第1章2話
龍司が立っていたのは森と思われるところであった。木の間から差し込む日差しが神々しいと思えた。龍司はステータスブックを開き、現在地を確認する。
今、龍司がいるのはディバイン樹海と呼ばれるところで、大陸の東部に位置している。この樹海には獣人や妖精がいると噂されている。
龍司は何処に向かって行けばいいのかと迷う。何処を見ても木しかないのである。龍司は自分のステータスブックを見て、ふと思う。魔力感知で魔力の多い場所に向かえばいい。そう思った。龍司は目を凝らす。そうすると、地面に光る流れる線が現れる。これが魔力の様だ。この状態で辺りを見回す。人の足跡に微小の魔力が付いていて、足跡がはっきりと見える。龍司はその足跡を辿って行くことにした。
少ししたら足音が聞こえる。それに人型の魔力がボンヤリと見える。多分人間だろう。俺は近くにあった大きめの木に隠れる。予想した通りだった。剣を武器にして、黒を基調とした装備品。そして、肩の部分にあるエンブレム。あれはインパルス帝国の物だ。
インパルス帝国は100年くらい前に傭兵達が集まって作られらた武装国家である。各地の戦場によく行ったり、獣人を奴隷として扱き使っているとかで有名。
インパルス帝国のエンブレムをしたものが10人くらいいる。彼らが歩いている所は他の場所よりも手入れはされており、歩きやすい道となっている。
龍司は何かあると思い、帝国の後を付ける事にした。
少し付けて見ると、魔力に集まりが出来ている事が分かる。人間の形をしているが様々な所が異様に発達した者達。そう、獣人だ。
帝国の人間が火薬を詰めただけの爆弾とはとても言えない物を空高くに投げた。それは、空で爆発した。獣人達の威嚇にはなっただろう。その後、隊長と思われる男が獣人達に言う。
「おい! お前ら!! 今月分の食料は用意出来ているだろうな!!」
そう男は言う。獣人の老人と思われる男がそれに対して言う。
「これ以上、食料を渡せば私達の分が無くなってしまいます。ですから、今月は見逃してくれませんか?」
そう言って土下座をする。それに合わせて獣人達が土下座する。酷い光景だと龍司は思う。
「おいおい、お前らそう言って、食料を隠し持っているだろう!? ええ!! 仕方無い、やれ」
隊長は首で部下に指示を出す。部下達は武器を用意する。
「仕方無いから強制的に頂く! 抵抗する者、食料を渡さぬ者は容赦無く首を切り落とす! 食料を隠そうとはするなよ? それじゃあ、行け!!」
龍司は溜息をつく。ここで見ているのも悪く無いが、獣人達が余りにもかわいそうに見えて来た。そして、帝国に怒りと呆れが生まれた。龍司はその場から獣人の老人の元へと瞬間移動を行った。
龍司の瞬間移動に少しびっくりしたのか、帝国の人間達が獣人の元に行くのをやめた。隊長が龍司に言う。
「お前、誰だ? 急に出て来てよお!? 今から、食料の徴収が始まるんだ! 大人しくしてくれねえか?」
普通にムカつく奴だ。と龍司は思う。龍司は背中にあるバスターソードもとい魔剣デスペリアを取り出す。この剣はロベルトが伝説を元に作られらた剣で完全なオリジナルでは無い。が、剣に内包されている魔力は普通のとは比にならない。使用することに生長する剣だとロベルトの本に記されていた。(これのレシピがロベルトの渡した本、ロベルトの本に書かれている)
「俺が誰かって? そりゃあ、その辺を通った何処にでもいる唯の魔人だよ!」
龍司は剣を構えて、走り出す、その時に言葉の続きを言う。
「そして! お前らがムカつくから今からぶっ飛ばす!」
龍司は帝国の人間の中心に瞬間移動する。そして、その場で剣によるなぎ払いをする。
「くそ………、お前ら! そいつを今から殺れえ!!」
そう言って男は剣を構える。龍司は隊長の目の前に瞬間移動し、隊長の持つ剣を攻撃する。剣を宙高くに舞い上がる。そして、別の人間の方に瞬間移動し、武器を攻撃する。それを何度か繰り返して、龍司は隊長に剣を突きつける。
「死にたくなければ、このまま帰れ。死にたいなら、このまま続けてもいいぞ?」
隊長はかなり悔しそうな顔をする。
「てめえ、名前は何て言うんだ? 顔と名前だけ覚えていてやる」
隊長は名前を聞いてくる。ここで名乗るのも悪くないかも知れない。けど、本当の名前を言ってもいいけど、魔人の姿で言うのも気が引けるから別の名前でも言っておくか。
「俺は、レブル。そう、暴君レブル! 覚えておけ!!」
龍司はそう言う。レブルという名前は今さっき付けた名前だ。悪くない。自分で付けて言うのは何なんだと思うが。
隊長はそれを聞くと部下を連れて来た道を戻って行く。龍司はそれを見届けると獣人達の方に向かう。
龍司の前に獣人が集まる。そして、獣人の老人が前に出て言う。
「強き者よ。これから、どうするのじゃ? 出来れば、我々の頼みを聞いて貰いたいのだが………」
第1章3話は12時に投稿します