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平成の騎士団  作者: 青原 樹
第1章〜7人の隠された力〜
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第2話 個性豊かなクラスメイト

 たった数分で、喧嘩のような戦いが終わった。麗奈たちは唖然とし、生徒達は完全に伸びてしまった。


「翔陽。お前……」


 と聞く大輔。


「うん? どうした?」


 翔陽の目は、元の茶色に戻っていた。


「何だよさっきの。僕見たことないよ」


 健心もそれに続けて聞いた。


「んー、実は俺もよく分からないんだよ。なんかこう、やって来る攻撃が全部分かるっていうか、『先の未来が読める』っていうか」


「麗奈ああ!! 大丈夫うううう!?」


 そんな声が突然聞こえてきた。

 同時に、一人の少女が叫びながらこっちへやって来る。ここにいるメンバーで一番小さく、内巻きのボブに、青い髪をしている。

 大輔が身構えた。


「なんだよ、またこいつらと同じ類いのやつか?」


「いや、あの子は大丈夫よ」


 こちらについた途端、少女はバタリと倒れこんだ。


「運動嫌いは相変わらずね……。あ、ごめん。紹介しなくちゃね。この子は銃礎(じゅうそ)鈴菜(すずな)。少し前に出会って、すぐ仲良くなった子よ」


 この時男子3人は、彼女の瞳の色が青色だと気づいた。


「大丈夫って聞いたのに無視して紹介とか。ひどいよ」


 鈴菜はまだ息を切らしている。


「ごめんね」


「まぁいいけど」


 このとき、男達三人は完全にスルーされていることに気づいた。


「おうおうおう。楽しそうにやってんなぁ」


 また誰かが教室に入ってきた。このメンバーで一番大きい。

 肩につくほどのストレートヘアー、髪と瞳の色は黄色。不良のような態度だ。

 翔陽が皆の顔を見渡すと、健心の顔が真っ青になっていることに気づいた。大輔もそれに気づいたようだ。


「健心どうした? 宿題出し忘れたことに気づいたか?」


「いや入学したばかりの中学生に宿題はないよ。あいつに驚いていたんだよ。あいつは杖光寺(じょうこうじ)綾乃(あやの)。僕と同じ小学校だったんだけど、そのときのあいつは素行が良くなかったんだ」


「おお、健心じゃねぇか。まさか中学一緒だったなんてな」


 そういいながら綾乃は肩を組んできた。


「や、やめてくれって。何されるか分からないから、余計怖いよ」


 君にとってすごく怖い人なのは良く分かったよ、と顔で示す四人。

 健心はガックリと肩を落とした。


 14時30分。チャイムが鳴った。生徒達が席につく。


「いいか、お前ら。俺は担任の西山一輝だ。よろしく頼むぞ」


 西山(にしやま)一輝(かずき)。細身の男。43歳。

 この学校の卒業生で、二十歳(はたち)の時にここの教師になったのだそうだ。

 体育の先生で運動が得意。


「先生は、『平成の騎士団』を知っているんですか?」


 大輔は早速質問した。


「知ってるも何も、あの人たちの2学年下だったからな。カッコよかったよ。まぁその話は置いといて、一週間後に校内試合があるからな。練習しとけよ」


「えええ。あたしたちまだ初心者だぜ」


 綾乃を始め、皆口々に「えー」「無理だろ」と言う。


「一人で試合すんだからな。頑張れよ」


 クラス全員が不安に包まれるなか、翔陽は一人、やる気を出していた。





 土日を抜いた一週間。それぞれに別れての練習が始まった。因みに、健心はハンマー、麗奈は弓矢、鈴菜は銃、綾乃は(ロッド)を選んだ。

 翔陽は反射神経がよく、相手の攻撃を受け止めたり、かわしたり……。いろいろ出来た。


「なぁ、学校うちにある武器以外でも出れるのか?」


 大輔は翔陽に聞いた。


「出られるよ。ただし、ルールで決まっている範囲内ならな」


 武器は、基本何でもあり。学校に用意されていないものでも、申請すれば使用できる。


「そういや聞いた話、麗奈たちも持参した武器使ってるらしいな」


「あぁ。自分の武器も、それなりに有利なんだろうな」


 こんな話をしながら、汗だくになるまでやり続けた。





 学校終了後、生徒たちはそれぞれの部屋へと向かった。

 七神中学高等学校は、長期休暇を除いて寮で暮らすことが決まっており、その寮はホテル並みに大きい。

 生徒が暮らす本棟は6棟あり、1学年につき1棟。食堂などがある特別棟は、高校生も含め、全生徒が使う。本棟は7階、特別棟は5階まである。1組は7階で、下の階に行くごとに2組、3組、4組……となる。

 寮の正面から見て、左側が男子、右側が女子と分けられており、異性が入ってこないよう、ガラス張りの扉で仕切られている。尚、ロビー、エレベーターホールなどは、共有スペースとなっている。

 部屋は家具、家電が一式揃っていて生活に困ることがない。基本は自炊だが、お金を支払えば、食堂で食べることもできる。

 部屋についた翔陽。701号室に住んでいる。荷物を置き、背伸びをした。


「あー疲れた。とっとと食堂行って寝よう」


 外へ出ると、聞き覚えのある声が聞こえた。


「あれ、偶然。部屋近かったな」


 見ると、重そうな荷物を持った大輔がいた。


「あれ、702号室って誰が入ってるのか?」


 翔陽は、部屋に入ろうとしたときに気づいたことを話す。


「さぁ。そもそもいるのかどうか分かんねぇんだ。1組の生徒なのは分かるんだが」


「ふーん」


 その後大輔と別れた翔陽は、夕飯を食べ、特別棟3階にある浴場に入ろうとした。

 誰かとすれ違った時、翔陽は、急に殺気を感じた。


――殺気の正体は今の人か。なんなんだ、一体……。


 そんなことを考えながら、翔陽は入っていった。

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