第01話 悪夢再来
二回戦第一試合、刃堂ジンヤ対屍蝋アンナ。
二回戦第二試合、黒宮トキヤ対夜天セイバ。
二回戦第三試合、真紅園ゼキ対蒼天院セイハ。
二回戦第四試合、赫世アグニ対ルッジェーロ・レギオン。
以上四試合が終わり、一日の休みを入れた後に二回戦第五試合~第八試合が行われる。
試合を終え、疲れ切った体を引きずり、ジンヤとライカはホテルの自室へ戻る。
「……すごかったね」
自室へと繋がる廊下の途中、ライカがぽつりと漏らした。
「……ああ。それでも、何時も通りさ」
今日の試合で勝ち上がった、ジンヤ以外の選手達は、いずれも劣らぬ強敵達だ。
次の試合の相手、黒宮トキヤ。
《開幕》を扱う《主人公》。
アンナに続き、再びにジンヤは《開幕》なしで、《開幕》を超えなくてはならない。
またあんなことができるのだろうか。
不安は大きい。
だが、たった今口にした通りだ。
相手が格上なのはいつものことだ。何時も通り、それでもなんとかするしかない。
考えなくてはいけないことも、やらなくてはならないことも山程あるが、今日のところはまず休息だ。
そう思いつつ、部屋のドアを開く――、
――――そこで、違和感。
人の気配。
またアンナが勝手に侵入したのだろうか。
そう思いつつ、電気をつけると――、
「よお、久しぶりだね――――刃堂ジンヤ。
まずは二回戦突破おめでとう、ぼくが直々にお祝いにきてやったよ、ギヒャヒャヒャ!」
無造作に伸びた黒髪の隙間から、真っ黒い瞳がこちらを覗いている。
一見して平凡な少年のようにも見える。
だが、彼こそはこの世界最悪の心性を持ち、他者の絶望を何よりも好む悪辣。
《人類最悪》――罪桐ユウ。
「どうして……お前がッ!」
ライカを素早く武装化させて構えるジンヤ。
罪桐ユウ。
屍蝋アンナの人生を操り、ひたすら絶望へと叩き落とし続けた。
刃堂ジンヤを一度は剣祭出場停止にまで追い込んだ。
ジンヤとアンナを戦わせ、アンナの手でライカを殺させようとした。
あげていけば切りがないが、彼によっていくつもの絶望を味わってきた。
その彼がどうして。
彼が今いる監獄は、簡単に出てこられるような場所ではないはず。
あり得ない。
あり得ないのだ。
こんなになんの脈絡もなく、突然彼がここに現れることなど、あり得ないはずなのに。
「どうしてって、キミに仕返しするためじゃないか、ジンヤ! キミのせいでぼくはとってもつらい思いをしたんだ。だからさあ……お礼をしなくちゃね……。ねえ、プレゼントがあるんだ」
どこからともなく、ユウは箱を取り出した。
真っ白い箱。しかしその箱は、底の部分から赤い何かが染み出している。
「開けて……つっても、ビビっちゃって開けてくれないかな? んじゃいいや自分で開けるからさ……」
そう言って箱を開けて、
中から出てきたのは、
黒くて、丸い、ナニカ、
真っ黒の長い髪の毛、
人の、女の子の頭部のような、
その顔は、よく知っている顔立ちで、
髪には、真っ赤な、■■■が、
真っ赤な断面から血が滴ってて、
箱の中身は、生首で、
■■■を、 リボンを、 真っ赤なリボンを、していて、
「じゃーん! 屍蝋アンナちゃんの生首でーす! どう、喜んでくれた!? ギヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!」




