彼女
長いので注意です!
朝一で連絡が入る。
今日の午前の授業がなくなった、との事。
曰く、カシマール雪原がひどい吹雪で、貴族の授業で港街に出ていたアウレリオ先生が城下町に帰って来られなくなったらしい。
港街と城下町の真ん中に横たわるカシマールには、グラツィエスというドラゴンが住んでいる。
普段はなんと、あの固まることのないあの雪の中でひっそりと暮らしているらしい。
一体どうやって呼吸しているんだとか、あの雪の中をどう移動するのかだとか、色々不思議なところはあるが、僕が思うにあの雪の中を泳ぐようにして移動しているのではないかと思う。
その推測ができるのは尾羽の…いや、やめておこう。
グラツィエスは白い身体に無数の鋭く尖った氷が這い、青みがかった透明の角を持つドラゴン。
鋭利な身体の結晶は光に当たると輝き、暗所では青みがかった透明の角が仄かに光る、とても美しいドラゴンだと聞く。
しかし、彼はあの雪原の主。
時折気まぐれに顔をだしてはカシマール雪原を吹雪かせる。
初めは雪原のみの吹雪だが、やがてグラツィエスの吹雪は大陸を覆ってしまう。
しかし、これはニクスにとってはもはや恒例行事なので、今頃城下や港街では吹雪をやり過ごすために食料などの準備に追われている事だろう。
(もっとも、それはこの城とて同じことだけれど。)
とは言え、今日の授業はなくなり、ドラゴンのお姉さんとの時間が増えた、ということだ。
僕はそうとなれば、とジョディを呼ぶ。
「ジョディ!」
「はい、ギュスターヴォ様。」
ジョディはすぐ側に控えていたらしい。
すぐに返事が返り、僕に頭を下げる。
それを見届けてから僕は再度口を開いた。
「午前はドラゴンと過ごしたい。それで、朝食、昼食をドラゴンの部屋に運んでくれるかい?」
「かしこまりました。午後の戦闘訓練はいかが致します?」
「それは出るよ。護身は必要だ。」
戦闘訓練、と言うととても物々しいが、要は魔法や剣を使った護身術の授業だ。
何故戦闘訓練なんていう名前になったのかはそれを始めた大魔女ユミコのみぞ知る、と言ったところだ。
…と言うか、大魔女ユミコは一体誰を訓練したんだろう。どれだけ探してもその時の記録だけ見当たらないんだが…何をしたんだユミコ。
まぁいいや。
僕は気を取り直して立ち上がり、午後に使うナイフを腰に付けてジョディに指示を重ねる。
「ドラゴンの部屋から訓練所に直接向かう。ナイフは持っていくが、弓は訓練所に持ってきてくれ。
それと、ドラゴンと紅茶を飲んでみたいから、紅茶は多め、それからドラゴン用のカップの代わりになるものも用意をしてくれ。」
僕がそう言うと、ジョディは一瞬不思議そうな顔をしたが、それでもすぐにかしこまりました、と義務的に頭を下げて、からくり人形のような正確さで部屋を後にした。
この国で紅茶は高級品なので、もしかしたらドラゴンは飲んだことは無いかもしれないが…
まぁ、彼女も人間だ、そういった物に興味くらいはあるだろう。
気に入ってくれると良いけど。
こんな風にすると媚びるようで少し癪だが、あいつはこれまでも経緯を見るに餌付けが一番効果がありそうなので、そうしているまでだ。
魔王はこの国のドラゴン、グラツィエスをしたがえていた、とされている。
グラツィエスは非常に獰猛な性格で、好戦的。
世界中の空を飛んでその氷の様な冷たい翼で吹雪を起こし、大きな口からは冷気を吐いて見るものすべてを凍らせていったと伝えられている。
それに対抗すべく勇者が協力を仰いだのがカロルの隣国であるルクスのドラゴン、トルニトルスだ。
そのトルニトルスだって、本気で咆哮を上げれば近くの人間の首が飛ぶとまで言われ、その蛇のような身体で空をかければ、雷鳴が轟き森を焼くのだという。
ドラゴンとは言わば生きている天災であり、自然災害の一種。
それを従えた前例はたった2つ。
それはこの世界を支配しようとした魔王と勇者の二人だけなのだ。
…僕がドラゴンを従えるのには、大きな意味がある。
僕には、かつてドラゴンと契約した、勇者の血が流れている。
つまり、この世界を救った勇者の再来、と嘘でも言うことができるのだ。
自立に必要な力も、経済も安定しつつある今、きっかけさえあれば世界に一目置かれることになる。
そうなれば、やりかた次第ではこの国は大きな一歩を踏み出すことが出来るだろう。
そのためにも、あのドラゴンにはこの国に居てもらわなければならない。
あのドラゴンモドキにはそれだけの価値がある。
餌付けをする、理由には十分だ。
そう思いながら、壁を押す。
隠し扉は少し重いが、それでも慣れればどうという事もない。
僕はまた裏道を通って移動する。
相変わらずここは熱く、生身では移動が難しい。
この保温結界がいかに優秀な物であるかが身に沁みる。
しかし、これを作ったのは随分と昔。魔王の時代だ。
ならば、魔王は保温結界の代わりになる物を持っていたのだろうか?
