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高橋サンタさんの贈り物。

高橋さんとの接触を終えた朝、枕元にノートが置いてあった。

おお、早速情報か!早いな!


そう思って物凄く小さいそれを手に取ると、私はそこに書いてある文字を読んだ。


「数学 2年B組 藤崎 優美子 (はぁと)」


なんてこった、藤崎さんって学生だったのか!

…いや、なんで数学ノートなんだ。しかもハートマークついてんぞこれ。


いいのか、見ても。


そう若干の気まずい感じを抱きつつ私は表紙を捲る。

もしかしたら、数学ノートを装った情報を綴った物かも…

そう思ったのだけれど、暫くは可愛い文字で数式やらそれについての補足やらが書いてあるだけで何ら普通と変わらない数学ノートだった。


こ、これ…間違えたんじゃ…そう思った矢先の事、急に書いてある文字がシャーペンからインクに変わった。


「お、」


私は、それを読み出す。


どうやら藤崎さんは某☆のついた魔法少女が好きらしい。所々にイラストが描いてある。上手い。…じゃない、そこじゃない。

この国の王家が宗教でヤバイ的なことが書いてあった。


あと、読み進むと、高橋さんはやはり藤崎さんとも通じているらしい。


他にも、50年毎に日本から人が呼ばれるとか(しかも全員道産子らしい!)、

今まで帰れた人が少しだけいたらしいとか、

この世界に呼ばれた人は特別な力を妖精から授かるとか、そんな事が書いてあった。


ぱらぱら捲ると、しっかりと裏表紙の内側までペンで書き込まれているあたり、きっと紙は豊富では無かったのだろう。

それできっと、授業ノートなんかに、こうしてメモを残していたんだ。


なるほどなぁ、と思っていると、とんでもない事に気づいた。


「あれ、50年毎に道産子呼ばれるんなら、少なくとも高橋さん、100歳こえてない…?」

いや、100歳どころじゃない。高橋さんは、藤崎さんと出会った時点でもう何人かの道産子に出会って居るのだ。

そうで無ければ、高橋さんが50年毎に道産子が呼ばれているとはわからないはずなのだから。


雰囲気から察するに、高橋さんは推定少なくとも200位は堅いだろう。きんぎんおばぁちゃんもびっくりだ。ギネスに載れる。


それにしては、高橋さんは若作りだ。

いや、普通にイケメン兄ちゃんだった事を考えると、あれは呼ばれてから老けてない、と考えていいと思う。

もしかして、呼ばれた人は老けないんだろうか。

それが、“妖精から授かった特別な力”?仰々しい書き方の割に凄いんだか凄くないんだかわからない。いや、凄いけど。


それに、あの時、高橋さんは言っていた。“今までこの世界に来た人達が集めた情報がある”と。

藤崎さんは帰ったらしい人が居る、としていても、それでも高橋さんが情報を集める、と言っていたということは、その帰った人は参考にならなかったという事だ。


つまり、ええと、どういう事だってば…いや、何でもない。

しかし、これだけじゃ情報がこんがらがるだけだ。

あれか、続きはうぇぶで、ってやつか。…や、それも違う。多分。


私はいつの間にか首を捻っていたらしい。

気づけば斜めっていたドアが開くのを見た。


軽快に現れたのは何かをにこやかに話すおっさんとE・コッカーお姉さんだ。

ご飯を乗せたカートを押している。相変わらず何を話しているかわからない。


私はまぁ、ご飯でももしゃもしゃしながら考えるかー、と思ってノートをそのままにベッドを抜け出した。


まぁ、あのなんとカタカナ表記をしていいのかわからない言葉を話している人達の事、内容なんて少しもわからないだろう。


万が一見付かってもきっと変態さんの暗号ノート(あの年代にはありがちな事だ。私もやった記憶がある。今すぐ消したい記憶の一部だけれど)だと思ってくれるだろう、との憶測の元、私は食事をする事にした。


まぁなんだ、時間を掛けないと全く解読出来そうになかったので投げ出したい気分だったのもあるけれど。


ーーーーーーーーーー


食事をして、とりあえず朝風呂。

それが私のいつもの習慣だ。


体を洗って貰った後、お湯に浸かりながらぼんやりとする。

暖かい…落ち着くー…


そう言えば、と私は思う。


某☆の付く魔法少女は割りと近代の作品だ。

少なくとも50年前のものではない。


とすれば、こちらの時間の流れと、向こうの時間の流れは違うのかな?

いや、もしかしたら、私達世界のごく一部時代にいる中から切り出して連れてきているのかも知れない。


とすれば、帰った時に、あまり時間がずれることはなさそう?

そう言えば、老けない高橋さん疑惑もそうだし、時間は割りと気にしなくても良いのかも知れない。


そう思うと少しは安心だけれど、いや、そもそも誰が連れてきてんだ、って話だ。


「…妖精…」


そう言えば、流し読みした藤崎さんのノートにはしばしば“妖精”と言う単語があった。

前半はともかく、後半にもちらほら出てくる辺り、何かを抽象的に表している、どうでもいいことではないと思う。


なにせ貴重なノートにメモする事だ、余計なことは書かないだろう。

(何せ、初めはイラストがちらほら見られ、内容も纏まっていなかったのに、後半は絵は至極真面目な図式しか見られなくなり、書くことも纏められ、簡素に、そしてスペースを限りなく節約しながら書かれていた。

…見るからに、ノートが貴重なものであると気づいた様子なのが素人目でも見て取れる。)


後半は字も細かくて流し読みだったから、もう少しよく読まなくちゃわからないけれど…

そう思って私は風呂を上がる。


よし、気持ちの切り替えもできたぞ!元の世界へ帰宅(?)するためにも、今頑張らねば!

先生も、“かっこわるくても泥臭く頑張る方が正解だ”って言ってたしね!


体を拭いてもらうのを手伝って貰って気合を入れ直し、勇み足でドスドスベッドに戻ると、変態さんがベッドで数学ノートを読んでいた。


そこで、勢いを削がれてたっぷり30秒。


ワァーォ!


私は思わず緑色の某スーパードラゴンの真似をしてしまった。


「“ワァーォ”?」

いや、君は真似しなくていいです、変態さん。


私は、このノートを変態さんの暗号ノートと称した矢先、なんとも言われない気持ちで、その様子を呆然と見つめていた。

裏話をしてしまうと、王子のあだなは、初めから変態さんにするつもりでした。

ですが、どうやって自然に変態呼びをさせるかを考えていたら、こんなに回り道をする事に…どうしてこうなった。


所で、スマホのスライドするやつで小説書くと書きにくいですね。面白いですけど。

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