第0章1話
俺は白い廊下に居た。病院もビックリな白さだ。何で俺はここに居るんだ? 簡単に説明すると、目覚めるとここに居た。ハッキリ言って、何がなんだか分からない状況である。頭の中を整理するためにも、寝る前の出来事を簡単に思い出そう。
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金曜日。それは学生の誰もがテンションを上げて日だろう。だって、金曜日を乗り越えれば土日と2日間の休みがある。それは、何に使ってもいい時間だ。誰もがテンションを上げるのも納得がいく。
それは、細川龍司も例外なくそうであった。彼は、学校に居心地の悪さを感じているが、今日という日は学校に来ることに希望を見出している。というか、この日が無ければ不登校になっていたかも知れない。龍司は始業チャイムの10分くらい前に昇降口に入った。
龍司が教室に入ると教室に居た生徒達から嫌な目線を送られる。男子生徒からは睨みを貰い、女子生徒からもいい顔はされなかった。俺はそそくさと自分の席に向かう。
「よう! 龍司。お前、どうせ今日はゲームの事でも考えているだろ?って何時も通りか、ギャハハハハ」
「朝からゲームとか、超キモいな。ギャハハハハ」
何がそんなに面白いのか、クラスに絶対何人かいる不良生徒達が笑う。彼は西田昌吾。彼は斎藤悠作、曽山樹の3人で俺に絡んで来る。彼等は弱いものいじめを楽しんでいる人として最低な人間だ。
龍司はオタクであり、それを知っていて彼等は龍司を的にしているのだろう。だが龍司はオタクで何が悪いと思っている。
龍司は創作物が好物で主に架空の兵器とかに凄く憧れている。そのためか、現代兵器に関してはかなり詳しい。と言うか兵器関して詳しいだけで彼等からオタク呼ばわりされている。見た目などはキッチリしており、髪も普通に短いし、寝癖も無い。積極性が無いだけで受け答えはしっかりとする。大人しくても陰気では無い。こうして見れば嫌われる要素がなに一つ出てこない。強いて言えば、創作物が好きなオタクぐらいなものであろう。(人によっては雑学が多くていい人と見られる場合もある)
嫌われている最大の要素が一つある。
「おはよう龍司君! もう少し早くに来れないかな? 今日もギリギリだよ」
龍司に話しかけた女子生徒。彼女の名前は堀江愛。龍司とフレンドリーに接してくれる学校で数少ない例外だ。
龍司が嫌われている最大の要素が彼女にある。彼女自身は自覚していないが彼女は学校のアイドルである。長めの黒い綺麗な髪、優しそうで大人しそうな可愛い顔。美少女の要素を全て注ぎ込んだ様な女性である。彼女は学級委員として活躍しており、学級や学年の問題に関しては人一倍努力して解決しようとしている。勉強の成績もトップクラスで運動は少し苦手らしいがそれでもトップクラスである。
「お、おはよう……」
龍司は小さく挨拶をすると自分の席に戻ろうとするが、不幸というか、何かの連鎖反応の様に生徒が近寄って来る。
「おはよう。龍司! 何だ?今日も大変そうだな」
「おはよう、龍司君、愛」
「また愛は龍司の面倒を見ているのか? 愛は優しいな」
龍司の後ろから1人、愛の方向から2人の生徒がやって来る。
先ず、龍司の方向から来たのは片岡彩香。龍司の幼馴染である。身長はそう高くなく、中学生と見間違えそうな程だ。髪は黒色でポニーテールをしている。顔も小顔で可愛い方である。成績は体育以外は駄目で、テストは平均点ギリギリか赤点ギリギリである。
愛の方向から来たのは成績トップクラスのカリスマだ。
男の方は坂井輝といい、成績は運動、勉強にしろトップで愛と同じ学級委員を勤めている。正義感が人一倍強く、また思い込みも激しい。完璧超人の為か、要求することのレベルが高いと思っている。
女の方は本多美香。愛の幼馴染で成績は上の方である。3人の中で1番、マシな人間で少しだけだが龍司の気持ちが分かると言っており、龍司とはそれ程では無いが会話の相手になっている。
ちなみに彩香は昔から山登りが得意で今でも良く山登りをしている。(山登りと言うか山を駆け上がっているだけだが………)そのためか、運動神経がサルと張り合える位にいい。
輝と美香は剣道をやっており、実力は全国クラスである。美香の方は真剣を使った居合いもやっているらしい。
「おはよう。俺は授業の準備しないといけないからまた」
龍司はそう言うと席に座る。そして、授業の準備を始める。
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少し時間が経ってホームルームの時間。担任が朝の連絡をしていると突然、ドアがノックされ男子生徒が入って来る。
身長は2m近い大男で制服に着崩しが無く、髪もしっかりと整っており、スポーツ系イケメンを感じさせる顔をしている生徒が入って来る。
皆からは堂島生徒会長と呼ばれている。堂島生徒会長は担任と少し会話した後、生徒達の方を向いて話を始める。
「今日の連絡事項で追加の要件が…………ん?」
堂島生徒会長は1人の生徒を見る。その生徒は寝ているのか顔が上がっていない。
堂島生徒会長が起こそうと思ったのか、近付こうとすると次は隣の生徒が寝始めた。
それは連鎖反応の様に重なって行き、次々と生徒達が眠っていく。
そして、龍司にもそれがやって来たのか、強烈な眠気が彼を襲う。徹夜明けでもこんな眠気には襲われた事が無い。
だけど、徹夜を常人よりしているのか、少しだけは耐える事が出来た。どうやら龍司以外は寝ていると思われ、堂島生徒会長も倒れている。
そして、龍司の意識はそこで途切れた。
そして、今日の緊急ニュースとして、高校生とその教師が行方不明になったというニュースが流れた。