…やはり、魔王の時代には既に魔法の技術があったのかも知れない。
他にも色々ないわれの多い魔王だが、その多くは“魔王だから”の一言で済まされてしまう。
もしかしたらそこに、魔法技術のヒントが隠れているかも知れないのに。
…いや、もはや伝説と化したその寝物語にも等しいそれを、史実とするには弱いかもしれないが。
(…こんなにも長くこの城に住み着いて来た我らニクスの民は、この城の動力源を知らない。
僕も隙を見て裏の道を探すが、風化して読めない文字が時折見当たるだけで、特に大きなからくりは見つかっていない。)
しかし、きっとあるはずなんだ。
魔王が不在となっても動き続ける、永遠にも等しいエネルギー源が!
(きっと研究にも役に立つ。僕の推測が正しければの話だが。)
恐らくは魔導機の一種と考えられるが、それがあれば、魔法を学ばずとも、簡単に魔法の力を駆使する事が出来るはずだ。
今の魔導機は、あくまで使用者の魔力を注ぐ事で動いている。
魔力は力の大小はあれど誰しも持っている。魔力とは、この世界に生きるすべての生き物と、一部の命の無い分質に宿っている。
割りと、魔力自体は世界にありふれているものだ。
しかし、それを操り、行使すると言えばまた話は変わってくる。
例えば水に才能があるものは、炎の魔法は上手く使えない。
そこで、誰もが炎の魔法を擬似的に使うことができるようにする、といった物が魔導機なんだが…
水の才があるものでも、実際に魔法として使えるようになるまでには時間がとてもかかるように、魔導機を制御するのにもコツがいり、結局は魔法を未修得な者には扱えない物となっている。
それが、もし、魔導機自体に魔力が保存され、自動で制御がされるとするならば?
それこそ、魔法を使ったことのない子供でも、簡単に魔法を使うことが出来る様になる。
この国は義務教育の一環としてとして魔法を学校で教えている。
だから、大小の差こそあれ、この国で魔法を使えない奴なんて以内に等しい。
しかし、他国となれば話は別で、魔法が一般に広まっているとは言い難い。
寧ろ、国のトップ、その周辺に浸透し、未だに独占をする傾向にある。
しかし、先の技術があれば知識がなくても半永久的に魔道具が使えるようになる。
つまり、外国の一般にも魔法が浸透しやすくなる、ということだ。
それはまたひとつの発展であり、そして、他国へ外交の強みとなる。
きっと、この国の為になる。
今より、きっと、豊かになるはず。
それも、ユミコ祭りを成功させてからの話だろうけれど。
僕はすっかり歩きなれたドラゴンの部屋への道を歩く。
時折、壁向こうから微かに音がするだけで、ここはとても静かだ。
所々にある階段には手すりは無く、天井の高さも疎らだか、それでもお湯の通り道の光で完全に光がなくなることは無い。
ふと、ドラゴンの部屋の手前で上を見上げる。
ここは、上の階に繋がっているらしく、とても天井が高い。
(割りと、綺麗だよな。ここ。)
詩人なら星がどうのと喩えるようなそんな光が、天井まで這っている。
僕なら、なんて喩えるかな。
(んー…ほし、って言うか…)
蛇?
