悪役令嬢界にたまに出没するマイナーな競技の前世持ち令嬢峠
「カパディ!カパディ! カパディ!カパディ! カパディ!カパディ!」
「な、何だ。何の詠唱だ?」
「殿下、危険ですわ。下がって下さいませ!」
昼休み、突然、私と殿下の周りを、カパディと言いながら回り始める令嬢が現れた。腰を落とし襲いかかるような体勢だわ。
あのピンク頭は・・・あれは男爵令嬢のサリー様だわ。
「殿下を取ろうとするのね・・・ハッ!」
カパディの言葉で私は前世を思い出した。私は・・・・
☆回想
「絵里、ごめんなさい。お父さんの会社、倒産したわ。スケート・・・続けさせられないわ・・・」
「グスン、お母さん・・・」
大好きなフィギアスケート続けられなかった。
呆然としていたら、ある男から声をかけられた。
「グシシシシィ!山下絵里、ず~と注目していた」
「ヒィ、貴方は誰ですか?」
「テコンドーのコーチだ。そのターンを生かしてみないか?」
「断ります!」
「そうか、残念だな。君ならオリンピックに出れるかも知れないと思ったのにな」
「オリンピック?やります。やらせて下さい!」
「そうこなくっちゃ」
・・・・・・・・・
私はテコンダーだった。
サリー様に対して真半身に構えて、腰を落とした。
「ヘイ!ヘイ!サリー様、かかって来て下さいませ!」
私はカウンターが得意だった。真半身に構えて敵の攻撃に合わせる・・・・
これは・・・カパディと唱えている間には攻撃を出来ない術式ね。ルールは熟知したわ。
【カパディ!】
サリー様がまるでタックルのようなタッチをしてきた。
私はターンをしながら、後ろに下がる。
「カ・・・ハア、ハア」
今だ!
私はトルチャギ!回し蹴りを360度回転しながら蹴った。
だが、サリー様は紙一重で躱したわ。テコンドーの技は派手だわね・・・
「カパディ!」
陣地に戻るのかしら、後ろに下がったわ・・・陣地内では攻撃出来ない術式ね。
サリー様がカパディと言いながら出る瞬間
甘い。
テコンドーは世界最弱の格闘技、競技に特化しすぎ。空手のパ●リ、と言われていたわ。
でも、一つだけ他の格闘技にない技が体型されていわ。
それは・・・・
「早く歩く!」
まるで走りながら蹴る技があるのよ。
武道のようににらみ合いではない。
「カパ・・・ヘゲ!ポン!」
サリー様のお腹にプッチョをぶち込んだ。
プッチョ、前足で相手を押す技。前蹴りとは全く用法が違うわ。
けん制技だが、カウンター気味にサリー様の腹にめり込んだ。
サリー様は吹っ飛んだわ。
これ以上は危険だわ。
「サリー様、私はヘンドリック殿下の婚約者、エリザベートよ。もうやめなさい!」
「カ、カパディ・・・・」
サリー様は立ち上がったわ。
☆サリー回想
「カパディ同好会に来て下さいだからねっ!」
「えっ、カパディ?ネタでしょう?」
「違うのだからねっ!」
私は大学で同好会を立ち上げた。3人しかいない。日本ではマイナーだからねっ!
「佐里先輩、来ませんね」
「諦めちゃここでカパディは終了だからねっ!」
私はこの競技で日本代表になるっ!
・・・・・・・・・・
「カパディ・・・インド人のカリー屋は・・・ネパール人・・・」
な、何?立ち上がってくるわ。何故・・・
そうだ。ネリチャギをやろう。しかも前足だわ。ランナーとも呼ばれている。
踵落としではない。前足で顔を被せるようにする。
カウンターになれば威力は絶大だわ。
しかし、背中がコツンと当たる。殿下だわ。殿下に両肩を後ろから押さえられたわ。
「そこまでだ!エリザベートとそこのピンクブロンドの令嬢」
えっ、殿下が・・・出てきた。いえ、私が下がったのよ。
前にでようとしていたが、下がっていたわ。
「ウウ、インドのカリー屋は・・・何故、つぶれない・・・」
ドタンとサリー様は気絶をしたわ・・・・
「保健室だ。そこのご令嬢、手伝ってくれないか?」
「はい!」
後に聞いたら・・・
「あれは・・・学園でカパディ部を作りたくて、殿下の前でデモンストレーションしたのだからねっ!」
「紛らわしいですわ!でも、分かったわ。人数次第で認めるように殿下に進言するわ。何人いますの?」
「二人だからねっ」
「まあ、あと1人は?帳簿をつくりますわ」
「エリザベート様だからねっ!テへッ!」
「テへペロではありませんわ!」
「ヘゲ!」
パチンと頭をはたいたわ!
そうだわ。私はテコンドーをオリンピックに出る手段だったわ。
でも、サリー様は競技そのものを楽しんでいたのね・・・
負けたわ。
最後までお読み頂き有難うございました。




