魔術の名門と執事業
突如、予想外なことを言われて戸惑いを隠せないユズルだが…。
アリス「シャル、それじゃあユズルさん勘違いするよ?」
シャル「な! 何考えてるのよ変態!
私はただお礼がしたいだけなの!」
まだ何も言っていないのに変態扱いされる理不尽さ…ユズルはこの時に悟った、シャルはめんどくさい奴だと…。
ユズル「その言い方なら俺じゃなくても勘違いするぞ」
シャル「も〜!わかったから!
ユズルついてきてね!」
プンプンと怒りながらシャルは歩き始めた。
アリス「ははは…」
アリスは苦笑いをするしかなかった。
シャル達は歩きながらユズルがここに来た理由などを聞く事にした。
アリス「ユズルさんはどうしてここに来たんですか?」
シャル「そうよ!それにここら辺では見ない服装してるし…」
ユズルが着ている服はここらでは珍しいらしい…。
ユズル「俺がここに来た理由…ねぇ」
あっちの世界での生活が嫌になったからこっちに来たとはなんて言えない…
アリス「もしかして…言えないことだったりしますか?」
シャル「えっ!そうなの?
それじゃあ聞くのはまずいよね…」
俺が喋る前に話が進んでいく…ユズルはそう思ったそうな…
ユズル「俺がここに…この街に来た理由は仕事を探すためだよ」
シャル「仕事かぁ…ところでユズルは何歳なの?」
ユズル「21歳だけどそれが何?」
それ聞いたシャルは何かを思い出したかのように手を叩いた。
シャル「ユズルは仕事が欲しいんだよね?」
ユズル「さっきからそう言ってるだろ」
シャル「ねぇアリス」
アリス「いいんじゃないかな?」
2人は顔を見合わせ頷く。
ユズル「何がいいんでしょう?」
ユズルは全く話についていけなくて少し困惑している。
シャル「それじゃあ家に急ぐよ〜」
アリス「おー!」
ユズル「お、おい! だから何がだよ!」
それから数十分で大きな屋敷に着いた。
シャル「ここが私の家よ!」
シャルは自慢げに胸を張って言う。
ユズル「まぁお前の親の! 家っていう方が正確だと思うけどな」
シャルの言葉をスルーし現実を叩き込む。
アリス「ははは…」
またしてもアリスは苦笑いをするしかなかった。
ユズル「でも本当に大きな家だなぁ」
ユズルは屋敷を見上げる。
周りの家とは比較ならない大きさの屋敷は異様に存在感を醸し出している。
シャル「だって魔術の名門ーエンジェ家だもの!」
ユズル「魔術の名門? エンジェ家? なにそれ」
シャル・アリス「「…へ?」」
エンジェ家はこの国では魔術の名門であり魔術機関の最高トップを務めている家なのだ。
異世界から来たユズルは当然知ってるわけがない。
シャル「ユズル…あなた本当にどこからきたの?」
ユズルがエンジェ家を知らない事、さっきの勝負で魔術を使わなかった事、シャルはユズルが何者か分からなくなっていた。
アリス「…これだけは聞かせてください。
ユズルさんは悪い人ですか?」
アリスからよくわからないことを聞かれる。
俺が悪者? そんなわけはない、むしろ面倒事を起こしたくないから悪者にはなりたくない。
ユズル「俺は悪者にはなりたくない…
この世界で静かに暮らすために!
生命をかけてもだ!」
堂々と宣言する。
シャルとアリスは何か言いたげな顔をしているが本題へ移ってもらった。
シャル「話はずれたけど、ユズルの趣味ってなに?」
ユズル「俺の趣味か?
うーん、格闘系全般とか料理とか掃除類…家事全般だな」
アリス「シャル! やっぱりピッタリだよ!」
シャル「そうね!」
2人は小声で喋ってるつもりらしいがユズルには普通に聞こえている。
多分あの2人は隠し事が苦手なタイプだろう。
ユズル「で、何が言いたいんだよ」
シャル「ユズルは住むところあるの?」
なかなか結論にいってくれないのでユズルもイライラしてきているため拳を握り震わせている。
ユズル「…ない」
アリス「ねぇ…シャル」
シャル「どうしたのよ」
アリス「ユズルさんなんか機嫌悪いよ…」
2人はまたひそひそと喋っているがユズルには当たり前のように聞こえている
ユズル「お前らがさっさと要件を言わねぇからだろうがァ!」
とうとうユズルの怒りは頂点に達した。
シャル「わ、わかった!
言うから! 落ち着いてよ!」
アリス「ユ、ユズルさん! すぐに終わりますから!」
それからユズルは2人に説教をした。
ユズル「だいたいお前らな! こっちは黙って話を聞いてるのにいつになったら本題に入るんだよ! ずっと焦らされてこっちはイライラしてるんだよ! 腹も減ってるし! さっさと要件を話せよおぉぉぉぉぉ!!!」
アリス「……ごめんなさい」
シャル「…そんなに怒らなくても」
2人は急に怒鳴られて涙目になっていた
ユズル「はぁ…はぁ…わかったなら早く喋ってくれ…」
さすがのユズルも大声を出しすぎて疲れたようで顔色が良くない。
シャル「仕事が欲しくて住むところも欲しいユズルにいい話があります」
ユズル「はぁ…はぁ…なんだよ…」
シャル・アリス「このエンジェ家で! 住み込みで執事をやりませんか?」
ユズル「……っ!」
ただチンピラから助けただけなのにここまで未来が決まるとは…。
しかも執事だって…? 俺の事を聞いていた理由はこれだったのか…。
シャル「どう…かな…?」
アリス「ダメ…ですか…?」
これがこいつらからのお礼ってことか…
ユズルの目には涙がうかんでいた。
ユズル「…お前ら…さっきは怒鳴って悪かった」
シャル「な、なんで泣いてるのよ?!」
アリス「私達何かしたのかな?!」
2人はここまで心配してくれる。
あっちの世界とは大違いだ…。
ユズル「ごほん! ここで執事をやるって話だよな」
シャル「うん、そうだけど…」
ユズル「やるよ」
アリス「本当ですか…?!」
ユズル「ホントホント、それじゃあ両親に挨拶でも…」
挨拶をしようとエンジェ家にあがろうとしたが
シャル「あ、両親は本部の方で仕事があったりするから家にはいないわよ?」
ユズル「は?」
アリス「帰ってくるにしても3ヶ月に1回とかそれくらいの頻度だよね」
そこまで凄いのか魔術機関!
ユズル「そ、それじゃあこの家にはお前らと俺だけ?」
シャル「そういうことね」
ユズル「あの年頃の女と20歳すぎの男を一緒に置いて大丈夫なのでしょうか」
アリス「ユズルさんは……執事をやるんですよね…?」
シャル「執事だから大丈夫でしょう」
あ、そっかと今自分の立場を理解した。
美少女2人と俺の生活が今始まる!
3話おわり




