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119.わかる君EX

 

 ストラ軍曹に導かれ、ガウスと邂逅を果たした。

 ひっそりと、2人きり。


 皇宮の地下神殿にて、地下坑道より回収された二機の新型とアルビオンを見ながら、検討をした。


 機体の完成が間に合うのか。

 空を飛ぶギア、機士の訓練、メンタルは?


 そして、おれたちは結論を出した。


 当初の計画より、スペックダウンさせて現実的な着地点と形を模索する。

 空を飛ばすというリスキーな賭けには出ず、堅実に新型を完成させることを優先する。





 ……なんてことはしない。


 全ての問題を技術で解決した。



 ◇



「願わくば、この実験が次の人たちの礎とならんことを祈ります」

「おい、私は実験台か、お゛ぉ゛!?」


 説明を聞くギルバートが威圧する。


「あと、なんだその義手は!!」

「高分子ポリマーで成型し、記録晶石を内蔵した高性能義手です。軽さと耐久性、精密な動きを再現し、ギアとのダイレクトリンクにも対応。あと、手に秘密兵器を搭載してます」

「それだよ。まず、その秘密兵器について弁明したまえ!!」

「……高出力の魔法拡散砲です。一発限りですが、ギアを破壊できる威力にしておきました」


 特殊弾に収束と誘導をさせた、超高熱のプラズマが高速で移動することで破壊力を生む。

 義手と身体への反動制御に苦労した。



「『しておきました』じゃないんだよ。余計だよ、物騒だろ、外せ!」

「もう作っちゃったので」



 おれはガウス先生と顔を見合わせる。


「ガウス先生の案です」

「ひょ!? 違う違う、違うよ。わし要らないって言ったよ!?」


『鉄の友の会』で何を組み込むかそこが争点となった。

 最初は腕を伸ばそうという案だったのだが、つまらないので技術の限界に挑戦した。



「……義足は?」

「高分子ポリマーで成型し、記録晶石を内蔵した高性能義足です。軽さと耐久性、精密な動きを再現し、ギアとのダイレクトリンクにも対応。あと、リミッター解放による垂直飛びで20mジャンプできる計算です」

「いらないね。20m上から落ちたら死ぬね」

「もう作っちゃったので」


 ガウス先生を見るとビクッとした。


「これも先生の案です」

「違う違う。止めたよの、わし」



 ジャンプ機構をモデルとしたエネルギー集約。

 強度と肉体への負荷のギリギリを探るのが大変だった。

『鉄の友の会』で、最初はスラスターとかを組み込むべきか議論されたが、脚一本では危険だということで、ここは現実的なジャンプ機構人間版で落ち着いたのである。



「……義眼は?」

「視覚装置を超小型化し、魔力信号化した映像を直接脳の魔力知覚をつかさどる領域にライン接続します。真面目な話、これが一番危険な手術になります」


 これが成功すれば、直接ギアの視覚を共有するなど、応用は無限大だ。



「勝算はあるんだな」

「はい」



『わかる君』による遠隔手術。おれの担当医の先生にならできる。



「よし。すぐに頼む」




 ◇


 手術は成功した。

 2週間後、ギルバートはリハビリを開始。

 激痛に顔を歪ませながら、着実に歩を進めていった。


 驚異的なスピードで新たな身体に順応していったギルバート。

 義体は都度調整を繰り返した。


 一月後のことだった。



「どういうことだ」



 おれが呼び出されるとそこにはしっかりと立つギルバートの姿があった。



「おめでとうございます殿下。最後にこの『スカーフェイス』の仮面をどうぞ」


 2代目スカーフェイス誕生。

 継承だ。


「ああ……いや、いらん!!」

「僭越ながら『謎の機士として活躍、その正体は、戦線離脱したはずの第一皇子だった!』、というおいしい役をご用意いたしました。台本です」


 ヘルメットと台本を叩き捨てられた。


「ああ!!」

「眼が見える。見え過ぎるほどに……この世になかったものを、これほどの完成度で作りあげる。奇跡だ。人の力とは思えない……お前は何者だ?」



「奇跡ではありません。技術です」



『状態検知』の分析スキルにおける魔力の軌跡はスーパーバイザーで再現済みだった。

 それを、さらに高精度で正確に記録したことで、よりおれの『状態検知』に近い記録補助装置を生み出した。



 それを『わかる君』に搭載した。

『わかる君マークII』だ。

 それを用いてグウェンを始めとするエンジニアタイプの協力者たちに、おれをより詳しく調べてもらった。


 おれの闇魔法の空間把握と『状態検知』の複合状態を解明。



『わかる君マークII』を量産し、各地の技術者とこの複合状態を再現する記録補助装置『メガ分析君』を製造。


『わかる君マークII』をその『メガ分析君』とリンクする高精度受信モデル『わかる君EX』に改造。


『わかる君EX』の群れを用いてギルバートの身体を製造した。


「なので、賭けでも奇跡でもありません。この結果は必然です」

「己の力を他人に明け渡したのか? なぜだ? どうしてそこまでする?」



 別にギルバートのためではない。


「これで、時間的な制約から解放されます。帝国の技術力は帝国全土に広がるとともに、一極集中化による開発の高速化に成功しました」



『わかる君EX』による技術のネットワーク。

 これこそ、技術の神『ダイダロス』だ。




「フ、ハハハ!!! お前が救ったのはおれではない!!! 未来の数百、数千万人を救ったぞ!!!」

「これ以上ない前例となりました」

「医療……いや、製造は文明のレベルと等価だ。それが、土地の制約から解放される。お前のそれは、世界の文明レベルを上げる!!! とんでもないものだ!!!」

「まだ内緒です」



 いずれはこれを車両やギアに搭載し、現地で高度なメンテナンスや医療を受けられるようにする。



 ギルバートの例を奇跡ではなく、確率の高い選択肢にする。




「それでは、北部方面の鎮圧、応援してます」



 おれはみんなと新型を完成させる。



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...新たなスパロボに生身で参戦できるつわもの、爆誕! あ、書籍発売直後に買って積んでたら行方不明に...orz
>>『わかる君EX』による技術のネットワーク。  これこそ、技術の神『ダイダロス』だ。 「フ、ハハハ!!! お前が救ったのはおれではない!!! 未来の数百、数千万人を救ったぞ!!!」 この流れすき
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