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18.三強の一角

 

 おれとグウェンのバイト先はガーゴイルの解体工場だ。

 そこで、意外な人物を見つけた。


『ギア×マジック』にはギア廻しの上手いとされる機士が三人いた。

 一人がルージュ皇女殿下。もう一人が軍のエース、マーヴェリック少尉。彼は帝国側のもう一人の主人公と言われている。



 そして、最後が反乱軍の若き天才、スタキアのマクベス。


 彼は皇子の主力として活躍する、メインキャラ。


 そんな彼がガーゴイルを運搬するための重機を操縦していた。スタキア出身でまともな教育を受けられず、作業員としてこき使われていた。一切の自由が許されない上、上の判断で別の場所に移される。一応合法契約だが、奴隷だ。



 何としても欲しい。

 それに彼を革命側から帝国側に引き込めれば、大幅にストーリー修正が楽になる。


 おれは裏技を使った。



 ◇


「君には大きな恩がある。何でも言ってくれ。おれにできることならなんでもやる」

「あ、はい。いや、ぼくじゃなくテスタロッサさんと皇女殿下に感謝してください」

「わかった」


 マクベスを手に入れた。

 テスタロッサさんに何とかしてもらった。どうやったかは知らない。


 ただおれは親衛隊にいる彼女の部下にマクベス君のことを報せただけだ。


 ルージュ皇女殿下並みの才能を持つ機士が奴隷扱いされてますってね。


 マクベスは道義心で動くタイプ。

 これで帝国に反乱を起こす真似はしないはずだ。


「それで、おれは何をすればいい?」

「とりあえず、これを着装してください」

「ギアは、扱ったことないぞ」



 そう言いながら、素直に着装するマクベス。



「あの、グリム君、大丈夫ですか? いきなりこの改修型『カスタムグロウ』を使わせるなんて」



 ロイエン卿からの支援で、この度、実験用として『カスタムグロウ』が一機追加された。教官もおれが使って良いというのでありがたく使わせてもらい、早速、改修段階をマックスまで上げた。


「プロテクトスーツを着けているから、ずっと扱いやすいはず。彼は直感で動かせるよ」



 だって、原作でいきなり扱いこなしてたし。


■状態検知

・機乗力【近距離:8/30 遠距離:8/25】

・魔力量【S】

・才 覚【機士タイプ】

・能 力【身体強化スキル】【感覚強化スキル】

・覚 醒【2/10】


 マクベスの機乗力、遠近両方とんでもないな。

 いきなりフリードマン並だ。伸びしろは3倍あるし。これでまだ覚醒段階2って……


「こんな感じか……すごいな。ギアってこんなに扱いやすいのか?」

「いや、君がすごいんだよ」

「いえ、グリム君がすごいですよ。なんで、できるってわかるんですか!?」




 早速マクベスにはテストモニターとして、さらに皇女殿下の相手として活躍してもらうことにした。



「ちょっと、待ってくれ。おれはまだ一回しか触ってないんだぞ」

「まぁ、いいからいいから」



 さすがのマクベスも皇女殿下の前では固まっていた。

 冗談で「憎き皇室だぞ。やり返せよ」というと、本気で慌てていた。姫殿下は笑っていたが、親衛隊は本気で怒っていた。



 二人の試合は圧巻だった。

 卓越したギア捌きに、高度なテクニックを駆使する皇女殿下。

 それに対し、マクベスは本能と直感で徐々にギアの扱いに慣れていった。

 始めは馬鹿にしていた親衛隊も、唖然としていた。



 ギアは超重量だ。素人はまずまっすぐ歩かせるのでも苦戦する。

 相当なGがかかるはず。


 凄まじい運動神経と反射神経だ。

 ここまで機体性能を引き出すとは。


■状態検知

 ・適合率 93%

 ・出 力 A【4000/4800馬力】

 ・速 度 A【時速0-80km】

 ・耐 久 A【3900/4000HP】

 ・感 応 A【0.12秒】

 ・稼 働 B【80分】




 白熱する戦いに周囲から歓声が上がり、人だかりができてきた。


 やはり、ギアを扱える人はすぐに人気になれるんだな。

 さっきまでの陰湿な空気はもうすっかりなくなった。



「すごいじゃないか。君は人材発掘の方で雇えばよかったかな」

「テスタロッサさん」

「そう、嫌そうな顔をしないでくれ。君だってただで根回しをしてもらったとは思って無いだろう?」



 マクベスを解放するために悪徳業者に縁を切らせた。



「帝国軍にあんな逸材を発掘させたってことで。そういうことで」

「無理無理。行けないよ」


 肩を掴まれた。逃げられない。

 ちっ。おれの帝国への貢献を考慮して欲しいんだが。



「最近、都にガーゴイルが出ていることは知っているね?」

「いいえ」



 面倒な話のようだ。




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