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ぼくたちの理解者  作者: 凪司工房
第四章 「聖夜の理解者」
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6

「あけましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しく」


 次に三人で会ったのは、年を越した初詣の明治神宮だった。あまりにも混み合っていて紅葉も美亜もよく目立つ桜庭の両腕にしがみついて歩いていたが、なかなか行列は前に進まない。


「こんなになるんだったら、わざわざ来なきゃよかった」

「美亜が今年は行きたいって言い出したんだろ」

「だって来年は受験だからこんなことしてる余裕ないでしょ?」

「そういや二人は大学もう決めたのか?」

「ボクは美亜の行くところでいいかなーって」

「わたし専門学校にしようかなって思ってるんだけど」

「そんなの聞いてない」

「言ってないし」


 クリスマスイブにそれぞれが渡そうと思っていたプレゼントは、結局年末になってから渡すことになった。あの日、帰り際に美亜が「それぞれ一対一で告白することにしない?」と提案して、三人合意の上でそれを受け入れた。

 結果は、三人仲良く初詣に来ていることで、なんとなく察しがつくかも知れない。

 そう。まだ何も答えは出ていなかった。答えなんて、そんな簡単に出せる問題じゃない。だから今はまだもう少し、この三人でもいいかなって、紅葉は思っていた。美亜や桜庭は実際どうなんだろう。


「ちょっと桜庭くん、勝手に前行かないでよ」

「そんなにひっつくなよ。おい、ベニ。お前も」

「なんでー? こういうの、好きなんだろ?」

「何言ってんだよ、ったく」


 少なくとも、以前よりは互いの理解者に、なれたのかな。

 そんな想像をして、紅葉は空を見上げた。



「みんな、ばっかやろーだ!」



(了)


※けれど物語は終わっても彼ら、彼女らの人生は続いていく。


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