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変態ちゃんに首を掴まれた!

ドラゴン乙女の視点です(`・ω・´)がおー

読み返すとさすがノープランなだけあって、矛盾多し(´・ω・`)

ちょくちょく読み返してちゃんと修正等々してゆきますので、よろしくお願い致します!

アクロバット的にぐるん、と飛ぼうとして転がった。

雪につっこんだけど、それですらおもしろくて。

子供が雪山ではしゃぐように、私は空と雪を泳いだ。


それで、時々変態ちゃんにちょっかいを掛けたら、彼女も楽しそうで。


私は友達ができたみたいで凄く嬉しくて、子供のように何度も彼女の周りを飛んで回った。


…その時は、こんな事になるなんて、思いもしなかったのだ。


変態ちゃんに首を引きずられ、おっさんに助けを求めるも目のぎょろっとした猫背の兄ちゃんに阻まれて、結局逃げる機会を失ってしまった。


今私は、巨大なお城の前にいる。


デカい。黒くて禍々しい。

お城って、こう、白くて綺麗な物じゃないの?なんでこんな魔王の住んでそうなお城なの?てか、変態ちゃんって女騎士とかそう言う感じ??


私ははじめて出会ったときに彼女がフルフェイスを着込んでいたことを思い出す。

おっさんが魔術師で、魔術師のおっさんが友人の女騎士である変態ちゃんに私を紹介した。理由は言わずもがなドラゴンを愛しちゃってるからだろう。

どうしても会いたいと、あんな顔で言われたら、おっさんじゃなくても首を縦に振るしかないだろう。


これなら辻褄が合う。きっと、そう言う感じ。


…言葉がいっさい分からないというのは凄く不便だ。

と言うか凄く不安だ。何せお互い想像でしか相手を捉えることが出来ないんだから。

せめて、名前だけでも分かればなぁ…。


そう思いながら、三人を見下ろす。

私を見て、蜘蛛の子を散らすように人が逃げて行ったものの、どうやらギョロちゃんとおっさんがその場を納めてくれたらしい。

今は周りの人は隠れながらも、興味津々、と言った風情で此方を見ている。


(ちなみにギョロちゃんは猫背のお兄さんの事。

昔、同じ名前の熊のかき氷機があって、ハンドルを高速で回せば回すほどぎょろぎょろと目を高速で左右に動かす代物から取った名前だ。間違っても、キ○ロちゃんではない。

そう、おもちゃの缶○なんてついてくるような可愛いものじゃない。断じて。

むしろ彼は、キ○ロちゃんと言うより、ドラ○エのスラ○ムとか首狩○族みたいな顔だ。)



「ーーーー。」

「ーー?」「ーーーーー!!」


三人は、門番らしき人と何やら話しているけれど、なにが何やらさっぱりだ。

この世界の言葉は、発音が難しくてカタカナ表記すら難しそう。

…そもそも私はバイト先のフランスのおっちゃんのネイティブな名前すら聞き取れなかった人なので、どれが名詞でどれが動詞なのかもさっぱりだ。

そもそも、私の世界の言葉の常識が当てはまればの話だけれど。


「ーーー。」


と、ふと、門番の後ろから凄い身なりのいい人…あれ、冠?王様??なんで王様が出てくるの??あ、いや、もしかしたら、冠はえらい人、ってだけで何人もかぶっているのかも知れない。


「ーー!」


あれ、おっさんと門番、ギョロちゃんは頭下げてるのに、変態ちゃんは頭下げてない。…寧ろ王様が一方的にハグとかしてて、とってもフレンドリー??スキンシップは欧米だねぇ。


……いや、そこじゃなくて、あれ、もしかして、変態ちゃん…


そう思っていると、王様らしき人はひょいと手を変態ちゃんの頭に乗せた。

何となく、嬉しくなさそうな反抗的な顔に、親子の関係が垣間見える気がした。


「ーーーー。」

「ーーーー!ーー!」


如何にも宥められているのに反抗している様子は反抗期の娘そのものだ。

王様の娘…イコール…?


…お、お姫様ぁ!!?随分ボーイッシュなお姫様だな、オイ!

どっちかって言うと騎士みたいな格好してるからそっちだと思ってた!

えと、じゃあ、この子はおてんば姫様で、おっさんはお目付役のじいや、こっちのギョロちゃんは……


ギョロちゃんは?何だろう。…そう言えば、ギョロちゃんと変態ちゃん、王様はみんな日本人みたいな黒髪だ。おっさんだけが赤茶けた色をしている。ついでどう見ても40代辺りの髭だ。いや、おっさんは今はどうでも良い。


目の色は変態ちゃんは綺麗な澄んだ青色だけれど、王様とギョロちゃんは同じ緑色をしているし…。

よくみた感じ、おっさんよりは二人は若く見えるし、年も近そうだし、もしかしたら、王族に生まれたけれど、王様になれなかったギョロちゃんは、姫様のもう一人のお目付役なのかも知れない。


……いや、そんな平和的な訳ないか。

こんなお城に人が住んでいた時代の王族は、決まってドロドロ愛憎劇が繰り広げられているのが定石。

こんな和気藹々と談話してるような王族ではないはず…。


きっと、ギョロちゃんはたまたま同じ髪色でたまたま変態ちゃんの世話係になったに違いない。きっと、そう。


私が一人で納得していると、ぽんぽん、と誰かが私の鱗を叩いた。

何だろうと思えば、おっさんが私の顔を見上げてお城の方を指さしている。

もしかしたらやっと退屈な話が終わって、この城に入れてくれるらしい。


普通だったら喜ぶべき所なのかも知れないけれど、私は戦慄した。

だって、この流れは確実に国単位で飼われる流れだ。なんせ、私のご主人様になるであろう人はこの国のお姫様だし。

ってか、私元人間!!ドラゴンに飼われるならまだマシも、同じ人間に飼われるとか嫌すぎるーーー!!


