第1章15話
防衛ラインでの戦闘が始まった頃、ミリア達は………。
「動力炉を起動させてください。これでしっかりと起動するはずです!!」
ミリアは村の科学者に指示を飛ばしていた。ウィズダムのクリスタルが光り、起動し始める。
魔力感知を持つミリアにはウィズダム本体にしっかりと魔力が巡回していることが分かる。さらに、2つの動力炉が完全に同調している。ミリアは他の者たちに指示を出す。
「観測部隊。現在までの戦闘状況でいいので映像クリスタルをください。鎧に有効な武器が作れる筈です」
ミリアは観測部隊に指示を出す。ウィズダムは学習する兵器。と言っても何かしらの情報を持つ物が必要である。1番有効なのは使用者本人をウィズダムのクリスタルに魔力を流し込んでその魔力から使用者の記憶を記録するのがいいのだが、ここには戦闘部隊は居ないからせめて鎧の映像さえあれば鎧の弱点を解析して最適な武器を作り上げられるであろう。
観測部隊が天体観測に使いそうな巨大な望遠鏡からクリスタルを取り出してミリアに渡す。ミリアはそのクリスタルをウィズダムに接続させる。
映像クリスタルが光り始め、ウィズダム内部で音がなる。
ガコン! という大きな音の後からウィズダムから大型の刀身が光る剣と紙が出てくる。ミリアはその紙を見る。紙にはブライト・ソードという武器の名前とこの武器の特徴が書かれていた。
この武器は本体に魔力があるため、魔力は使用しなくてもいいが、使用者が魔力をこの武器に流し込む事で刀身の長さが変化する。
この武器は魔力で強化された防具を破壊するのに適しており、刀身にはあらゆる素材に有効な超硬質な鉱石と魔力を分解する鉱石で出来ており、切れ味も抜群である。
ミリアはウィズダムを操作してこの武器を量産させると補給部隊に指示を出す。
「この武器を前線に送ってください! きっと役に立つはずです!! 次々とこの武器が出来ます!! なるべく早く行動してください!」
補給部隊がブライト・ソードを前線に運搬する。これで鎧に対抗出来る武器が出来たから大丈夫であろう。
その頃、ロウシの所では………。
「済まない! 少し遅れた!! 戦況はどうなっている?」
レブルが到着していた。レブルはロウシに現在の状況を聞く。ロウシはそれに答える。
「よく戻って来てくれましたな。今、ミリア様から連絡ありまして、ウィズダムが完成したと報告がありましたぞ。ミリア様がレブル様が到着したら来てくれと言っておりましたぞ」
「了解した。俺はミリアの所によったら前線に行く。指揮はロウシに任せるぞ!!」
レブルはロウシにそう言ってからミリアの元へ走る。
その頃、コクロウは鎧相手に苦戦していた。コクロウ自慢の烈風牙や烈風撃がまるで通用しない。かと言って、暴風の咆哮は足が止まる為、使用出来ない。
鎧はコクロウとは全く逆で、攻撃さえ、与えられればコクロウに大ダメージを与えられる。
コクロウは茂みや多くある高めの木々を使用して攻撃をする。鎧の紅茶を避けるには地形を最大限に利用する必要がある。
戦況は少しだけ、コクロウに傾いた。コクロウが地道に与えて来たダメージがようやく効果が出た。鎧が膝を着いたのだ。
コクロウはゼロ距離まで近付く。そして、フルパワー暴風の咆哮を鎧に叩き込む。
暴風の咆哮をもろに食らい、傷だらけとなって行く。
コクロウは暴風の咆哮を使い続ける。その身から魔力がなくなるまで。だけど鎧も暴風の咆哮に抗い、コクロウに攻撃をしようとする。
コクロウはこれ以上、暴風の咆哮を吐き続けるのは難しいと思った。コクロウは考えたのかもしくは無意識なのか、暴風の咆哮を一回使用するのをやめて、口に暴風の咆哮を溜める。
暴風の咆哮は巨大な球状となり、その球は周りに多くの風を纏う。
そして、コクロウはそれを吐き出す。巨大な球、砲弾が鎧を襲う。
超圧縮された風に鎧は大きくへこみ、全身に鈍い音と共に穴が開いて行く。そして、胸にあるクリスタルの周辺に穴が出来、鎧は機能を停止する。
クリスタルが地面に落ちて、コクロウの足に当たる。それと同時にコクロウは疲労で倒れる。
第1章16話は月曜日に投稿します。
月曜日から学校なので投稿間隔が変更するかもしれません。よろしくお願いします。




