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人をなめくさっている鳩

これは、それはそれは平和な国の平和な街、その片隅にある公園のお話


ここは『人舐め腐り公園』

主に人を舐め腐った動物たちが出没している公園。

ここに来るのは物好きな人か何も知らない哀れな人間のみ。

そんな人たちから特に人気なのは


「あっ!来た!」


少し大きめの羽をはためかせて降りてくるのはスリムな肉体、愛くるしい目、小さな口から発せられる鳴き声は天使のごとく、それをひと言で表すのならば美しさの黄金比すべてを手にし生き物、そう


「くるっぽー」


鳩である。


ただの鳩と侮るなかれ、かの鳩は世界中どこを探してもその美しさに勝てる鳩は居ないとされるほどの鳩である。

もう一度言おう、鳩である。

その鳩は今、若い女性や綺麗な女性にすり寄っている、素直に羨ましい、妬ましい、そこかわれや鳩野郎、この野郎。

おっと…ゲフンゲフン、さてここで少し自己紹介をば、ナレーションを担当する汝田 雫玲王(なれた なれお)でございます、正直覚えなくていいです。


では気を取り直して先程の鳩野郎の声を翻訳してみましょう。

『俺の事を待ってたようだな、貴様ら!人間どもは皆飛べぬ猿!飛べる俺の方が航空権を有するのは俺!故にお前達は俺の奴隷だ!奴隷として殊勝な心がけだな、全く』

…なんでこんな情報量が「くるっぽー」に入るんだ?

いやはや面白いですね、さて、これからは常に翻訳状態で観察しましょうか。


あの鳩野郎は今ベンチに座る老人に近寄ると…あ、パンくずが投げられた。

鳩野郎、地面に転がったパンくずをバクバク食べてる、なんか優雅っぽくバクバク食べてる。


「おうおう、うまいか?そうかそうか、もっと食えよ、食いたいなら食いたいだけ食わせてやるからな」


そうおじいさんが言うと


「く、くるっぽー」

『はぁ?何を考えている?お前に俺が食わされているのではない、老い先短い爺が、理解しろ、毎日毎回何回も言っているが理解しろ、お前が俺に飯を食わせているのではない、俺が、飯を食らってやっているのだ、わかったな、この爺』


「おお、うまいか?うまいな、うまいよな」


「くるっぽー」

『こ、こいつ何も聞いていない…だと…この俺の言葉を…』


そしてパンくずをバクバクと食べながら鳩野郎はそう語った。


「くるっぽー!」

『なぁ!?こ…これは…味がついている…なんだこのザラザラは!甘い!甘いぞ!よい!献上することを許す!』


鳩野郎…お前…なんて…なんて可哀想な生活を…

いや、野良の鳩か

ならどちらかと言うとザラメ付きのパンくずを少しとは言え食えてるだけで結構いい身分だな、鳩野郎。


そして数分間飯を食った鳩は翼をはためかせて飛んだ。

大分飛び回ってから鳩野郎は少し離れた一本杉の根元にとまった。

そこで寝始めようとしたのかうつらうつらとし始めた鳩野郎の元へとある犬が歩いてきた。

その犬を見た鳩野郎は


「く…くるっぽー!?」

『お、お前は…狂犬病持ちの犬!?』


うおっ、危ねぇ、危うくあの犬モフるとこだった。


「バウッ」

『へへっ、そうさ俺は狂犬病持ち唯一の生き残りさ』


「くるっぽー!」

『なんだと!お前はあの狂犬病持ちの犬の回収から逃げおおせたというのか!』


「バウバウッ」

『俺があのような鈍足な愚図共に捕まるものかよ、捕まった彼奴等は犬としての面汚しだぜ、そんな奴等と一緒にされるのは!』


いや、こいつも相当人を舐めてるな。


「バウッ」

『俺にとって侮辱で屈辱だ!罰を受けるがいい!』


その瞬間、野良犬は飛び上がり鳩野郎に噛みつきにかかる。

それを見越していたのか鳩野郎は翼をはためかせて飛び一本杉の下から2番目の枝に留まる。


「バウッバウバウッ」

『逃げるんじゃねぇ!卑怯者め!』


「くるっぽー!」

『逃げる?俺はそもそもこの枝に留まるつもりだったのだ、逃げるなどと勝手に考えるのは貴様の自由だがそれは俺に対する侮辱と心得よ!』


こいつら、人間以外でも、ていうか自分以外の生物に対して基本的に舐め腐ってやがる。


「バウワウ!」

『貴様!降りてこい!俺を侮辱した罪を受け入れろ!』


「クークー」

『おぅおぅ、貴様はそこらの虫けらに何か言えばそれを気にするのか?』


「グゥ゙ルルル…」

『貴様…この俺を虫けらと称するか…噛みつくだけでは足らぬ!貴様は無残に終りを迎えるのだ!』



「クークーくるっぽー」

『馬鹿めが、後ろに注意を向けなかったのが貴様の敗因よ!』


それと同時に野良犬が分厚い服を着込んだ職員に捕まった。


「キャイン!キャイン!」

『貴様等!離せ!離すのだ!』


そんな叫びも


「はいはい、施設に行こうね〜」


と言う言葉の前に何の意味のなく職員に連れて行かれた。


「クークー」

『はっはっはっ、貴様のような弱者にはお似合いの結末よ!』


と高笑いのように鳴き続ける鳩野郎は職員に連れて行かれた野良犬同様、後ろに注意を向けることを忘れていた。

後ろから虫取り網を大きくしたようなサイズの網に鳩野郎は捕らわれた。


「クー!?」

『なんだと!?一体誰が俺に叛逆を企てたの…だ……』


鳩野郎の後ろに立つのは小学生の少年だった。

少年は無邪気に笑いながら、鳩野郎を完全に固定させた。


「くるっぽー!」

『離せ!離すのだ!貴様のような下賤なるものが!俺に触れるなどましてや掴むなど!』


そんな叫びなど通じない少年には正直意味はない

強いて言うのならうるさいためもっと声をあげれば両手で両耳を塞ぐために使うだろう…あ、鳩野郎と目が合った。


「くるっぽー!クー!クー!くるっぽー!」

『何を見ている!貴様!奴隷ならば俺を救ってみせよ!このガキの手を離させろ!下賤なるガキが俺に触れてもいいと思っているのか!』


いいんじゃねぇの?正直よくわからないけど

そう心の中で応えていると


「うるさっ」


と言い少年が両手で両耳を閉じた。


「くるっぽー!」

『解放されたぞ!天は俺を見放さなかった!残念だったな、叛逆者!下賤なるガキめが!』


そう叫んで鳩野郎は飛び立った。

明日もここに来て鳩野郎を観察してみよう、そう思った。

不定期でやります

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