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第11話 マチルダの日常

「さてと」


 普段通りに、ギルドに来た依頼書などを確認していると、珍しく王国からの依頼文があった。


「ふむ(指名手配ねぇ)」


 その文面を読んでいると、顔馴染みの冒険者が受付に来た。


「アーサー、どうしたんだね? こんな朝早くに」

「マチルダさん、おはよう。いやぁ、クビになってパーティーハウスを追い出されてね」

「そうかい。あんたほどの切れ者を追い出すなんて、どうかしてるね」

「新しいパーティーを探すにもこの歳じゃなぁ」


 アーサーとそんな雑談をしていると、何だかよくわからない物を背負っている少年が受付に来た。


「すみません、冒険者登録したいんですが?」

「はいはい、坊や。わかるものでいいから、ここに書いてね」


 坊やが用紙を書き終わり、それを受け取って中身を確認する。


「(隣のザビンツ帝国出身だなんて、不思議な子だねぇ)坊やは帝国のこの村出身でいいのね?」

「うん!」

「そうかい。ところで坊や、その背中のは何かね?」

「うん! 竹やり!」

「ほう。そんなものがあるんだね」

「おばちゃん、仲間を探しているんだけど」

「おばちゃんじゃなくてマチルダね」

「えーっと、マチルダさん。いい人いないか知ってる?」

「今日一番に坊やより年上の子が来たよ。ほら、あのクエストボードに」

「ありがとう! マチルダさん」


 坊やはクエストボードへ。するとアーサーから言われる。


「オレもあのくらいのときから、始めたんだよな」

「そうさね、ずっとあんたの専属受付嬢だよ」

「おっ! 打ち解けたみたいだな」


 クエストボードの方を見ると、坊やと気品のある少年は何か悩んでいる様子だった。そしてしばらくすると、受付に来て坊やが言う。


「あのね、マチルダさん。彼と話したんだけど、冒険者で誰か経験者いないかな?」


(面白い子だねぇ。ここにいるのほぼ全員経験者だよ)


「右も左もわからない私達だけでは、困ることが多いと考えてね」


 気品のある少年がそう言ったのを聞いて、アーサーに目配せをした。


(よかったじゃん、アーサー。新しいパーティーメンバーが見つかって)


 ◇


 アーサー達がギルドの奥へ行くのを見たあと、指名手配の依頼書の内容を確認する。


(へぇー、あの子達がねぇ)


 「これは」と直感が働き、あたしは依頼書を折ってポケットの中へしまい込んだ。


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