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第二章
「小柴中佐! 反乱罪で逮捕する!」
「何の話だ!」
突然司令室に押し入ってきた軍服姿の二人に向かって小柴は吠えた。
「なんで……?」
腑に落ちない感情と驚きをごっちゃ混ぜにした表情で渡辺が呟く。
「俺が何をやったってんだ!」
激昂する小柴に二人は淡々と、それでいて有無を言わせない口調で問う。
「小柴中佐。貴官はベースキャンプに反乱軍を送り込んで何をするつもりか?」
「ベースキャンプ? あれは海賊に襲撃されたウチの生徒を避難させてるんだよ! てめえらこそ何を訳の分かんないこと言ってんだ! それにあそこは民間のだろうが! 何で軍のお前らがそんなこと気にしてるんだ? 何かやましいことでもあるのか?」
「ぐ……」
一瞬、――気づかないくらいほんの一瞬だが、二人は言葉に詰まった。
渡辺は気づかなかったようだが、それを気づかない小柴ではない。
――何かあるな。
即座にインカムに向かって問いかけた。
「片桐、西澤。そこに何かあるか?」
『元軍人のほ――』
その後は聞こえなかった。
正確には聞かせてもらえなかった。
「そこまでだ。小柴中佐、反乱罪で本部に連行する」
軍人二人に椅子から引きずりおろされたからだ。
――このまま終わってたまるかよ!
口に猿轡をかませられる前に、小柴は叫んだ。
「片桐、西澤。頼んだぞ!」