Episode5 2人目
今回は会話中心回です。
−−−紅崎宅−−−
辛うじて逃げてきた紅崎達はベッドに倒れ込む。
『今度から、人目に付かない場所で闘うことだな』
『そうだな、もうこんなのは懲り懲りだ』
ふと思い、紅崎は自分の手持ちのカードを調べる。
現在封印されているカードはEmperor,Magician,Strengthの3枚だけ。
『そういえば、帝はどんな意味を持ってんだ?』
『No.4・The Emperorの正位置は支配や意思、男性的で逆位置は未熟や勝手といったところだ』
『何だか馬鹿にされている気がする』
『実際に馬鹿にしているのだが……』
『……まあいい。でもアルカナムって、元々は大アルカナなんだろ。ということはあと19枚で封印完了か』
『1枚封印するのにあれ程手こずったからな、先が思いやられる』
『うぐっ。仕方ないだろ、初めてだったんだから』
『そうだな、初陣(笑)だったな』
『ムカつく野郎だ。そんなことより、他にも封印解除されてない奴はいないのか?』
『いるといえばいるといったところだな』
『……何だかはっきりしない物言いだな?』
『私が知る限りでは、No.3・The Empressくらいだな』
『ふーん。意味は正位置が愛情や情熱、女性的で逆位置が嫉妬や感情的ね。持ち主はツンデレなのか?』
『さあな、持ち主までは分からん。それに同じコネクターだからといって誰もが協力的である訳ではないぞ』
『分かっているさ、注意はするよ。それよりももう夜中だ、寝るぞ』
『あぁ、しっかりと体を休めて置けよ』
『おう、心配してくれてありがとな』
そうして紅崎は皇帝の心配に感謝しながら眠りについた。 場所は少し変わって紅崎宅付近の道路。夜とはいえそれなりの交通量がある。そんな道路の街路樹の下にとある民家を見つめる一人の少女がいた。
『あれが皇帝のコネクターか……。まだ闘いには不慣れみたいね』
と独り言のように呟く。しかし、彼女が使っているのは念話である。
当然その言葉に対して−−−
『そうね。でもあの皇帝様のことよ。ちゃんと自分のコネクターには詳しく説明するでしょうね。放って置くと後々邪魔になるわ』
−−−返答する者がいた。しかし、周囲に彼女以外の人間はいない。
『でも驚いたわね。あなたが美穂以外の人間に興味を持つなんて。ふふ、もしかして気になる殿方かしら?』
『はぁ〜、馬鹿なこと言わないで。私が闘うのは全て美穂の為よ。それ以外の目的で行動しないわよ。そう誓ったんだから』
『分かっているわよ、少しからかっただけじゃない。美穂の為だもの。あの子に罪は無いけど犠牲になってもらわないと』
『ええ。申し訳無いけど必要な犠牲よ。覚悟しなさい、No.4・The Emperorとそのコネクター−紅崎悠一。貴方達は私達が必ず……』
そう言って去っていく彼女の手には1枚のカードが握られていた。
そのカードは特別なタロットのカード。紅崎と皇帝の会話の話題になったもの−−−No.3・The Empressだった。