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夢現

変態ちゃん視点です(*`Д´*)

あー僕、何してるんだろう。

ドラゴンの眠るベッドを見て、僕は思う。



夢を見た。よく知りもしないお母様の。

別に、僕は彼女を恋しい、とは思ってはいないのだけれど。


僕には良い乳母がいたし、お父様だって、若干ウザいけれど王様にしては凄くかわいがって下さっている方だと思う。

何より、自分の命を落としてまで僕に命を下さったお母様の事を、とても尊敬しているし、感謝している。


僕は恵まれすぎていて、これでわがままを言おうものなら天罰物だろう、なんて分かっているのだけれど。


けれど。


(お母様の夢を見ると、人恋しくなるのは何でだろう。)


目の前にはドラゴン。

料理を食べて泣き出した、ドラゴン…


いや、こいつはきっと


「あんた、人間だろ。しかも、女。」


思わず口からこぼれる言葉。

暗い部屋、揺れるランプの光。

ふと、ぼんやりと照らされた彼女が動いて、ドキリとする。


起きた、かな?


…いや、どうせ、こいつに今ここにいることがバレても、こいつが誰かに言葉を伝えられるわけでも無い。

…それでも、何でか気恥ずかしい気がした。


(何やってるんだ、僕は。)


こいつが人間の娘だからといってどうなるって言うんだ。

どうせ、ドラゴンの力を持ち、また、その姿をしている事以外はなんの価値もない奴なんだし、こいつに人間性を求めるのはあまりにも滑稽だ。


溜息をついて、僕は此方を向いたその寝顔をみた。

若干、薄目が開いている様に見えるのは気のせいだろうか?

…いや、きっと気のせいとかじゃない。こっちを、その青い目が見ている。


寝たふりか。


…あらかた、こんな真夜中に現れた僕に、何のようだと伺いながらも、用が無さそうなら僕をやり過ごすつもりなんだろう。

なんとも、子供のような奴だ。

こんな大きな図体をしている癖に、やることがいちいち小さい。


もう、部屋に戻るか。

…何かこいつ見てたらどうでもよく…?


そこまで考えた僕の目の前で、静かな音を立てながら、ゆるりと布団が持ち上がった。


ふわり、と天蓋の布が揺れて、風が動いた。


そこには、器用に翼で布団を持ち上げたドラゴンが、

…青い瞳が、眠そうに此方を見ていた。


僕は予想外の事にぽかん、とドラゴンを見つめた。

ドラゴンはゆったりと首を持ち上げて、穏やかに瞬きを繰り返す。


ふと、ドラゴンが優しく微笑み、その鋭い爪のついた手を招いた。

宝石のような紫のその爪が、淡い光に照らされて少し透けている。


その奥には、薄く線が見えて、そこにはきっと、血が、流れているのだと思うと少し不思議で、どこか、…。


(あぁ、ほんと、ぼくはなにをしにここへ。)


僕は、ゆっくりと、手招かれるままにベッドへ上がる。

大きな体に掛け布団が取られて、僕の上に浮いているような有様だったけど、ここは緩やかに温かく、ふと、外国の子供達がする日向ぼっこという言葉を思い出す。


ニクスは二ヶ月しか雪が溶けることはないからしたことは無いのだけれど、もしかしたら、日向ぼっこってこんな感じなのかも知れないなぁ。


そう思っていると、彼女が身を捩った。

何だろう、せっかく人が微睡もうとしているのに…。


僕が彼女を不満を隠さずに見上げると、ふと、僕にはやや大きな枕が現れた。

え、と思わず言葉を漏らした僕の言葉を無視して、彼女は僕の頭を枕に乗せて、満足そうに笑って、頭を撫でた。

ひどく温かく感じたそれは、布団を押しつけられて離れていく。

…何それ。


僕は自棄になって彼女の腹にすり寄った。

呼吸にあわせて上下するそこは温かくて、なんだか、眠くなる。


まぁいいや、これも、バカ王子がした行動の一つだ。

きっと誰も、気にとめたりはしないだろう。


…この人、思ったより、大人の女性ヒトなのかも、しれない。

なんて。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


雪雀の声がする。

…あのまま寝てしまったのか。


僕は布団をかき分けて、顔をだす。


穏やかな寝息を立てて、ドラゴンが寝ていた。

大きな窓の乱雑に閉められたカーテンの隙間から、淡い光が漏れている。

きっと、今日は風花なんだろう。


最近、いや、ドラゴンが来てから、少し、晴れる日が増えた気がするのは何故だろう。


…ドラゴン、かぁ。


僕は彼女を見る。

宝石のように薄く透き通り弧を描いた紫の長い角。

青いグラデーションの鱗。

閉じられた瞼に、僕は手を伸ばす。


堅く、冷たそうにみえたそこは、しなやかさがあり、とても温かい。

この瞼の奥には、青い瞳がある。


当たり前なのに、何故か不思議だ。


(名前、なんて言うんだろう、この女性ヒト。)


僕は、かつてこの女性ヒトにしたように頬を寄せて、首元に抱きついた。


(後少し、だけ。せめて、起きるまで。)




その時、不躾な大きな音がして、ギュス、と声が飛び込んできた。

あーもう!せっかく僕、もう一回寝ようとしたのに!


そう思って音のしたドアの方を見れば、息を切らしたおじさんが息を切らせて此方を見ていた。

粗方、部屋に僕がいないのに驚いて探し回ったんだろう。

…ありがた迷惑だ。


「なんだよぉ、もう一回寝たいのー。」

「なんだよぉ、じゃ、ないよぉ!びっくり、させないでよ、ギュスーー!!」


ギョロリとした目を剥いて、更に不気味な顔になるおじさんが此方に飛びかかってくる。


……まったく、朝っぱらからお元気ですこと!


僕はとりあえず驚いた振りをして、おじさんを思い切り殴り飛ばした。

さて、次はおっさん視点を…書きたい…です…っ!!

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