光る蛇の様だ。
壁を這って、登っていく蛇。
「…。」
実にくだらない。これは、僕の心に閉まっておこう。寧ろ忘れよう、そうしよう。
僕はなんだか恥ずかしくなって早足でドラゴンの部屋の壁を押した。
思ったより力が入ったのか、勢い良く開いて少しびっくりした。
けれども、日頃の行いが良いのか、僕以外には部屋には誰も居なかったので気にしてない風を装いながら、ドラゴンのベッドに座った。
人間にはおおよそ大きすぎるそれは、僕の重さの分沈み込む。
柔らかくて、手触りが良い。
別にあいつの為にこんな良い布団に変えた訳じゃない。
(大体、あんな硬い鱗じゃ、この柔らかさはわからないだろ。)
これは、僕がここでドラゴンと一緒に寝るのに、心地の良い環境に整えたに過ぎない。
(だから、あいつの為じゃない。)
僕は、そう思いながら、あえて後ろに倒れた。
弾力のある布団と、何かがばさり、と音を立てる。
何だろうとそこを覗くと、そこには一冊の古ぼけた本が広げて置いてあった。
酷く見覚えのあるそれを、僕は驚きながら手に取った。
「これ、大魔女ユミコの…?」
なぜ、こんな所に、ユミコの手記が?
そう思いながら、何度も目を通したそれをまた手に取る。
見たところ、以前覗いた時とそう変わらない様子のそれは、彼女のベッドの上に開いたままの状態で置いてあった。
僕が転がった衝撃で開いたのか?
そう思った僕はパラリとそれらを捲る。
いや、それにしたって、これが彼女のベッドの上にあった、と言う事は…
まさか、あいつ、これが読めるのか?
僕はそれを手に、ふと思う。
そうだ、あいつ、度々良く分からない言葉を話していた。
しかし、こちらが分からないように、あいつも言葉がわかっていない様子だった。
そうでなければ、手綱を付けるときは、もっとスムーズになっていただろう。
あの手綱を付ける時に、散々あの無礼者に痛い思いをさせられていたのだから。
短く悲鳴を上げながらも、手綱付けに協力をしていたのを思いだす。
かの天災たるドラゴンが人間に虐められるという珍光景。
...もしかしたら、人間であることを隠すためにああいう態度を取った、とも考えられるが、あいつの普段の行動を見ていると、どうして周りが気づかないのかが不思議なほど人間らしい行動をとっているので、それはないだろう。
だとして、もしかして。
僕は読めないその字を指でなぞる。
聞き取れない言葉、読めない字。
それらを理解する、あいつは
「大魔女ユミコと同じ、人種、か?」
もしかしたら、同じ家系なのかも知れない。
最初はあいつはドラゴンに変身したものと思っていたがしかし、どんなに夜中でもあの姿が人間に戻っていたことは一度としてない。
それが例え、完全に眠っていても、だ。
もしやあいつ、自分の身体をドラゴンの姿に変えたのではないだろうか?
だとすれば、かなりの魔力だ。
あの身体、かなり本物のドラゴンに近い。
いや、近いどころじゃない。
ドラゴンそのものと言っても差し支えないだろう。
そんな芸当が出来るなんて...普通じゃない。
(…なるほど、ならば沢山の事に納得が出来る。)
読めない、魔法の情報を記した手記を軽々と読み解き、身体をドラゴンそのものに作り変えるという常識から大きく逸脱した無茶な魔法を成し、人間であるにも関わらず、ドラゴンの振りをして抜け抜けと城で暮らす女。
僕とは何らかの理由で、別のルートで派生した、ユミコの家系。
あってもおかしくは無い。
ユミコ自身が何処からやって来たのか分からないと言う謎の自出をしているのだから。
(彼女は謎がとても多い。)
なんにしろ、あいつ、本当に使いようによっては大いに役立ってくれそうだ。
そう思って僕がまた読めもしないそれを何ともなしに捲った。
もし、この魔法式が読めたなら、僕もドラゴンになれるのだろうか?
