この物語の主人公はおとこのこです。(序章です)
はじめまして!
今回は学園物の少し重めのラブストーリーを書いてみようかなと思います。
良ければ、全部読んでいただいて、次の話も読んでくださると幸いです。
今でもふと思い出す。母の知り合いが働いている美容院に居た女の子の事だ。
作り物の様な長い黒色の髪の毛にスラっとした奇麗な立ち姿、華のある彼女の姿に僕は目を奪われた。
あまりにも、理想的で、完璧な、女の子だった。
そんな彼女を遠くから見つめる事以上の事は、僕には勇気がなくて出来なかった。
彼女が他の人と会話をして、表情が柔らかく崩れる。先程の華のある姿から小さな少女の様な無垢な姿に変わる彼女は本当に理想でしかなかった。
勇気を出して話かけてみたい。
そんな彼女と話してみたい。
心の奥ではそう思っても、彼女との距離がどうしても遠く感じてしまう。
他人と明らかに違う彼女と同じところに立っている気がしなかったからだ。
ただ、視線に気づいた彼女がこちらを見た。
目が合った照れくささから、目をつぶって下手くそに笑う事しか出来なかった。
だけど、彼女は僕が目を開けた時にはどこかに行ってしまっていた。
…今でも彼女の事を忘れた事はない。
それぐらいに衝撃的な出会いだったからこそ、
…目指した存在だからこそ
私の名前は八神 瑠偉。
訳がありギャルをやっている高校一年生だ。
別にやりたくてやってないわけではない。多分、私の趣味はギャルっぽくはないから。
そんなブレブレギャルな私には好きな人がいる。
画面の向こう側に居るような存在。私にとって女神様のような存在だった。
そんな彼が今私の目の前を歩いている。
姿は違えど、彼だ。
入学式の時に会った時には私は確信した。
照れた時の下手くそな笑顔。
彼に決まっている。
「鳥羽…」
「康太!」
私が彼を後ろから勇気を振り絞って呼ぼうとした時、後ろから小さな背中が息を切らしながら、私の横を抜けて彼に声をかける。
私が、私が先に声をかけようと思ったのに…
「おはよう。えっと、き……」
「如月だ。てか、蒼って呼べ。」
「あぁ、うん。蒼君。」
「……お、おう。」
私の心は今、とても穏やかであるとは言えない。
私の好きな人は今、急に現れたチビと仲良くしているのだからだ。
如月 蒼。なんか距離感が同性同士だから近いのは、近いのは……
何でそんなに男同士でベタベタしてるのよ!ムカつく!
そんな如月に対して、なんでもなさそうにヘラヘラとしている彼(鳥羽)自身にもムカッとする。
「あ、るいるいだ!」
って、なんか増えてない?
それも女子。
あっと、名前、、、あ、あ、あ!阿川さん!阿川 来夢さん。
「る~いるい!」
同じクラスの如月と異常に仲良い女の子だわ。
静かめの子で。おっとしている雰囲気が守ってあげたくなって、私が男だったら、速攻告白して、無理矢理にでもお近づきになっていたところだわ。
「るいるい?お~い?……口を封じてみた!…………息はしてるっぽい。」
そして、パイがでかい。推定Dはある。……羨ましい限りだ。
っは!
いかんいかん!急に現れた阿川さんのパイに目が行っちゃって、本命を忘れていてしまった。
「おはよ、なな。」
「お?やっと反応した。」
「ずっと気づいてはいたわよ。」
あなたが私の口封じて、息を無理矢理止めていたところもね?
