第1章8話
レブルは頭を抱えていた。助けた女性が思った以上にヤバイ感じがした。ポケットから身分証明書みたいな物が出て来て、彼女は軍人でさらに指揮官クラスであった事には驚きであった。指輪とイヤリングはそのままにすると決まり、診療所の部屋には戦闘力が高い種族で見張りをすることにした。コクロウも見張りにつかせた。
だけど悪い事ばかりでは無い。遂に! 我が家が完成したのだ!! 日が落ちるまでには~と言っていたが、予想より早く出来てしまった。現在、俺はその家に向かって歩いている。
歩いていると、家に着いた。どうやらアルバは既に帰ってしまったのか、誰もいなかった。俺は、アルバから貰った鍵を使って扉を開ける。
ちなみに外見は小さめの家で、中には部屋が2室あって、1室は廊下の脇に、もう1室は奥にあった。
先ずは廊下の脇にある部屋を見る。部屋は広過ぎず、狭過ぎずの標準な広さであった。しっかりとクローゼットもある。
奥の部屋は少し狭めである。この部屋は俺専用の部屋である。そして、この部屋に地下室への隠された道がある!
俺は机の上に置いてある小型のクリスタルを握る。クリスタルは弱めの光を帯びる。そして、部屋の中心の床が上がり、下から階段が現れる。
俺はその階段を下る。階段の脇には人が通ると火が灯る松明が設置されている。
地下室こと錬金工房はかなり広かった。注文した設備は全て設置されているが、それでもスペースがかなり余っている。あの余っているスペースを使って何か作りたいな~と思う。
それはさておき、久し振りに錬金術が出来る。宴まで、時間があることだし。取り敢えず、鉱石系の素材を作ろうと思う。
俺はウェストポーチから賢者の石を取り出す。作りたい物をイメージする。現在、必要なのは鉄関連。作るなら品質が良い物がいいと思うので、魔力を流し込む。賢者の石は魔力を流し込む事で品質が向上する仕組みになっている。
1つ完成する。しっかりと精錬された鉄だ。俺は鑑定のスキルを使う。品質は高品質と出た。これくらいで丁度いいだろう。俺は賢者の石を量産モードに設定する。量産モードは作りたい物を設定する事でそれを量産するモードである。数も設定出来るのもいいところである。取り敢えず、狩猟部隊と警備部隊に鉄製の装備を与えたいので精錬された鉄200個程作る事にする。
今のところ、鉄で物足りると思うが魔力石の類も量産していきたいと思う。あれが無ければ属性系の武器が作作れないからである。
鉄の量産モードを設定した事だし、宴まで寝ることにする。
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どこか薄暗い部屋。そこで2人の青年がチェスらしきボードゲームをしながら、壁に映し出された映像を見ている。それは、転移にあった人物の映像で巨大な壁を全て使って、様々な視点で映像が出ている。そして、レブルこと龍司は中央部に大きく映っている。
「あれが君のお気に入りかい?」
赤黒いネクタイを締めた黒いスーツの男。そう、龍司をレブルへと変貌させた元凶、あの悪魔と姿が酷似している男が言う。
「中々の魔力だろ? ロベルトのおかげで彼の身体に眠っていた魔力を引き出した様だが、まだまだ底は見えないな」
赤黒いネクタイと黒のスーツ。そして、仮面を被った男がそう言う。
「ゼウスもさぞ驚きの様だろうね。まさか、自分で呼び出した者に自分達を滅亡させられる者がいるなんてね。まあ、それは僕達にとっても驚きだけど」
少し笑いながら言う。そして、男が駒を動かしてから言う。
「確かにな。彼は暴君というスキルを持つが、あのスキルは異世界の住人でも万年に1人習得出来るか出来ないかのスキルだからな。あれを持つという事は我々に最も近い、いや、超えるかも知れない者だからな」
仮面の男がそう言う。男もワインらしき物を飲んでから言う。
「理想はこっちに来てくれる事だけど。まあそれは今後の行動次第だね。さて、誰があいつを排除する?」
男が画面を指差して言う。指の先には坂井輝が映っていた。
「排除は先でいいだろう。彼はレブルに負の感情を抱いているが、所詮は人間。レブルの相手にすらならない。超勇者ごとき、排除するなんて何時でも出来る」
仮面の男が駒を動かしてから言う。
「それもそうだね。僕とした事が焦っていたよ。彼を料理するくらい何でこと無い。まあ、遅かれ早かれ、彼が絶望を見せてくれるだろうけど」
男はグラスにある飲み物を飲み干す。部屋は急に暗くなって行き、2人は闇の中へと消えていった。
第1章9話は昼か夕方に投稿します