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シャルロットの日常  作者: アルタ
ようこそいらっしゃいませ
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1 プロローグ

――「シャルロット・ブーケ」は、マジックデータベースで検索すれば、あまりにもその結果が多すぎるため「条件を絞ってやり直すように」と出るくらいの有名な大妖精だ。


 歴史の授業では彼女の名前が必ず出てくるし、現在の世でも時折データニュースで見かける。何せ彼女は現在約300歳という妖精の中でもかなりの年齢であり、魔力と知識は随一。そういうと、どれほど威厳に満ちた大妖精だろうと普通は考える。


 しかし、事実は彼女の忠実なる助手が遠い目をして曰く、

「絶対にシャルロット様は10代に見えます。外見・中身共に!」

……とのこと。真剣な顔をして黙っていれば20歳くらいに見えますよ、とは一応彼女を知るアカデミー研究員のフォローであるが。


 まあ、妖精の場合、持っている魔力の量によってある程度寿命が決まっており、その幅が50~150年、平均して100年程度である。通常、魔力が一番強い時期である20~40代に止まることが多い。

 そのため外見だけでは判断しにくいのは確かなのだが、いかんせん彼女は特別だった。

 300年、しかも少女の姿。ありえない。


 研究室を抜け出し、街で可愛い服を買ったり、お茶しているくらいなら可愛いものだが、軽そうな男の妖精にナンパされたり、誘拐でもされそうになったら大変だ。主に、相手の身の危険という意味で。

 ゆえに彼女の助手を務めるものには、大量の研究の成果を論文にまとめる事務仕事から、会議や来客との会見手配を含む秘書仕事、実験助手、付き添い、お菓子の買出し係、もう、助手というよりもしもべに近い。


 しかし、それだけハードな業務にもかかわらず、就職希望者が多く、倍率が高く、そして一度決まってしまうとなかなかその席を手放さない者も多い。大変不思議なことではあるが。


 多分、ただ魔力が強い妖精であるという理由だけではない。

 ある意味名誉職のような扱いになっている所以は、彼女を有名にした事件だろう。


――世界への貢献者




 それは200年以上も前のこと、この世界が暗黒に覆われた時代。

『闇の手』と呼ばれた魔王が、禁忌とされた闇の召喚魔法を使ってドラゴンを呼び出した。そのドラゴンによって、この世界の森は焼き払われ、街は破壊され、事実上の統治機関である空中都市マジックアカデミーは大打撃を受けた。

 彼女はその元凶である魔王を封印し、その功績を称えられて長寿を授かったと伝えられる。


 その間全く魔力の衰えもなく、しかし偉ぶることもなく、慕われながら淡々と彼女は生きてきた。

 ここ、空中都市マジックアカデミーの中でも中心に位置する研究機関『賢者の塔』で回復薬の改良研究をしたり、電池のように魔力を蓄積させて動かす日用品を作ってみたり、時にはケーキを焼いたり、時には爆発させて。



 けれど、ある日突然地上からやってきた手紙により、彼女の生活は大きく軌道を変えることになる。

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