そう思った私はおっさんの顔を見つめながら一、二歩後ずさって首を横に振る。

「ごめんなさい、私は、此処にはすめません。」

そう言ってみると、私の言葉に反応したのは以外にも王様だった。

彼は如何にも何かを考えている様子で、顎に手をあてて首を捻る。


「『ごめんなさい』?ーーーー。」


…驚いた。今までおっさんや変態ちゃんは発音すら出来ていない様子だったのに、その真似は酷く日本語じみた響きだった。

もしかしたら、この言葉に覚えがあるのかも?…だとすれば、もしかしたら異世界にも日本語があって、王様はきっとそれを知っているのかも知れない!


私は、王様に近づいて、更に言葉を続けた。


「あの、もしかして、私の言葉がわかるんですか?も、もしくは、聞いたことがありますか?」


私は一縷の希望を持って話しかける。

しかし、王様は依然として考えるポーズのまま、眉間に皺を寄せるだけだった。

…ダメだ。明らかに通じてない。


私は頭が冷たく、ずん、と重くなるのを感じた。

思いの外、ショックだったみたい。まるで、希望なんてない、と突きつけられたような気分だった。


でも、と、私は思い直す。


反応はしてくれたんだもの。もしかしたら、聞き覚えはあるのかも…?

そう思わずには居られない。そこまでして、どうして今まで気にもとめていなかった言葉の通じない事に苛立ちを感じるのだろう、とふと思う。

確かに、私は良い性格なんてしていない。ぶきっちょだし、バカだ。

私の第一印象は決まって頭が悪そう、だと自負している。


要するに、良い人間関係を半ば諦めていたんだ。

言葉だってちぐはぐだし、子供みたいな言葉のチョイスだし、初対面の人と普通に話すなんて出来ないって思ってたのに。


でも、今回はなんでか話したい。こう、どうにもならないなんて思いたくない。

こんなに、私は諦めが悪かっただろうか?


そこまで考えて、あ、と私は思い出す。

そう言えば、昨日見た夢…。


私はつい信じてしまっている夢占いのことを思い出す。

そうだ、子犬の夢、それに飼うっていうのは。


……そっか。

何してるんだ、私。せっかくのチャンスじゃない。


私はその答えにたどり着くと、今までの焦りやらがストンと胸に落ちて、少し落ち着いた。


良いじゃないか、飼われても。もしかしたら、酷い目に遭わされるかも知れないけれど、そう言うときは暴れてやればいいんだし。

怖いけど、少し、信じてみようかな。

思えば、変態ちゃんも、おっさんも、変わってるけど良い人じゃない。

それなのに信じないのは何だか裏切りの様な気もしてきた。

どうせ、さっきの言葉は通じてないんだ。大丈夫、まだやり直せる。


私は変態ちゃんの体に頬をすり寄せた。

言葉は通じなくてもきっと、この行動なら敵意はないと思ってもらえるはず。


変態ちゃんはまた声をあげて喜び、そして、私の大きな顔に小さな手を差し伸べて変態ちゃんも私に、頬をすり寄せた。

少し驚いたけれど、同じようにしてくれたことが妙に嬉しくて、私は口を開く。


「ありがとう、さっきはごめんなさい。その、やっぱり、私も一緒に居ても良いですか?」


言葉は通じてるわけじゃないけれど、何となく伝わったのかも知れない。

にっこりと笑って、変態ちゃんはまた私の首を引っ張る。

いたい、いたい。そんな事しなくても行くってば!


そう思って、ゆっくりと変態ちゃんがひっくり返んないように気を付けながら、私は自分から黒い門をくぐった。

大きな体の私でも、余裕で通れる重そうな扉をも我が物顔で歩く私に、変態ちゃんは少し驚いて手を離し…それから嬉しそうに尾にじゃれついてくる。

何だか猫みたいな子だなぁ。くるくるしてて、楽しそう。


後ろをちら、と見やればギョロちゃんが困った顔(その顔不気味!)で、おっさんは苦笑い(髭)で、王様は優しい表情で歩いていた。

三者三様だなぁ。人間って不思議。

そう思いながら、私は彼女に話しかける。


「ねぇ知ってる?」


彼女は不思議そうに此方を見ている。しかし、これは私の言葉に興味があるからだろう。

これから話すのは理解されないと分かっているからこその、ちょっとした自己満足で、気持ちの整理の一環だ。

私はゆっくりした歩調と同じように、緩やかなスピードで言った。


「子犬の出てくる夢も、犬を飼う夢も、寂しい、っていう気持ちの表れなんだって、ね。」

「ーーーーー?」


思った通りの難しそうにしかめた顔が、何言っているのか、と探る目なんだろう。

簡単なことも伝わらないし大きさも全然違うのに、今、仲良く肩を並べているのが何だか滑稽で少し面白く感じて、私はふふ、と笑った。


今日からお魚、いっぱい食べられると良いな!


そう思って見上げた天井には、青い色と金色で描かれた、満点の星々を讃える古めかしい夜空が、日の光を浴びて美しく輝いていた。

次の視点は…引き続きドラ乙になるかと思います!

ドラ乙は、夢占いも好きなのです。

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