 真紅の瞳は美しく鮮やかだが、どこか虚ろで光を宿していないように見える――いいや、かつてはそうだったが、今は違う。


 虚ろな瞳には、その奥に、狂愛の炎が宿っている。



 そして。




 ライカは。


 



 ライカは、激怒した。

 必ず、かの邪智暴虐の女を除かなければならぬと決意した。

 ライカには恋がわからぬ。ライカはキングライカであった。男を殴り飛ばし、男の中に君臨して暮らしてきた。けれどもジンヤに色目をつかう女には人一倍敏感であった。






 □ □ □


 その後のライカの日記には、日々のトレーニング、魂装者アルムとして自分はどうすればもっと強くなれるか。ジンヤへの愛。アンナへの恨みなどが綴られる。

 他にも、ハヤテ達との第二回ダブルデートや、ハヤテとキララが出会った時の話など、いろいろなことがあった。

 そして、一ヶ月後。


 □ □ □


 6月25日


 キララちゃんもクモ姉も、二人とも本当に素晴らしい騎士だと思う。

 いい戦いだった。

 私達も気を引き締めないといけない。

 

 □ □ □




 そして、さらに一ヶ月後。

 この間にも、様々なことがあった。

 しかし、ここから先、さらに激動の日々が始まる。

 ライカは日記を閉じて、家を出る。ジンヤと共に、向かう先は――――





 《レインボーベース》――厳密には若干単語の意味が違うのだが、《虹のふもと》という意味が込められた、騎装都市の中心にある、都市最大のスタジアム。


 ……ではなく、その付近にあるパーティー会場が、本日の舞台だ。 


  ――7月25日。

 


 ジンヤやハヤテ、ミヅキ、キララ……そして、彩神剣祭アルカンシェル・フェスタに出場する選手全員……いや、騎装都市にいる全ての人間が待ち望んでいた日がやってきた。


 トーナメントの組み合わせを決定する抽選会だ。


 騎装都市に存在する学園七校、代表選手三十二人が集結し、誰と誰が激突するのかを決めていく。

 組み合わせ次第で、どれだけ勝ち上がれるかは大きく左右されるだろう。


 どんな組み合わせだろうが勝ち抜く。

 そんな気概を持った騎士がほとんどだろうが、それでも――残酷だが、事実として、トーナメントの組み合わせで、運命を狂わされる騎士は大勢いる。




 であればこの場は。


 


 剣祭に出場する騎士達、全ての運命を決する場なのだ。






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