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私の部屋。

ドラ乙視点です!なんか今回ちょっと目が滑るかもしれません(´・ω・`)

読みやすい勢いのある文章を目指して頑張ります!(`・ω・´)がおー

私が歩けるだろう、大きな廊下を歩き、時折狭くなる道につっかえながらも変態ちゃんご一行にまず案内されたのは大きな品の良い部屋だった。

いや、正確には品の良かっただろう部屋だ。


分厚い本や、何かを書き散らかした様な紙の散乱するそこは、王族の部屋、と言うよりは期日の迫った修羅場を迎えつつある人の部屋の様な有様だった。

そして壁には部屋の主の趣味なのだろう、大小様々なドラゴンの絵が所狭しと貼ってあった。


そのドラゴンの絵がまたかっこよくて、個人的には眼福!

おぉ、と思って目を走らせる。


緑の鰐の口のドラゴン、蛇のような形の色の塗られていないドラゴン、赤い火を吹いているドラゴン…様々な絵が飾られている中で、一番目を引いたのは、一枚だけペラ紙ではなく、油絵でもするかの様な頑丈な素材に描かれた、藍色のドラゴンの絵だ。


絵というよりは肖像画のような印象を受けるそれは、普通は省略するだろう鱗が一枚一枚丁寧に描かれた、とても愛を感じる絵だった。


形はやや首が長く、後肢が大きくて、前肢が小さい、後肢と尻尾の重さで二足で自立できるタイプのドラゴンだ。翼は開かれた状態で描かれていて、鳥の羽で言う昔爪があったところ(始祖鳥の爪の所だ)に、丈夫そうなしっかりとした、宝石の様な紫の爪が付いていた。


全体的に細いシルエットのドラゴンではあるけれど、その藍色のボディは私の鱗の色と同じだったし、それに、尾の先も私と同じ形になっている。僅かに返しの付いた、槍の先の様な形をしたそれは、ドラゴンには良くある物ではある(ドラゴンの中では、これを武器に使う種は少なくなく、そう言ったタイプは尾の銛に毒を持っている事も多い。これと同種の物として鈍器タイプの尾先のドラゴンもいる)ものの、形まで一緒とあればもしかしたら同種のドラゴンなのかも知れない。ツンとしたつり目の綺麗なお姉様系イケウーメンだ。…男だったらどうしよう。


ふと、私ははっきりと自分の姿を見たことがないのに気が付いた。


水に写る姿は、自分の青色がぼんやりと写るのを見ただけではっきりとは分からなかった。と言うか、光の加減とかを調節すればよく見えるのだろうけれど、人間だった頃からあんまり鏡をみる習慣がなかったから自分の姿なんて気にも留めてなかった。


うーん、と考えているとふと気づく。

この部屋、すごく汚くて私の大きさだと足の踏み場がない。


一歩踏み込む度に本と紙が幾つもご臨終するだろう。

大体、横になるスペースもない。


「あの、私はどこで寝れば…。」


そう呟いた矢先、ポンポン、と弁慶の泣き所を叩かれる。

人間だったら痛いでしょ、それ。と言うのを心にしまいつつ、叩いた本人…おっさんが苦笑いで隣の部屋を指さす。

どうやら、こっちの修羅場ってる部屋、もとい、恐らくは変態ちゃんの私室ではなく、変態ちゃんの部屋の隣で暮らすらしい。


良いのかな、お姫様の隣で。もしも私が暴れたら、とか考えてないんだろうか。

まぁ、そんな事をすればこっちの身だって危ないんだから、よほどのことがなければ暴れるつもりはないけれど。

いや、それ以前に何故私にこの部屋を見せた、変態ちゃん。

もしかして、此処に招くつもりだったのか?友達だから?


…招くときはもうちょっと片づけてね。


「あ、こっちですか。」

そう言って私は隣のドアをなるべくぶつからないように気をつけながら通った。

普通のドアよりは大きく、気をつければぶつからないものの、首を上げて通ろうものなら顔面を盛大にぶつけるだろう。首、ちょっと長いんだよね。


後ろから軽やかな声が抗議するように叫んでいたが、それは聞こえない事にした。


「おぉ、大きい。」

さっきの部屋ときっと同じ大きさがあるんだと思うそこは学校の多目的教室のもっと天井高いバージョン位で、部屋にしてみればとても大きかった。

大きなベットがあって、テーブルが横に避けられている事を考えると元は人間が暮らす用の部屋で間違いなさそうだ。きっといきなりの事に、大きな飼育小屋が用意できなかったんだろう。だから、仮になるべく大きくて、変態ちゃんの近くにつれてこられたんだと思う。

入ってきたドアとは別に、他のドアがある。

気になって交互におっさんとドアを見比べるとおっさんは靴を脱いでそろえた後に部屋にあがって手招きをした。


余りに自然な行為に、私はこの国は土足禁止なのか、と思いながらもくっついていく。

さっきよりは小さな扉に羽をぶつけつつ入るとそこは大浴場だった。

なんで客間に大浴場。と思ったらよく考えれば王族の部屋の一室なんだ、それくらいあるのかも、と思い直した。

ライオンではなく、鷲だか鳶だかの口からお湯が流れ出ている。

多分、設計上お湯が止まらないのだろう。誰もいなかった部屋なのになんと贅沢な。


それはそうと、私はちょっと体を洗うことにした。

…だって、ここ、土足禁止なのに私外から来て足も拭いてない。

足下は雪だったけど、でもきっと体すごい汚れてると思うし…


なにより、このままじゃ心おきなくベッドに入れるか試せない!せっかくまだベッドあるんだもん、ベッドを堪能したいじゃないか!人間として!!


