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シャルロットの日常  作者: アルタ
授業だ!工作だ!
11/64

4 ☆4

 とにもかくにも波乱の第1回目授業は無事終わった……はずだったが、魔法のじゅうたんの件については遅くなった魔法実践授業受講者たちの到着を待っていたベルナーをはじめとするみんなに目撃されてしまい、あっという間に広まってしまった。


 夕飯のパイ包みと温野菜のサラダを食べながら、工作組は今日の授業について話している。どんなものを作ったのかとか、属性付加についてなど話す子が多いが、

「へっへーん!うらやましかろ?かろ?。

 俺魔法のじゅうたんに乗ったしっっ!ぷっかぷか~って!」

「うるせええええええっ!」

たまに魔法のじゅうたんについて興奮して自慢しすぎる妖精もいて、この分だと別の機会に他の子も乗せないとブーイングが起こりそうだなぁ、とシャルロットは思う。


 このじゅうたんは彼女の作品ではない。落ち着くような深い闇と、温かく見守るような星の光は、この作者そして本当の持ち主によく似ていた。




「シャルロットさん、今夜はいっしょに寝よーねっ」

 今日の授業に参加できなかったファミィが、ずるいずるいと駄々をこねたため、本日は大きめの部屋に集まって雑魚寝をすることになった。手元には、授業の風景を撮ったコウモリ型の記憶装置。


 窓を閉め、カーテンも閉めれば、月光も届かない上映劇場になる。

 本来はベルナーに見てもらおうと飛ばしていたコウモリが役に立ちそうだ。


 パジャマ姿の子供たちが中央に集まり、じゅうたんの上にクッションや枕を持ち寄って自分の観客席を確保している。今ある明かりは、コウモリが天井に映し出す登山の風景。

 緑の木々、どこまでも抜けるように青い空、ふんわりと柔らかそうな雲。


 くいくいとファミィに手を引っ張られてシャルロットがクッションに座ると、毛布を配っていたベルナーが一つ、その膝に乗せた。

「私も参加してみたかったですねぇ」

 ふわりと少し寂しそうな微笑みを残して立ち去る彼の姿に、背中にくっついているファミィも同調した。


 ベルナーのもってきた毛布はやたら大きかったが、その理由はすぐ分かるところとなる。次々と入ってくる輩が後を絶たないからだ。最初はファミィとムスリナだったが、ワンドが押し掛けてきて、気が付けばセブルスも横にちょこんといる。


「ずっりーよ!俺も俺も!」

「定員オ―バーだよう」

 毛布ははちきれんばかりだ。

 のびません!ひっぱっても毛布はのびません!!心の突っ込みむなしく、むしろこの状態も彼らにはゲームのようになっていて。片側から無理に入ろうとすると、もう片側がはじき出されてしまうという。


 そこへ……一人特等席からフエレンの活躍を見て満足したシックがやってきて固まった。

「!」

 まるで妻の浮気現場をみてしまったかのようなショックを受け、

「お前ら、シャルロットさんに何、は……破廉恥なことしてんだよ!」

と次に真っ赤になって怒ってしまった。


「破廉恥って、お前難しい言葉知ってるなー!」

「すごいねー」

 ふふふーと嬉しそうに笑うシャルロットは全然分かっていないようだ。

「だってこいつらぜって―確信犯だって!」

 あわあわあわと慌てふためくシックの顔面に、綺麗な放物線を描いてワンドの枕がクリーンヒットした。

「やきもちやいたってここは定員オーバーだぜ!」

「へへん」と笑ったワンドのにやけた顔にシックは悔しそうにぎゅうううっとパジャマのズボンを握り締める。泣き出しそうだ。


「じゃあ、シック。ちょっとおいでおいで」

 この状態じゃ一緒の毛布は無理だけど、と前置きしてから、彼女は「良い夢が見られますように」とシックの頬にキスを落とした。


「あんたが一番破廉恥ね~」

 ファミィが揶揄したとたん、彼は真っ赤になったまま目をそらしてしまった。

「じゃあそろそろ電気消すぞー」

 ベルナーがパチンと明かりを消すとその真っ赤な顔も見えなくなってしまう。けれども温かくて……ああ、誰かがいるなぁという感じは残っていた。




 明かりを消されたら本当は寝ないといけないのだけれど、気になることがある、と小声でセブルスが囁いた。

「シャルさん、魔法のじゅうたんの持ち主ってどんな人?」

「ん、アカデミーでの仕事仲間……かな?」

「男?」

 ファミィが体を乗り出すのが分かる。

「ふふふ、うん。男だよ。……といってもただの友達だけどね」

 ガッカリしたのか、彼女が力を抜く。



 彼はシャルロットがアカデミーを抜け出す時に一番苦労させられた人物だったりする。きっと、あそこを出るとなったら「俺も一緒に行く!」と言い張って聞かなかっただろうから。

 助手として支えてくれたあの人。


「……元気かなぁ。――ミカエリス」


 彼女が呟いた名前に周りの妖精がビックリしたのも無理はない。

 そのとき彼女は知らなかったのだ。彼がこの学園の行方不明になっていた学園長と同じ名だと。

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