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Episode24 Hermit

「あいつ、何処へ行ったんだろうな?電話にも出ないし………」

 街に出て長内を捜しに来たのは良いが、手掛かりが無く全く見つかる気配が無い。その事をぼやいていると、紅崎は背後からいきなり声をかけられた−−念話で。

『今は捜さない方が良いですよ。Emperorのコネクター、紅崎悠一』

 見ず知らずの者に自分の名を呼ばれ、紅崎は警戒する。

 が、Emperorは違った。久々に旧友に会ったかのように目の前の者に語りかける。

『久しいな、Hermit。こうして会うのは何時以来だろうか』

『ええ、お久しぶりです、Emperor。前回の完全封印は気が遠くなるほど、昔の事でしたからね』

 両者の会話を聞き、紅崎に一つの疑問が芽生える。

(念話が使えて、帝と気兼ねなく話している。それに、随分と昔からの付き合い。なら、この男は………)

「貴方の考えている事は正しいですよ、紅崎悠一。私はNo.9・The Hermitです。人間界ではクローリーと名乗っています」

「ッ!?そうですか………。とりあえず、悠一とでも呼んでください」

 自分が考えていた事を言い当てられ驚く紅崎。だが、相手はアルカナムなので当たり前の事だ、と自分に言い聞かせる。

「しかし驚きましたね。こうもコネクター同士に差があると接し辛いですが………幸いなのは美咲嬢と違って、貴方が好戦的でないことですね」

 そう言って嘆くクローリーの言葉を聞き、紅崎は問う。

「もしかして、姫矢さんに会ったことがあるんですか?」

「ええ、まあ。美咲嬢も御自身の妹さんの事で焦っているので、仕方ないでしょうね」

 その言葉を聞く限り、美咲の闘う理由も知っているらしい。

 紅崎は美咲とぶつかり合いたくないと思っている。その思いを知っていて、かつクローリーの力を知っているEmperorはクローリーに救援を打診する。

「Hermit、いや、クローリーだったか。貴殿の力でEmpressとそのコネクター、姫矢美咲の願いを叶えることは出来ないだろうか?」

 その打診に対してクローリーは、

「出来ないことはないです」

 その答えを聞いて紅崎は喜ぶが、クローリーは「ですが」と付け足し、話を続ける。

「私が美咲嬢達に手を貸したところで、大したメリットがあるとは思えないですね」

 Emperorもこの答えをあらかじめ予想しており、別の考えを提示する。

「それでは、こいつに手を貸すと考えてみたらどうだ?」

「と言いますと?」

「こいつは他人を護る為にコネクターとなった。そして、その他人には姫矢美咲も含まれている」

「なるほど、敵であるコネクターも護る、ですか。随分と面白い考えですな。コネクター同士が手を取り合うという未来に賭けてみるのも、悪くはないですね」

「それじゃあ!?」

「えぇ。その妹さんを助けてみましょう」

 その言葉を聞き、紅崎は安堵したようで息を吐き、Emperorに礼を言う。

「ありがとな、帝。お陰で助かったよ」

「気にすることは無い。コネクターの願いを叶えるのは当然の事だ」

 Emperorにも自分のコネクターは願いを叶えてあげたいという思いはあった。が、それはEmpressのように他人を犠牲にしてまで叶えるといったものではない。そして、今が願いを叶える時だった。

「それでは件の少女が居る病院に行きましょうか」

 クローリーの言葉に従い、紅崎達は病院へ向かった。

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