どうせドラゴンの飼育部屋が出来たらもうこんな人間らしい所なんて住めないんだもん、ちょっとは良いじゃないか。


そう思ってちょっとわがままとは思ったけれど、私は浴槽に向かった。

おっさんは驚いて居るようだったけれど、とめたりはしなかった。

入れるか少し不安だったけど、その石造りの大きいその浴槽に私はギリギリ浸かることが出来た。


すごい気持ちいい…。

はふ、と息を吐いて私はくつろいだ。

おっさんは気をきかせてくれたのか、いつの間にか姿が見えなくなっている。


まぁ、いいか、と思って顔も時々お湯に漬けて、猫みたいに前肢で顔を洗っていると、おっさんが肌着で突入してきた。


…肌着で!?

うえぇ!!?おっさんどうしたのぉ!!?


今度は私がびっくりしているとおっさんは私の体をごしごししてきた。

…あぁ、背中、流してくれるのね…。ちょっとびっくりした…。

まぁ、よく考えればドラゴンに対してあ、入浴中は遠慮しますね…みたいに気をきかせる訳ないか…。

私だってカピバラが入浴してたら気をきかせるどころか観察を始めると思う。


はは、と乾いた笑いをもらしながらも、一生懸命泡つけて洗ってくれる彼になんだか申し訳なくなり、手の届くところは自分で洗って、なんとか私は綺麗になった。

汗だくな彼を見て、次は自分だけでやろう、と決意した。


そして、体を拭く頃には、変態ちゃんが突入してきて、おっさんと共にぐわしぐわしと沢山のタオルで拭かれた。

…うん、ごめん。軽い気持ちで入っちゃって。こんなに労働力がかかるとは思わなんだよ。特におっさんと洗濯する人ごめんね。


ともあれさっぱりしたので、心置きなくベッドに潜り込んだ。

私の体は以前よりは巨大になったけれど、この大きな王様ベッドなら何とか入ることが出来た。


ふぉぉ!ふかふかー!!いいな、天蓋付き王様ベッド!!気分はお姫様だよー。

私は久々のベッドがすごく嬉しくて、顔だけベッドから出しておっさんと変態ちゃんにお礼を言う。


「二人とも本当にありがとう!すごく嬉しい!!」


言葉は通じはしないけれど、でも、言いたいことは伝わったようで、おっさんも変態ちゃんも頭や角を撫でてくれた。


「ーーー?」「ーーーー。」


二人はそのまま会話を始めてしまったので私は首を引っ込めて再び枕に頭を乗せた。角は物の見事にはみ出たけど、まぁ、気分だよ、気分!


私はゆっくりと睡魔に身を任せた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


その時見たのは、白い妖精の夢だった。

楽しそうに真っ白な世界に色んな色を落としている。


色々な雫が、人になったり、たまに獣になったりしている。

妖精はその度に変わる真っ白な世界に喜んでいる。


そして、最後に落ちてきたのは青い雫だった。


それは青いドラゴンになって、翼を広げた。

あの絵の、イケウーメンのドラゴンに、似ている気がした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「変な夢。」

まぁ、たまに見る、意味のない夢だろうと思った。

ストーリー性の高い夢は、あんまり意味はなく、現実逃避をしている現れ、との話を聞いたことがあった気がしたんだけれど、もうあんまり覚えていない。

ケータイがあったら調べるのになぁ。


まぁいいか、と欠伸をしてからベッドでもぞもぞして体を少し動かしてからゆっくり天蓋の布に引っかからないように気をつけながらベッドから降りる。


すると、ちょん、と目のつく所に二足歩行のチワワがいた。

堂々と生意気に胸を張ったチワワは執事の様な服を着ている。


え、これって、モンスターじゃないの?

私は岩場に居た二足歩行の犬を思い出す。

あれって、人種かなんかだったの?現地の人?原住民??


あぁでもとりあえず…


「チワワ、ブラックタン&ホワイトのロングコートか…。」


個人的にはボルゾイの方が嬉しかった。と、どこかで冷静な私が脳内犬種図鑑をひきながらぼやいていた。

チワワとコミュニケーションをドラ乙はとることが出来るのか!?

…ちょっと迷い気味の次回。少し遅くなるかも知れません。

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