そう思って、もう一度、とページを戻そうとした時、奇妙な声が聞こえた。
「ワァーォ!」
「“ワァーォ”?」
いつもの落ち着いた声ではなく、いつになくふざけた声に気が削がれて思わず復唱してしまった。
僕にそんな言葉を掛けてくるのは一人しかいない。
ドラゴンのお姉さんだ。
当の彼女はそんなふざけた声を出しておいて、戸惑った様な様子でこちらを伺っている。
この本が読めるのかを今更尋ねるのも野暮ったいので、僕は浴室からミケーレやサタトルースが出てきたのを確認しながら言った。
「やぁ!一緒にご飯たーべよ?」
こちらもいつになくわざとらしくなってしまったが、ミケーレは気にならなかったらしい、いつもの調子で話しかけてくる。
「王子!いつの間にいらしてたんですか!」
全然気づきませんでした、と砕けた風に話す彼の横から、恭しく礼をしたのはサタトルース。流石執事長。
「申し訳ございません、殿下。
本日は殿下は授業の予定が入っているとの話でしたので、先にお出ししてしまいまして…。
ドラゴンも腹を空かせて居たのか、ジョディに連絡を受けた時にはときすでに食事は終わっていたのです。」
なんだ、つまらない。
僕はそう思いながら頬を膨らませる。
「えぇー!ひどーい!!じゃあ、お茶だけでも一緒に飲むー!!」
「…ドラゴンに、紅茶、ですか?」
案の定微妙な顔をしたミケーレに、僕は敢えて両手を使って子供の様に駄々をこねる。
「やだやだ、一緒に飲むんだ!!ね?良いでしょ?サタトルース!ね?ね?」
頼むのはミケーレではなくサタトルース。
何故かこの辺はミケーレよりサタトルースの方が緩いからだ。
案の定苦笑いをしてサタトルースは頷いてくれる。
「…仕方ないな。」
「サタトルースさんっ!」
ミケーレは身体に良く無いかもしれない、なんて説得をするが、サタトルースはいつも人間の食べ物を食べているが、彼女は大丈夫そうだと言えば、言葉を詰まらせている。
「それならいいよね!」
「王子!」
僕がそう言ってジョディに指示しようとすると、彼女は既に準備を始めていた。
さっすがジョディ!
「ジョディ、お菓子もある?分けてあげてね?」
そう語りかけると、はい、と簡素な言葉だけが返って来た。
無駄無くジョディがいつものドラゴン用のスープ皿(と言う名の硝子のボウル)に紅茶を入れている間にサタトルースがいつもの通り床に僕の食事を並べる。
ミケーレは慌てたように右往左往したが、やがて諦めたのか、ジョディに話しかける。
「…砂糖を用意して貰っても良いかい?」
砂糖?
僕は思わずいつもの癖で首を傾げると、ミケーレは顎髭を触りながら罰が悪そうに言った。
「その子、甘い物が好きなんです。苦い物は飲まないかもしれません。」
ミケーレのその言葉に、疑問が浮かぶ。
しかし、僕が言うより早くに口を開いたのはサタトルースだった。
「何故それを?普段から人間の食べ物はいけないと言っている君が…?」
そうだ。いつも一緒にご飯を食べる僕や料理を用意させているサタトルースならまだしも、どうして生の物しか与えようとしないミケーレが?
僕達二人分の目線を受けて彼は更に言いにくそうな顔をしたが、それでも間を空けずに言った。
「食べ方の癖が…」
食べ方の癖?
僕は更にわからなくなる。
ドラゴンの食事に、癖も何もあっただろうか?
