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Episode3 初陣

 紅崎は何が起きたのか理解出来なかった。それでは、読者の皆も一緒に少し振り返ってみよう。


 怪物発見。よし、逃げよう。

      ↓

 しかし、逃げられない。目の前の亡霊に襲われる。

      ↓

 カードが発した光に包まれる。

      ↓

 気がついたら鎧を纏い、剣を持っていた。←今ここ


(………駄目だ、全く訳がわからないよ)

 今までを振り返り紅崎はため息をつく。

 1つ言えるのは、紅崎はとてつもなくヤバイ事に巻き込まれたということだ。

(助けてくれよ、天国の親父)

 そんなアホな事を願っていた時だった。



『うむ、やはり最初に来るのはNo.1・The Magicianか』



 という声が聞こえた。

 紅崎はついに耳までおかしくなったのかと疑問に思ったが、こんなファンタジーな光景に遭遇して正常に保つ方が無理だろう。

 そんなことお構いなしに怪物は紅崎に襲い掛かってくるので、逃げようと思って駆け出すとまた頭の中に


『おいおい、いきなり逃げ出すとは。情けない適合者だな』


 という失礼極まりない声が響いた。

 怪物に襲われた次は頭の中に正体不明な声が響く。そんな自分の不運さを呪っていると謎の声は更に話しかけてきた。


『ずいぶんと混乱しているようだな。まぁ、無理もないことだ。よく聞け、適合者よ。これは思念通話だ。話したいことを脳内に思い浮かべろ、そうすれば私と会話できる』


 それを聞き、紅崎は恐る恐る試す。


『こんなかんじか?』

『そうだ。初めてにしては上出来だ』

『とりあえず質問させろ。お前は何だ?ってか、アレ何?いきなり襲い掛かってきたぞ。それに、俺にいったい何が起きたんだ?』

『ずいぶんと質問が多いな。まあいい、私はNo.4・The Emperorと呼ばれている。そしてアレはNo.1・The Magicianだ。

 それと、お前に起こったことは簡単な事だ。私の力で剣と鎧を創りだしただけだ』

『……No.4・The EmperorにNo.1・The Magicianね。皇帝に魔術師っていうことかよ。お前らって何なの?』

『私達は神秘なる(アルカナム)といわれている。元々は1枚ずつカードに封印されていたが、数年前から奴のように封印が解け、暴れ始めた者達が出てきた。そいつらを再度封印する為に私がいる。

 だが、私は封印された身だ。そこで私の力を使いこなせる者に奴らと闘い、封印するのを手伝ってもらう事にした。それがお前のような適合者(コネクター)と呼ばれる者だ』

『ふざけんな!!あんなのと闘えっていうのかよ!?訳がわからねえよ!!俺はそんなの手伝わないからな!!』

『いいのか、断って。お前が断ったところで奴は狙い続けるぞ』

『何でだよ!?アレの狙いはお前じゃないのか?』

『当たり前だ。奴は私のコネクターであるお前を狙っているだけだ』


 その言葉に紅崎は驚愕する。ここで断ってもあのような怪物達に狙われることには変わりない。完全にチェックメイトである。


『それにこのまま奴を放って置けは、周囲の被害が大きくなるだけだ。周りをよく見ろ』


 周りを見れば、話しながら必死に攻撃を避けていたので壁や床は穴だらけであり、乗り捨てられた車は鉄屑に変わっていた。


『なるほど、俺が素直に闘えばこれ以上被害が出ないって訳ね』

『そういうことだ。生きて帰りたければ、お前は闘うしか道はない』


(確かにそうかもしれない)

 そう迷っていた時だった−−−。


「あっ、ボールが」


 子供が転がってきたボールを追っかけてこちらへ来た。いや、来てしまったというべきだろう。

 そして−−−。


「Jmsyhsr」


 怪物は子供に向かって光弾を放った。あれが子供に当たれば大惨事になる。

 そう判断した紅崎は駆け出し、


「させるかよっ!!」


 ガキンッ!!という音を響かせて弾き返した。その光景に子供は呆然としている。

「早く家に帰りな。ここは危ないぞ」

 と、ボールを渡して安全な場所に行くように促す。子供は頷き、来た道を戻っていく。

 それを見て、紅崎にある一つの決意が芽生える。


『ふむ、やっと闘う気になったか』

『ああ、やっと決心がついた。でも、“お前の願いの為に闘う訳じゃないし、お前に頼まれて闘う訳でもない”』

『ではいったい何の為に闘う?』

『簡単なこと、俺自身の為だ。コネクターとかそんなモノは関係ない。“俺が自分の意思で闘いたいと思ったから闘う”だけだ。今みたいに無関係なのに巻き込まれそうになった人達がいる。そんな関係ない人達を犠牲にしたくないんだよ』

『………同じように聞こえるが?』

『同じじゃねえんだよ、(みかど)

『帝?私のことか?』

『そう。お前は皇帝(エンペラー)なんだろ、だから帝だ。それに、俺はお前って名前じゃない。紅崎悠一だ』

『そうか。なら悠一と呼ばせて貰おうか』

『ああ。後、帝に1つ頼みがある』

『頼みか。何だ?』

『俺一人だとアルカナムと闘うのは厳しいと思う。だから、お前に手助けして欲しい』

『心得た。元よりそのつもりだ』


 心強い相棒が出来たので、紅崎は反撃へ移った。

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