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  作者: イソジン
1/3

部屋

久しぶりに書いてみた難しいね

朝の光が、壁をゆっくりと移動していた。

時計の秒針が、一定の速度で音を刻む。

湯を沸かす音。

ノートの端に落ちた白い粉を、指で払う。

その動きのあと、指先を止めた。

「……今日も、同じか」

水を出す。

蛇口の音が、部屋の隅まで届いた。


鏡の前で襟を直し、靴を揃える。

机の上には紙片が一枚、裏返しのまま残っている。

読もうともしないまま、視線を逸らす。

カーテンの隙間から差し込む光が、床を細く切り取っていた。

「天気はいいな」

言葉は、壁に吸い込まれて消えた。


夜、同じ部屋に戻る。

ドアを閉めた瞬間、外の音が消える。

蛍光灯の白い光が、机の上の影をはっきりと落とした。

ノートは朝のまま開かれている。

ページの端が、少しだけ波打っている。

それを見て、湿気のせいだと思った。

気温も湿度も変わらない部屋で、それだけがわずかに動いていた。


湯を沸かす。

マグカップを一つ出す。

いつから一つだけになったのか、考えるのをやめる。

何も考えずに椅子に腰を下ろす。

蛍光灯の明かりの下、湯気が白く揺れている。

その向こうに、空っぽの椅子。

「……うん」

理由のない相づちをひとつ打つ。


窓の外で風が鳴った。

部屋の温度は一定だ。

それでも、カーテンの隙間から入り込む冷気に、

指先がかすかに震えた。

立ち上がり、カーテンを少しだけ開ける。

外の光が、床に落ちる。

その形を見つめながら、小さく息を吐いた。


時計の音だけが、一定の速度で続いている。


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