「いやぁ~、るいるいが居たから声かけたけど、反応がないから大丈夫かなと思ってさ!ほら、私たち友達じゃん?」
「……ねぇ、入学式が初対面よね?私たち」
馴れ馴れしいなぁ、本当にこの子。
「えぇ~。るいるいノリ悪くない?」
「はぁ……っは!」
いかんいかん。私はギャル。ギャルなJKなんだ。
「あ、あはは。友達じゃなくて、私たち新友っしょ!?」
「…そうだね!私たちズッ友だし!」
「そうそう!」
あっぶねぇ。ななの顔が一瞬凍り付いた時はダメかと思った。てか、ズッ友って良いな。その言葉ギャルっぽいし貰おう。
「てか、何をそんなボーっと見てたん?って、あ。如月君いんじゃん。」
「え。あ、そうなん。気づかなかったわぁ~。」
まぁ。登校中にばったり出くわすことくらいあるでしょ。これくらいおかしくない可笑しくない。大丈夫。
……なんかすっごく、なながこっち見てくるんですけど
「ねぇ、るいるいって如月君の事好きぴなの?」
「はぁ?」
な訳ないでしょ?頭ギャルすぎてぱっぱかぱーになりすぎてるんじゃないの?
…っは!っここで怪しまれると面倒だから、適当に話を逸らさないと!
「いやいや、違うし!私のタイプと全然違うし!」
「え~?そうなの?」
「だって、全然かわいい顔してないし」
「……」
あれ?なんか急に黙ったけど、私変なこと言ったかな?
「るいるいそれって本気で言ってる?」
「え?そりゃ、マジのマジンガーですが?」
「え、ださ」
「うっ」
うっさい!マジンガー。かっこいいじゃん。
「あ、ごめん。でも、あの顔面偏差値で可愛くないって、るいるいってもしかしてだいぶ理想高め系?」
「え?いや、まぁ、可愛いと聞かれたら、可愛いけど。。」
「お、おお?」
「いや、いやいや」
隣に本命が居るし……てか、本命と変に距離近い奴と仲良くなるとか……まぁ、ありっちゃ、ありか。
「ふーん。」
「な、何さ?」
「いやぁ~、るいるい無いとか言ってたけど、あながち完全になさげでもなさそうだな~って思ってさ?」
「ま、仲良くなるのはやぶさかではないかなぁ~?」
お近づきになれるかもしれないし……
「なら、行動あるのみだね。お~い!」
「まぁ、まぁね。ってちょっと!」
おい!まさかとは思うけど、話しかけるのか!?おいおい。
陽キャってすごいな、おい。
春。
適当に……幼馴染となし崩し的に同じ学校に決めた。
どこでも良かったし、来夢と一緒に居られるのなら、どこでも良いと思っていた。
まぁ、どうせ卒業後の進路も決まっているし、卒業さえできれば、どこでも良いと思っていた。
でも、今はそう思っていなかった。
「康太!」
「「おはよう。えっと、き……」
「如月だ。てか、蒼って呼べ。」
「あぁ、うん。蒼君。」
「……お、おう。」
あの時と変わらない。下手くそな笑顔だな。
……本当に変わらない。
「……どうしたの?」
「いや、なんでもない。」
「そう?」
「そうなんだ!」
「ご、ごめん。」
あ、怖がらせちまったか?
「あ、あーくんだ。」
「お、来夢。」
「……阿川さん」
どこから出てきた?いや、来夢が神出鬼没なのは今に始まった話ではないか。
「おはよ、鳥羽君。」
「うん、おはよう。…えへへ」
「うふふ……」
な、なんだよ!その甘い空気は!
「てか、来夢!何で今日は起こしに来なかったんだよ?」
「……あーくん、入学式前に自分が言ったこと覚えてる?」
「入学式前?」
あ。そういえば、これからは中学の時みたいに起こしに来なくて良いからなって言ってた気がする。
「で、でも。そう言っていつも起こしてくれた……」
「お姉さんも言ってたよね?高校生なんだから、良い加減自分で起きなさい!って?」
「あ、姉貴は関係あるだろう!」
「お姉さんの家にお世話になってるんだから、言う事は聞いた方が良いんじゃない?」
「ぐぬぬっっ」
姉ちゃんの名前を出されると、何とも言えない。だけど、姉ちゃんは関係な…いけど、普通に高校生として一人で起きないといけないのは、当たり前の事すぎて何にも言えない。
「こ、康太はどう思う?」
「……ぼ、僕?!」
「起こしてくれても良いと思うよな?」
「えぇぇっと。」
あ、康太困ってる。流石に急に話振りすぎたかな?怒ってるかな?
