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オホーツク海の海の色は深い。

ドラ乙視点です!

気張って参りましょう!


ーーーーー

追記:時系列の前後が激しかった為、手綱のくだりは分けました。

分かりにくくなってしまった上、話がぐっちゃになってしまって本当に申し訳ありませんでした...。

次から気をつけます...。

奇異の目に耐えながらも街を歩き、私が辿り着いたのは、港だった。


てゆうか良かったの?変態ちゃん置いてきちゃったけど。

...うーん、変態ちゃんなら喜んで付いてきそうなのになー。


まぁいいや、と思って、丁度おっさんもチワ様も手綱から手を離しているのを良いことに私は雪の降る海を見ようとそれに近づく。


...基本的に綺麗で澄んだ青い海という物は、暖かい地方の…例えば沖縄とか、そこら辺の海のことだ。

じゃあ寒い地方の海は、どんな色をしているのか?


その答えは、今、目の前にあった。


「オホーツク海?」


目の前に広がるのは、限りなく暗い色をした青い海。

いや、青というか、緑というか、黒というか…とにかく深くて暗い色の海だった。


実家の方の誰かが、怖い色だ、と言っていたのを思い出す。

きっとさわればとても冷たくて、クラゲが沢山浮いているんだろう。

…とても泳げたものじゃない。



……それでも。



「ーーーー。ーー?」

おっさんが足を叩いている。

港の側には市場のような物があり、冬の海の近くだというのに随分と賑わっている。

魚。そっか、ここは港町。

もしかしたら、漁業が盛んなのかも。


そうだなぁ、私の、故郷みたいに。



不意に、あんまり暑くならない夏の日に、暗い海めがけて釣り糸を垂らした記憶が蘇る。


近くに糸を垂らすと、アブラコが良く釣れた。

それから、遠くに飛ばすと、カレイが釣れたっけ。


その時、私はまだちっちゃくて、大きな竿を振る勇気がなかった。

だから、そう、カレイを釣るときは、お父さんに竿を振ってもらってそれでカレイを釣ったんだ。

私はカレイが大好物だった。


なんせ、某ゲーム風に言うと、とれとれぴちぴちと言うものだ。

それに、沢山動いて、お腹も空いていたし…。


「おとうさん。」


なに、してるかな。


そう思うと、ぶわ、といろんな言葉が浮かんでは消えた。


お父さんは元気にしてるかな。相変わらず、顔色悪いのかな。

お母さんは私のこと心配してるかな。心配かけてばっかでごめんね。

おねぇちゃんは…姪っ子で手一杯で、私のことは気にしてなさそうだ。

友達は、どうかな?気づいてなさそうだ。

先生と仲間達は…


……探して、くれてるかな、私のこと。心配、してるだろうな…。


なんか、悪いことしちゃったなぁ…。コンサート、近いのに、余計な心配かけちゃう…。



そう思うと、私は震えが止まらなくなった。

泣き叫びたく、なった。


『帰りたい。…帰らな、きゃ。』


私は走り出す。何もない、深い深い色をした海に向かって。



「ーーー!!?」

おっさんの慌てた声が聞こえる。

でも、その時の私はそれを聞いている余裕なんてなくて。


何もない、港の切れ端に向かって、はしって、はしって、


飛んだ。



黒くて、青くて、時折緑色にも見える波が荒々しく振ってくる雪を飲み込んで巻き上がる。

冷たい水しぶきが、これは夢ではないぞ、と言うように私の鱗にぶち当たる。


私は身体を水面に打ち付けるように飛んだ。


とんで、とんで、とんで、


ゴォ、と強い風に巻き込まれて転がるように水に落ちて、


ぐるん、と、どっちが上かわからなくなる。



『あ、くらげ。』


赤くてちっちゃい、如何にも触りたくないクラゲが一瞬だけ視界を通り過ぎる。

もう一度見ようかとそっちを向くけれど、もう、それは居なかった。


巻き込んでしまったのかも知れない。申し訳ないことをした。


そう思って、ふと我に返る。

そういえば、おっさんがおいてけてけぼり。


びっくりさせちゃったな、悪かったな、どうしようかな。


そう思いながら、私はゆっくり水面に上がる。

どうやらドラゴンでも、この水泳スキルは健在らしい。


暗い水面から顔を出すと、やはり空も暗く、雲が重そうに重なっていた。

風がごうごうと鳴って、少しうるさい。


でも、さすがはドラゴンの体。少しの時化なんて物ともしない。


そう思って、私は陸を探す。


そう、暴れたからと言って現状がどうなるわけでないものね。

いや御陰様で、ちょっと冷静になったけど。


そして、私は当面の問題に突き当たる。


「…わぁお」

暗い海、暗い空以外の物が、視界には入ってこなかったのだ。


どうしようかな、そうだ、もっと高く飛んでみよう。

どうせバカみたいに丈夫なこの体のこと、たとえ雷に打たれても物ともしないだろう。


そう思って思い切り翼で水面を叩き、体を浮かせる。

最初みたいに助走がないから少しきついけど、何とか浮き上がった体を強く吹く風に乗せて、円を描くように浮き上がる。


そう言えば、鳶はそんな風に飛ぶわね、と思い出しながら、暗い空に向かって飛ぶ。

黒く見えていたそれも、近づくと白いのね。さすが水蒸気。


周りを見渡せば、彼方に港町が見えた。

クリームっぽい石壁の色が、ゆっくりとたたずんでいる様が見える。


そこには、人々が魚を捕ったり、売りさばいたり、料理したりしているのだろう。

それを囲んで、ゆっくりと家族とそれを囲むかも知れない。

あるいは、一人で、それをつつくのかも知れない。


あぁ、なんだ、そんなに、そんなには遠くない。


私は風に乗り、おっさんとチワ様を探しながら飛んだ。


海は、相変わらずの群青と緑のグラデーションで、濃い潮の香りがする。

日本海は、こんな潮の香りはしない。


オホーツク海みたいな潮の香り。

でも、そう、オホーツク海はもう少し、もう少しエグい臭いがするような気がする。



そんなことを思いながら、私は豆粒みたいな二人が右往左往するその場所へ飛んだ。

シリアスな感じが続きますがめげないで参りましょう。

そう言えば、ギョロちゃんは名前出てませんでしたね。

可哀想なのでその内機会があれば良いのですが...。


意外と名前出すのって難しいんですね...頑張ります。

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