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Episode10 叶わぬ願い

 今回は久しぶりにテスト回です。

「………もう……朝か………」

 時刻を見ればまだ5時半。学校に行くまではまだ時間があり、もう一眠りできる。が、長内は寝る気にはなれなかった。目を閉じて寝ようとすれば、昨日の事を思い出してしまう。脚を挫いた時は死を覚悟した。

「もし……あの時に悠一君やあの娘がいなかったら…………」

 そう考えしまうと恐怖心でとても眠れる状態ではなかった。

 そして、もう一つ眠れない理由があった。それは自分を助けてくれた者に対する疑問だった。彼らはあの怪物に対する恐怖心はあまり持っているようには思えなかった。むしろ怒りや憎しみといった負の感情を感じた。

「あの時の怪物を見る悠一君の目………まるで、親の仇を見るような目だった……。悠一君はあの怪物のことを知っているのかな………?」

 だが、聞く気にはなれない。自分がそう簡単に首を突っ込んでいいような問題であることは明らかだった。下手に心配しているとまた彼に迷惑をかけることになる。

 それにもし、自分が首を突っ込んだところで力になれる訳でもない。

 だからこそ、自分は何も気にしていない振りをして、彼に余計な迷惑をかけないようにするしかない。

 結局、自分には何も出来ないという事が悔しかった。何よりも、そんな自分でも仕方ないと想ってしまう事が一番許せなかった。

「たった一度でいい………。……誰かの力になりたいよ……。いつも皆に迷惑をかけている私じゃなくて………皆を支える私になりたいよ…………」

 けど、そんな彼女の願いはそう簡単に叶う筈がない。だからこそ、余計に沈んでしまう。憂鬱な状態で長内彰子の一日が始まる。







−−−私立・二台場高校−−−


「おはよっ!悠一君!」

「あ、あぁ。おはよう、長内」

 登校してきた紅崎を待っていたのは一昨日と同じ元気な様子の長内だった。むしろ普段よりも明る過ぎて、少し無理をしているみたいだった。

 昨日のことを知っている紅崎からすれば、長内が無理をしているそうを察するのは容易だった。だからこそ、紅崎は忠告する。

「………なぁ、長内。誰だってあんなことになれば落ち込むのが普通だ。無理して明るくしている必要なんか無いぞ」

「ははっ、やっぱり私がこんなに明るいのはおかしいか……。うん、心配してくれてありがとね」

 紅崎の言葉が響いたのか、長内はいつも通りの様子に戻り女子達のもとに向かった。

 だが、行く時に彼女が自分に言い聞かせるような呟きを紅崎は聞き逃さなかった。

「大丈夫………私には何も出来ないけど………あの娘なら………」

 その呟きは紅崎をあの怪物と闘わせるには十分だった。


 アルカナムのことで関係の無い者を巻き込みたくない。


 たった一つ、その願いの為にコネクターとしての運命を受け入れた。


『なぁ、帝。奴の居場所は?』

『案ずるな、既に特定済みだ。いつでも行ける』

『分かった。じゃあ、放課後に』

『心得た』


 受け入れた以上はコネクターとしてアルカナムと闘い続ける。それが彼の選んだ生き方だった。

 そんな決心をした時、

「今からテストを行う。拒否権は無い」

 という青鬼の理不尽な宣言と共に急にテストが始まった。




−−−テスト開始−−−


第一問 次の文章は民衆の飢餓に対してあ    る大公婦人の答えです。

    (  )内の言葉を答えなさい。


「パンが無ければ(    )」


長内の回答 お菓子を食べれば良いじゃない


青鬼のコメント 流石長内だ。ちなみにこの言葉はマリー・アントワネット自身の言葉ではないことが判明しているぞ。



紅崎の回答 お米食べろ!!


青鬼のコメント お前は何処の炎の妖精だ………。



馬原の回答 諦めろ


青鬼のコメント 諦めんなよ… 諦めんなよ、お前!!

どうしてそこでやめるんだ!?そこで!! もう少し頑張ってみてみろよ!

ダメダメダメダメ諦めたら。

周りのこと思えよ!応援してる人たちのこと思ってみろって!!

あともうちょっとのところなんだから。

俺だってこのマイナス10度のところ、しじみがトゥルルって頑張ってんだよ!

ずっとやってみろ!必ず目標を達成できる!

だからこそNever Give Up!!




第二問 高温多湿の環境で熱拡散が妨げられ   て起きる病名を答えよ。


長内の回答 熱射病


青鬼のコメント 正解だ。これから暑くなるから要注意だな。



紅崎の回答 厨二病


馬原の回答 釘宮病


青鬼のコメント お前達はもう手遅れだな。


−−−テスト終了−−−

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