「確かに、起こさないで良いって言ったからには、一人で起きないとだよ、ね?」
「だよね!鳥羽君。」
「う、う。」
流石にそれは正論。ううっ
「で、でも。僕もあんまり早起きできる方ではないし、今日もお母さんが起こしてくれたし、気持ちはわかるよ。」
「!だ、だよな。」
「鳥羽君?」
「だからって蒼君が起きれないのは、色々とまずいから……僕がモーニングコールしてあげようか?なんちゃって……」
……な、なんだよ。それ……
「ダメ!」「ビデオ通話でも良いか!?」
「……へぇ?」
私の名前は阿川来夢。私にはほとんどの時間を共に過ごした幼馴染が居る。
ただ、私は家庭の事情で小学生の頃の二年間だけ隣町のおばあちゃんの家で住んでいた時があり、幼馴染のあーくんと離れ離れになったことがある。
当時の私は小学校でお友達と言えるほどの仲良い子は居なかった。個人的の事を言うなら、この生活はすぐ終わる。また前の生活に戻る事は、当時の私は理解していたのもあった。
だから、特別誰かと仲良くなろうという気もなかった。
そんな隣の町でよく訪れた場所と言えば図書館である。
静寂に包まれた空間の中に居るのは、少しの特別感があり、すごく好きでした。
ただ、帰り道の公園を通るのが嫌いでした。
図書館とは違い、いろんな子の声が混ざり合って、楽しくみんなで遊んでいるのが憎くて私はその道を通るのだけが嫌でした。
だけど、ある日そんな公園に一人で遊んでいる女の子が居たのです。
フリフリの可愛い服を着た女の子が男の子の様にドロドロになりながら、砂遊びをしているのです。
額からこぼれる汗がまぶしく光って、その横顔がとても輝いて見えました。
私はその子に一目惚れしてしまったのです。
だから、声をかけずにいられませんでした。
「ね、ねぇ。」
「……な、何?」
「一人で遊んでるの?」
女の子は少しこちらを警戒した様子で、そんな姿にも私は、愛おしさを感じておりました。
「今は誰もいないから、遊べると思って……」
「いつも遊んでないの?」
「……声をかけられるの怖い。」
「あ、ごめんね。」
私はこのとき彼に話しかけた事を後悔しています。
そして
「で、でも。兄ちゃんに友達を作るのも大事な事って言われてるから……」
「……ねぇ、私も遊んでいい?」
「……良いの?」
「お兄さんとの約束なんだもんね?」
「……えへへ。」
「!」
私は完全に彼女の虜になった。
私たちは日が暮れるまで遊んだ。遊んでいる最中に私はずっと思っていた。『お兄さんがまだ迎えに来ないで』と何度も思った。だが、
「じゃあね~。」
「うん。」
無情にも時間が来てしまったのだった。
私は図書館に寄る事もなく、そのまままっすぐ帰った。
翌日以降、彼女がその公園に現れる事はなかった。名前も知らない彼女との一瞬とも言える楽し一時が、
これからの人生における一番の最高の思い出だったと、、
…今なら言える。
人には言えない部分がある。
それはある意味『仮面』と言えるだろう。
この物語はそんな仮面を付けた少年少女たちの物語。
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次から本編です。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
本作の感想などは随時お待ちしております。
(誹謗中傷はおやめください)
今回は少し重めなラブストーリーとなっていますが、今回の話につきましては、要点だけ言うのなら最後の四行くらいに詰まっているかなと思っております。
次のお話もぜひ読んでみてください!




