表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平成の騎士団  作者: 青原 樹
第1章〜7人の隠された力〜
12/146

第6話 眼を得る覚悟

 翔陽が発動した未来眼(ブルーアイ)により、秀一は負けた。咄嗟(とっさ)だったため、心眼(レッドアイ)を発動させる隙がなかったのである。

 秀一は仰向けになって笑った。


「こんなに楽しめたことはなかった。今までのがつまらなさすぎて、ストレスがたまってたんだろうな」


 秀一は立ち上がった。いつもの物静かな態度に戻っていた。鎌を回しながら上へ放ると、鎌は青い炎に包まれて消えた。そして、翔陽のもとへ歩み寄る。


「次は勝つ。それまで誰にも負けるなよ、剣崎」


――コイツ、俺を名字で……。

「あぁ、そのつもりだ」


 二人は握手をした。周りからは惜しみない拍手があがり、歓声も聞こえた。





 閉会式。翔陽は壇上へ上がった。校長はトロフィーを持っていない。それもそのはず、トロフィーはあの大剣で、今翔陽が持っているのだ。


「あ、トロフィー……」


 急に罪悪感が沸き上がった。しかし校長は、


「その剣を与える。持っていきなさい」


 責めるどころか、剣を賞品として認めたのだ。


「あ、有難うございます!」


 翔陽は深くお辞儀をして、壇上から降りた。

 座るのと同時に、校長から話があった。


「えー、今日は皆さん盛り上がって疲れていることでしょう。土日を使って、ゆっくり休んでください」


 こうして初陣戦は、無事幕を閉じた。





 放課後、7人は寮の食堂へ向かった。翔陽の優勝祝いだ。大輔が翔陽にこう(おだ)てた。


「にしてもすごいよな、あの剣にあんだけ力が備わってたなんて。それを引き出した翔陽もなかなかだよ」


「うるせぇよ。まぁ、この剣が本当に凄いのは確かみたいだな。さて、ここでしか言えないことだから言わせてもらうが」


 突然翔陽が真剣な表情で話始めた。翔陽はそのまま続ける。


「君たち5人にも、俺、秀一と同じ素質がある」


 五人は理解できていない。翔陽は、分かりやすく言い換えた。


「つまり、君たちも眼を使うことができるってことだ」


 翔陽はそのまま話を続ける。


「眼って言うのは、本来神が持つ力で、選ばれし者に使うことが許される。人によって使える能力は様々。どれも一長一短があるけどな。それと、発動させるには本人が選ばれし者として覚醒する必要がある」


「どうやりゃいいんだ?」


 大輔が質問をする。


「自身に足りないもの。これが克服できれば発動できる。あとはそれなりの力」


「足りないもの?」


 今度は麗奈だ。


「そう。そしてそれは自分一人では見つからない。他人にしか見つけることができないんだ。その指摘を受け、意識して克服することで、眼が発動できるようになるんだ」


「んで、何でアタシたちなんだ? 他の奴らだって可能性はゼロじゃないだろ」


 綾乃も興味を持ったようだ。


「『俺と秀一以外にもう五人いる。それもすぐ近くに』という未来を見たから」


 どうやらこの未来眼(ブルーアイ)は、日常生活でも使えるようだ。

 五人が呆れた顔をした。翔陽は咳払いをした後、


「まあそれはさておき、重要なのはここからだ。眼を得たいかは君たちの自由。でもこの力を手に入れたいならばそれなりの覚悟がいる。悩むことも、葛藤することもあるかもしれない。それでも手に入れたいか?」


 真面目な表情で言い出した。緊張感が伝わる。

 5人は同時に頷いた。手に入れてやる、といわんばかりのやる気を見せた。


「よし。皆が眼を使えるよう協力するぜ」


「俺も手伝うぞ、剣崎。一人よりも二人の方が早いと言うだろ」


「助かるぜ秀一。んじゃ早速……と言いたいところだけど、今日は時間がない」


 時計をみると午後8時30分だ。門限は8時。寮の外に出ることは出来ない。


「来週からでどうだ?」


 秀一の提案に全員が賛成し、それぞれの部屋へと戻った。





 翔陽は部屋で、剣を研いでいた。


「さて。これから忙しくなるな。しっかり準備しないと」

――痛ッ。また頭痛か。最近よくあるんだよな。病院で診てもらわないと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