僕は今迄の食事を思い返すが、勢い良く、実に美味しそうに口に放り込んでいる姿しか思い出せない。
食い意地をはっているのはわかる。
けど、どれが好き、とかって言うのは余り思い当たらない。
「この子、野菜と魚が好きで、次点で肉なんですが、好きな物から食べる癖がある様なんです。
しかし、野菜でも味付けが酸っぱいと少し食べて後に回すんです。
逆に、肉でも甘めの味付けだとすぐに手をつけます。
実家の私の妹もその癖がありまして…もしかしたら、と…。」
………よく見てるな、ミケーレ…。
僕ですらも気付かなかったぞ…?
「そーなの!?じゃあ、ジョディ!砂糖入れて!」
「畏まりました。」
彼女はそういうと、そのテイーポット3杯半の入ったボウルにザラザラと砂糖を流し込んだ。
...ストレートかレモンしか飲まない僕は若干その量に引いた。
いや、確かにそれは紅茶?と聞きたくなるような量のそれに入れるのだから理解できるけれど、普段そんなに砂糖を使用しない僕にとっては視覚の暴力でしかなかった。
そんな殺人的な量のそれを入れ終わったボウルをジョディはいつの間に持ってきたのかわからない泡立て機でそれを溶かす。
...こんなの、好んで飲むの?太るよ??
仮にも女性だろ、だなんてそんなことは思っても口には出さない。
何故か、この国の女性というのはとりわけ太るのを気にするのだ。
しかし、太るのを気にしている奴に限って何故か暴飲暴食が過ぎる場合もある。
言われたくなければ食べなければいいのに。
そう素直に言ったら、ものすごく睨まれた。女ってめんどくさい。
ともあれ、こいつもユミコの家系ならきっと、気にもしているだろうに。
僕はそう思いながらも、紅茶のカップを手に取る。
すると、砂糖が溶けて鮮やかな色合いになった紅茶のボウルをドラゴンは目を輝かせて持った。
紅茶を一口。今日のそれはスタンダードなプレナ産のものだが、香りがいい。
ドラゴンも僕を見てからそれを丁寧に傾けて...こぼした。
誰ともなくあ、と言う声が上がり、ミケーレは慌ててサタトルースの持っていたタオルで零れた紅茶を拭いた。
「あぁ!こら、おまえは王子の真似はしなくていいんだよ!?」
彼女自身も驚いたらしく少し慌てふためいたが、すぐに紅茶が拭き取られたのを見て何かを二言三言声を掛ける。
きっと礼だろう。
しかし、何となく落ち込んだ様子の彼女に、僕は思わず声をかけた。
「...大丈夫?」
しかし、僕の言葉に答えたのはミケーレで、苦笑いでええ、と言った。
当の彼女は僕に話しかけられた事に気付いていない。
...なんだよ、折角気遣ってやったのに。
僕がそう、言葉の壁にやきもきしている間にも、彼女は器を低く持ち替え、噛むように紅茶を飲む。
今度はじっくり味わえたのだろう、ぺろりと口の周りを犬みたいに舐めた。
目を細める様はトカゲというよりは狐のような印象だった。
...そうか、人間の口と違って、ドラゴンは口が長いから人間の様に流し込むと横からこぼれてしまうのか。
しかし、普段はそんなミスしないのにね。
そんなに紅茶が嬉しかったんだろうか?
「...美味しい?」
僕はそんなうっかりやの彼女に笑顔で問いかける。
彼女は言葉がわからないなりに、笑顔を見せた。
「ーーーーー。ーーーーー。」
それは、聞き取れない言葉ではあるものの、なんとなく、お礼を言われている気がした。
どうやらあの大量の砂糖の入った紅茶はお気に召したらしい。
...しかたがないな、これからは紅茶も偶には容れてやろうか
「...太らない程度に。」
「?」
思わず呟いた僕に、ミケーレは不思議そうな顔をした。
...や、やっと書き上がった...。
なんでこの子、こんなに考え事してるの...。
いや、正確には詰め込みすぎてしまっただけですが!
...話、わかりにくくてすみません...orz
しかし、変態さん、そのノートの数式はただの数学ですよ、数学。
数字自体に大した意味なんてありませんよー。




