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私は幸せだから。

足は掴んでいる。調べつくしたとは言えないが、調べつくさずともすべては明らかだった。言葉巧みに人を惑わせ、自らの懐を潤す巨悪。足取り軽く、階段を四段も登ったころには流れる風が今の自分を伝えるようで、最後の手すりを掴んで勢いよく登り終えた後伸びる道の先。決して日の当たることのない空間で使い回された、薄い空気。これから払う金額に見合わない扉が、その行動に見合ったリターンを確信させる。


残念ながら、今日の結果は思っていたようなものではなかった。突き付けた事実、今迄への答え合わせ。強がって幸せだと言ったところで、本心は全く違うはずだ。それを与えることのできる自分が、見て見ぬふりをしてはいけない。よりよい方向へ……自分ならば、その手を取れる。そんな彼女だからこそ、幸せにならなければいけない。自分の人生を全て犠牲にして、今持つものを全て投入して、彼女を救い出す覚悟はできている。


当然に、家族からは反対された。それは当然で、気持ちはよくわかる。自分のことを深く愛してくれているからこそ、そして自分が本当にそう思っていると理解してくれているからこそ。そんな家族だからこそ、そしてそんな自分と共に歩んでくれる友人たちだからこそ、彼女のことはきっと気に入ってもらえると確信している。この世全てを見回して、どこを探し回っても見つかりはしない。そんな美しい、この世の美しさを全て――その底抜けな性格を含めて――持ち合わせているのが、彼女なのだから。


一度で諦めるような覚悟ならば、ハナからこのようなことはしていない。落ち込みかけた気持ちを取り繕い……後々共に暮らす家等を考えれば、タクシー代も節約せねばなるまいか。今後は牛丼でも食べて節約生活となるかもしれないが、それもすべて彼女のため。


洗い流せない汚れなんて、この愛には存在しない。

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