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第35話 バルサード家へ

「いやー、この病院サイコーっすよ。ただ二日目から若い治癒師さんが来なくなりました。何ででしょう?」


 呪いで気絶をしていたロサルは、カインがいた町の病院から王都にある病院へ運ばれた。今、僕はミムとテレーザと共にお見舞いに来ている。ちなみにメディサは尾っぽでペチペチとロサルの頬を叩いている。


「退院はいつ頃になりそう?」

「あっしは退院しなくていいんですがね」

「まったく、もう」

「メシは美味いし、美魔女もいるし、この生活はいいっすよ」


「ロサルさーん。お薬の時間です」

「はいはい」


 治癒師さんがやってきた。


「この薬で最後ですね。ロサルさんの退院は三十分後です」


(何かすごいな。いきなり退院って)


「そうなんすっか? 何か残念ですね。寂しかったら、いつでもあっしの胸に――」


「失礼しました。退院は五分後です」


(うん。それが正解)


「じゃあ、ロサル。僕達帰るね」

「旦那、退院の荷造り……」

「あのね。実家に帰る馬車がもう来るから、じゃ」

「なんでぇ。せつないなぁ――、わかりました旦那。またギルドで会いましょう」

「うん、またギルドで」


 僕達は病院を出て、馬車乗り場へと向かう。


「ロサロサ、大丈夫そうで安心した」

「そうだね」


「ホント、あのエロ猿は治癒師さん達に迷惑かけて……。はぁ」

「まあ、ロサルだからね。でもロサルがいたからカインを捕まえることができた。その分の役得として捉えてもいいんじゃないかな」

「そうですか? あたしはそうは思えません」


 カインを捕まえ、王城でアベル王子に引き渡すとき、六魔将の娘さんもいた。きっと呪いをかけた本人であることを確認するために待っていたのだろう。


 ◇◇◇◇


「ふーん。あんたがコイツを捕まえてくれたんだ(きゃー! あたいの王子様。魔力量もスゴイし素敵!)」


「はい。本当に迷惑をかけました」


「ホントよ。まったく(ううん、迷惑だなんて。あなたに会えたから許しちゃう)」


「どうしたんですか?」


「いえ、何でもないわ。あたいフォイーンって言うの、あんたの名前教えて(くれるよね? 教えてくれなきゃイヤよ)」


「レイユです。レイユ・バルサードって言います」


「レイユね(素敵なお名前。フォイーン・バルサード。いい響き)」


「では、アベル王子失礼しますね。フォイーンさんもお元気で」


「『元気で』なんて――、ふっ、人間のくせに生意気な(えー、もう行っちゃうのー! あっ! そうだ、アイツらに命令して、木彫りのレイユちゃん人形を作らせよう)」


 ◇◇◇◇


「そういえばレイユ様」

「うん」

「あの魔族の娘。レイユ様に色目を使っていませんでしたか?」

「そう? そういう風には見えなかったけど」

「レイユ様、あたし魔族からレイユ様を全力で守りますから」

「ありがとう、ミム」


「レイユ君。本当に家にお邪魔してもいいんだよね?」

「うん。カインの暴走が理由で婚約破棄だなんて納得できないよ。テレトワもそうでしょ? 事情を説明したいからね。トワール子爵も来るし」

「うん」


「レイユ様、馬車が来ました」


 バルサード家の馬車が着いた。馬車に乗り込み、僕の左にはミム、右にテレーザが座り、馬車が出発。帰ったら、家族に謝らないと。父さんのお金も返さないといけないし、何より心配していただろうから。


「レイユ様、帰ってもレイユ様の専属メイドでいいんですよね?」

「うん、もちろん。お願いしたい」

「わかりました。あんなことやこんなこと、レイユ様の為にいっぱい働きますね」


 家族に会ったら何て言われるのだろう。学園に行けと言われるのだろうか、それとももっと旅をして世界を見ろと言われるのだろうか。分からないが、進む道がどの道になっても、全力で取り組む。未来には無限の可能性があるのだから。


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