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19.使いパシリと武勲賞

 都の中心街。

 おれはブラブラとしていた。

 遊んでいるわけではない。



「テスタロッサさん、もう帰りませんか?」

「フフ、グリム君。こんな美人とデートしているというのに、不満そうにするなよ」

「デート、だったらいいんですけど」



 都にガーゴイルが現れる問題。

 その原因を探るため、おれたちは手っ取り早い方法を取った。


「あの男たち、怪しいですね」

「ああ、君にはどう見える?」

「怪しく見えます」



『状態検知』で適性がわかる。

 全員、一般人に見えるが【戦闘タイプ】に【工作タイプ】。それで能力値が異様に高い。

 つまり、戦闘や工作行為をやってきたってことだ。


「5か所目でやっと見つけたか」

「お役御免ですかね」

「何を言っている。ここからが本番だろう」


 ガーゴイルは空を飛ばない。

 都に現れることはない。

 しかし、ガーゴイルを使って騒乱を起こす輩はいる。

 あるいは、より危険な実験に手を出す場合もある。


 がさ入れが始まった。


「ちっ、どうしてここの場所が……!!」

「おい、こうなったら仕方ねぇ。やれ!!」



 慌てふためくテロリストたち。


 テロ組織がガーゴイルでやること。それはガーゴイルの死体をそのままギアに改造することだ。

 即席で戦力を確保できる。しかし、これは禁止されている。


 ガーゴイルの素材をそのまま使うと精神に異常をきたす。ガーゴイルの金属部分はただの金属ではなくガーゴイルの血肉が混じっている。これが人間の脳に作用すると言われている。

 裏を返せば、精神に異常がでようが構わない人間を使えばギア並みの戦闘力を確保することが可能だ。



「マクベスとか言ったか。前に出るなよ、今回はセミナーだ」

「テクがあってもギアでの戦闘は慣れがいる」

「しっかり付いて来い」


「おれはテストモニターじゃなかったのか!? くそっ、人使いが荒いな!!」



 突入部隊にマクベスを加えてもらった。

 実戦のいいデータが取れるだろう。


 郊外の廃工場に向かう。


 おれは付いて行けないのでバイザーの視覚装置で観測する。


 マクベスはさすがだ。周りは情報部の実行部隊。いわば精鋭だ。

 初めての実戦であれだけ動ければ十分だろう。



「調子に乗ってんじゃねーぞ!!」


 廃材置き場から歪なギアが飛び出て来た。

 ギアが吹き飛ばされた。

 ガーゴイルの特性をそのまま使うわけだ。それはおれたちエンジニアがまだ再現できていない部分も含まれる。

 いわゆる『模造ギア』である。

 生き物独特の素早い動きでギアを翻弄する。



「くそっ、あいつ、融合しかけてるぞ」



 ガーゴイルの精神汚染が進むと機械に取り込まれガーゴイルになる。

 都で目撃されたのはその一体だろう。



「ぐおっ!!?」

「部隊長がやられた!!」

「応援を……」



 マクベスが飛び出した。



「無茶するな!」

「そいつの装甲は生きてる!!」

「接近するな! ギアの機動性では追いつかないぞ!!」



 マクベスは部隊長の武装を手に、突撃した。


 相手の攻撃を寸前で躱しながら、ジャンプ機構を利用した膝蹴り。

 そのまま腕を取り、投げ倒した。


「あのやろう、なんて動きだ!」


 動きを止め、斬りつけた。


 相手の攻撃を躱してさらに斬りつける。



「『ターンアンドシザーズ』か! 高難易度の超絶技巧をいともたやすく……!」



 機体をひねりながら、左右へと切り返す高度な回避行動。



「うおおおお!!」



 敵はむやみやたらに暴れ回る。


 一層深く、早く踏み込んだ。


 そのスピードはジャンプ機構を利用しさらに加速。



 マクベスは剣を振り下ろした。



 模造ギアは両断され、機能を停止した。




「あんな若い奴が『アクセルファイト』とはな……」

「何てシビアな魔力制御だ。化け物かよ」

「制圧完了。被害報告。こちらの人的損失無し。作戦終了! 新入りが武勲賞だ」

「おし、新入り。帰ったら飯いくぞ」

「上官命令だ。さっきの技について説明せよ」

「いや、おれただのバイトなんですけど」


 いいものが見れた。

 やはり彼は本物だ。



「いやはや、いくら何でもあれはおかしいだろう。彼は本当にギアの訓練を受けてないのか?」

「天才ってやつですよ」

「……あの化け物が、反帝国側に流れなくてよかったよ」



 


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― 新着の感想 ―
「あの男たち、怪しいですね」 「ああ、君にはどう見える?」 「怪しく見えます」 何この意味のない会話
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